この出張報告は、12月6日よりエクアドルに出張をした東城リーダー育成担当と大塚専門家、インターンの大川さん、現地事業補助員のジョセリンコヤゴの報告をもとにしたものです。
講座の二日目はピタナアルトのルイスウンベルトサルガド校でした。
村はカヤンベから車で約45分、バスは通っていません。インターンで事前調査に入っていた大川さんの報告によると、今年の生徒数は就学前クラスから高校1年生まで190人です。貧しく人々が組織化されていない地域ということもあり、前校長の頃から保護者が学校に非協力的で苦労していました。昨年度現校長に変わってからはますます消極的な状況が続いています。菜園にもあまり協力的ではなく、JICAチームもいつも心配している状況でした。校長の話によると、給食の実施も(面倒、働きに出た方が良いと)やりたくない意向を示していたようでした。とはいえ、昨年は学校菜園の収穫もあり、子供達に提供されたこともありましたし、今年も11月には写真のように菜園で活動している様子が写真のように菜園で活動している様子が送られています。ただ、現在給食の提供に至るような組織的な動きはとだえていました。
今回の講座にも最初は13人の参加しかなく、現地事業補助員のヘルマン・リコは、大事な子どもの健康のための講座に参加しないとはどういうことだと怒りを込めて挨拶しました。参加した人々からは、それぞれ親の抱える事情があり出席が難しい、お金がないから事業が進められないなどといった意見が出されました。
重苦しい空気の中で、アドバイザーのセグンド氏がスペイン語ではなく、彼らの言葉であるキチュア語で「皆さんの家庭では年間を通して野菜が栽培されていますね。どうして自分の子どもが学校で食べる野菜の栽培のために少しの時間と労力が避けないのでしょうか」「私たちはインディヘナ(先住民)です。私たちはこのように素晴らしい自然環境という財産の中で安全な野菜を作り食べることができます。なぜ皆さんはこの財産を子ども達のために使わないのですか?」「SANEは15年間にわたってこの学校の菜園事業を通してこの財産をより良く使えるよう力を貸してくれましたね」と話しかけました。
この語りかけに、会場の雰囲気が前向きに変わり、一人の若い夫婦が「私たちは子どもが小さいので、安心できる野菜を食べてもらいたいと思って参加したのです」と発言がありました。これをきっかけにたくさんの発言があり、地域の野菜栽培の活動をしている女性グループがあり、このグループが菜園のために協力できるといった積極的な意見も出ました。
さらに、昨年度学校菜園に積極的に取り組んだラファエルコレア校から転勤して来た先生がここで新たに学校菜園担当となり、仕事を始めています。種子を撒いたものの芽が出なかったため、苗を育てて植えたいとの意見が出て、小さなハウスが欲しいという要望も出ました。
大塚専門家も、苗を買って栽培する方法には賛成であり、コストが多少増えたとしても確実に栽培をスタートさせたいとの意向でした。保護者達は家庭でも菜園を試みている人たちもいるもののなかなかうまくいかないようです。大塚専門家からは、土づくりから収穫までの作業で、発芽させるのは農家にとって一番神経を使う工程の一つであり、経験が必要であること、種の管理にも神経を使わなければならず、野菜の種類にもよるけれども通常は空気が入らないようにチャック付きのビニール袋に入れてから乾燥剤と一緒に瓶などの容器に入れ、光が当たらない、温度の低い野菜室などで管理しなければならないこと、おそらくそのようなことは行っていないだろうということ、したがってまずは確実に収穫できるやり方で始めるのが良いと感じた、との指摘がありました。
講座参加者への食事として保護者の皆さんが、茹でた空豆、メジョコ、茹でたジャガイモとチーズ、玉ねぎ、トマト、レタスなどのサラダを準備してくれました(写真)。
講座を通して担当教師や保護者の積極的な姿勢が少しずつみられるようになり、成果は大きいものがありました。
しかしながら、継続した今後の支援が必要です。
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