2019年8月31日土曜日

 人生の大きな節目を迎える卒業生たち〜カヤンベ支部奨学生担当ダーウィン・バスコネス

今年7月に、カヤンベ支部では、ジョセリン·エンリケス、ヒセラ·クアマカス、パメラ·オバンド、ネルソン·キロス、セシリア·チムボラソの5名が卒業を迎えました。長年に渡り、彼らと有意義な時間を過ごし成長を見守ってきました。入会時にまだ幼かった彼らが、今ではすっかり青年になり、外見はもちろん内面も成長しました。奨学生たちはいつも様々な思いを持って、最後の年を迎えます。人生の大きな節目に際し、「達成感」と「充実感」で満ちあふれています。両親が誇りに思っていることも感じます。一方で、今まで親しくしてきた仲間との別れの寂しさや将来へに対する不安な感情も入り混じっています。
卒業する奨学生は皆、大学等で勉強を続けたいと願っています。そのためには、大学入学資格を得ることと、家族の経済的支援を得ることの2つが必須です。大学入学資格を得ることは、年々難しくなっています。毎年、進学希望者の数は増えますが、教育の供給が追いついておらず、大学の定員や入学基準はあまり変わりません。また、統一試験は、予備校に通える生徒が有利になります。このような生徒が多い学校の評価も高くなります。奨学生らは、統一試験で基準点を獲れるかどうか、最寄りの公立大学に通うための家庭の経済的支援が得られるかどうかなど、将来に大きな不安を感じています。両親は、子ども達に勉強を続けさせる為、大きな犠牲を払おうとします。けれども、それだけでは不十分なのが現状です。卒業生が何らかの理由で勉学を断念しなくてはならなくなったと知った時、私たちSOJAEやSANE のメンバーは深い悲しみと無念を感じます。仕事をしながら大学も続けられないか励ましたり、期間を決めて仕事をし大学へ戻る選択肢を提案したりします。しかし、改善されてはいるものの、貧困や社会的排除など不平等な社会問題が根本にあると私たちは感じています。

*ダーウィンは高校の哲学の教師でもあります。その視点は鋭く、また貧しい家庭で母親を助けて生きてきた経験から、似たような境遇にある後輩達への温かな眼差しも感じます。彼は、JICA事業の経理担当者としても活躍しています。10月にはパオラと一緒に日本にやってきます。(写真は外務省訪問時。右端がダーウィン)

卒業生たちとこれからも一緒に〜キト支部奨学生担当パオラ・ピジャホ

今年度キト支部はエリック・アギーレ、ジョセフ・アルバラド、ガブリエラ・フローレス、ベレン・グアマンガジョの4名が卒業を迎えました。全員が大学へ進学することを望んでいます。彼らにとって大学へ進学することは、統一試験で良い成績を取り入学資格獲得をすることの難しさや経済的な理由から、とても大きな挑戦です。けれども、大学入学のため懸命に勉強し、大学入学後の奨学金をもらえるよう努力をしています。勉学に必要な経費を捻出するために、すでに仕事を探している卒業生もいます。私達スタッフも彼らの希望が叶うことを信じています。エリックは薬学、ジョセフは海洋生物学、ガブリエラは建築、ベレンは会計監査学を希望しています。皆入学資格を得るために受験準備をしています。
 私達SOJAEのスタッフはこのような成長した卒業生の姿に接してとても満足しています。SOJAEに入った頃少年少女だった彼らは、新しい目標、夢、責任を持って努力する青年となり巣立っていきます。彼らの努力が実を結び、やがて社会に良い変化をもたらす大人になっていってくれることでしょう。新しいステージでの活躍を祈るとともに、元奨学生という新しい立場になった彼らと、これからも一緒に活動できたらと思っています。

*パオラは8月のSOJAE総会で代表に決まりました。そして、10月にはカヤンベのダーウィンとともに日本にやってきます。パオラもダーウィンも元奨学生です。彼らの姿は奨学生達の憧れであり、目標ともなっています。

