2014年10月8日水曜日

子どもたちに温かい食事を                 ー学校菜園の役割

カヤンベから今年度(9月から始まっています)の学校菜園事業が始まったという報告が届きました。
ブログでもお知らせしたとおり、現在エクアドル政府はすべての子どもたち(学校に通う3歳から中学生まで)に朝食を、とシリアルバーと栄養入り飲み物(粉末をお湯に溶かして作る)を提供しています。けれども子どもたちにとってこれは十分なものではありません。以前は豆や米、ツナなどが届き、これに保護者の努力で地元の野菜や肉が届けられ、お母さんたちが順番に学校に来て温かな給食が提供されていました。もちろんこれは十分なものではなく、政府の予算がなくなれば終わるというものでした。そこでSOJAEは、学校で子どもたちの学びの一環として穀物や野菜を作ろうという先生方を支援し、共にこの事業を行ってきたのです。
今は以前のような食材は政府から提供されなくなったので、継続した給食(昼食)は難しくなっています。多くの学校で政府からの朝食だけというなか、お腹をすかせた子どもたちが学校生活を送っています。学校には小さなバール(食べる物を売る購買)があるところや、近所の人が作ったものを売りに来るところもあります。子どもたちはお小遣いで食べ物を買ったりしています。けれども周辺地域には貧しい家庭の子どもたちが多く、食の問題は深刻になっているのです。

こうした中、SOJAEは学校給食を何とか実施したいという教師と保護者の思いを実現するために何校かで学校菜園を継続させ、少しずつ広げています。写真と共にご紹介しましょう。どの学校もまだ始まったばかりです。
 
サン・パプロ・ウルコ地域ウンベルト・フィエロ校

同じ教区に新しい政策によって大規模校ができたために、離れている中でも比較的近くに住む子どもたちは無理をしてそちらの学校に転校してしまい、通えない子どもたちが残って、生徒数が減ってしまいました。
このため、教員数も減りすべて複式学級となり教育の困難が深刻になっています。
そのような中でも、保護者と先生が協力して継続してきた学校菜園を継続させています。
 
  
 

ピサンビジャ地域ヘネラル・アントニオ・エルサルデ校

ピサンビージャは、他地域から遠く離れた村です。ここの学校では、遠距離が逆に幸いして生徒数を減らすこともなく、子どもたちがのびのびと学校生活を送っています。
中心地から1時間以上山道を揺られてこの地域に入るとやがてめに入るのがこの学校の菜園で農作業をする子どもたちの姿です。
校長先生をはじめ、先生方も熱心で、たくさんの種類の野菜や穀物が育っています。
今は昨年度の収穫を終えて、新たな土づくりが始まったところです。

ピタナ・アルト地域ルイス・ウンベルト・サルガド校

標高が高い、離れた地域にある学校です。


パンパ・マルキート地域















パンバ・マルカ地域カルロス・ビセンテ・アンドラデ校

この地域も標高が高く、厳しい自然状況す。このような環境でもヘルマンはそこに合う種類の作物を研究し、先生方も一緒に学びながら菜園を広げているのです。









2014年10月1日水曜日

カヤンベ奨学生報告  2013-2014

エクアドルでは6月に学年が終わり、9月に新しい年度が始まります。昨年度までの報告がカヤンベから送られてきました。

《奨学生講座》


昨年度は2013年の9月から2014年の5月まで、不思議の国のアリスの演劇に取り組みました。それぞれの奨学生が登場人物の役になって練習をしてきました。これを担当したのは、シンティア、アンドレア、ダーウィンの3人でした。

残念ながら、演劇指導をしていた、奨学生担当スタッフのシンティアが病気になってしまい、上演までこぎつけることができませんでした。

けれども大切なのはそこまでのプロセスだったと思います。この練習を通して、奨学生たちは成長を見せてくれました。たとえば、アンダーソン君は人前で話すことが大の苦手でしたが、だんだん話せるようになっていきました。本当に成長したと感動しています。
 
《アンドレアとガブリエラの外国滞在の経験を聞く》
元奨学生のアンドレアは日本で農業を学び、ボランティアスタッフのガブリエラはドイツでカウンセリングのボランティアを行いました。身近にそうした経験を聞き、奨学生たちは世界への思いを膨らませました。
 
《大学進学》
2月には大学進学や将来について卒業生とスタッフの間で話し合いを持ちました。もちろんそれ以外にも機会を見つけて進路への支援をしてきました。
今エクアドルの高校生たちは厳しい大学受験に立ち向かっています。統一試験に慣れておらず、そのための補習も十分に受けられないと不利な立場に立たされます。希望の大学があってもそのレベルに達していない場合入学はできません。また、学費は無償になったとはいえ、やはり大学に行くには経済的な負担が大きいです。経済的に貧しくて家庭を助けるためにも仕事を始めた子もいます。5人の卒業生のうち、今年入学できそうなのは2人です。働いている子も自分で資金を準備して大学に進みたいと意欲を持っています。
 
《卒業祝いとお別れ会》
カヤンベの奨学生たちは毎年良いグループを形成し、お互いに助け合える関係になります。そんな仲良しの子たちも卒業でお別れです。卒業生たちは新生活への期待や不安と、別れの寂しさも味わっています。カヤンベではお別れ会を行いみんなで食事をして楽しみました。





長い間文通を通して励ましてくださった日本のパドリーノ、マドリーナの皆さん、本当にありがとうございました。(卒業生一同)