2019年8月24日土曜日

SDGsについて学んでいますーキト支部の奨学生

Durante las primeras semanas de junio, nuestros becarios del núcleo Quito se han preparado para realizar una presentación sobre la importancia de los 17 Objetivos de Desarrollo Sostenible (ODS). Al final de la presentación realizaron una reflexión individual de cuánto ellos están aportando para la consecución de los mismos. Cada vez que realizan presentaciones ellos pierden el miedo a hablar en público y reciben una retroalimentación individual para mejorar sus técnicas de comunicación.
SDGsはエクアドルでも話題になってます。SANE/SOJAEの奨学生たちは毎月集まって色々な講習を受けたり、自分たちで活動をしています。たいてい奨学生になったばかりの子たちは恥ずかしがり屋で自信がなかったりするのですが、この毎月の講習会の中で少しずつ成長し、自信を持って行動できるようになります。

6月の最初の週に, キト支部の奨学生たちは, SDGs(持続可能な17の開発目標)の重要性についてプレゼンテーションを準備し発表しあって学びました. プレゼンテーションの最後に彼らはその達成のためにどんなことやっているのかをそれぞれが発表しました。
プレゼンテーションを行うたびに, 人前で話す恐れをがなくなり, コミュニケーションテクニックを改善するために個別のフィードバックを受けることができます。このような活動を通して彼らは貴重な仲間を作っていくこともできるのです。

こうして卒業時には自分の意見を持ち、それぞれ目標を持って歩み出します。大学でも社会に出ても前向きに頑張っている元奨学生(先輩)たちの姿は今の奨学生たちの目標となっています。

2019年8月17日土曜日

事業の一年を振り返って

カヤンベ市で行われている『エクアドル共和国ピチンチャ県カヤンベ市の学校菜園と学校給食の実施を通した子ども達の学校生活改善プロジェクト』は、JICA草の根支援事業としては20193月から20196月にかけて6つの村の小中学校で行われましたが、実際にはSANEの資金で2018年9月の年度当初から始まっており、ちょうど1年が経過しました。
この1年を振り返って、事業の成果と課題を何回かにわたってとりあげます。このレポートは、現地事業で農業専門家として活躍しているジョセリン・コヤゴ(元奨学生)の報告を基にしたものです。


事業が行われている学校がある村は、どこも人々の食の環境上大きな問題を抱えています。この事業は人々に受け入れられており、教師、保護者、生徒達の積極的な参加の結果、大きな成果があげられています。(写真はグスタボアドルフォベッケル校。標高3600mでも素晴らしい菜園ができました)

<一番の問題は水の獲得>
 最も大きな問題は『水』です。どの村でも水へのアクセスが継続的ではなく不十分であり、人々の健康的な生活に大きな問題を与えています。村の人々は日常的にミンガ(共同作業)を行い、わずかな水を確保したりメンテナンスをする必要があります。生活に使われている水は、こうして設置されたパイプを通してきていますが、それは物理的にも、化学的にも安全を得るための処理をされていないことを意味しています。自然の水源から直接引いたこのような水は灌漑用には適していますが、その灌漑用水も入手が難しいのが現状です。飲用水は村では手に入れることはできません。
 いくつかの学校では雨水をタンクに貯めて使い、これが重要な水不足への解決になっています。SANEは2000年代の初期に埼玉国際基金などの支援で多くの学校に貯水タンクを設置したり供給管を設置したりしてきました。この事業が今も多くの学校の水の獲得に効果を上げていますが、まだまだ不足していること、そして飲用水は全く確保できていないことが大きな問題になっています。

<子ども達の学校での食事>
  エクアドルでは、学校給食プログラム(PAE)10年生までの公立小中学校で実施されており、午前中に朝食としてテトラパックに入った味付けの牛乳と軽食(クッキーやシリアルバーのようなもの)が毎日配られています。しかしながらそれは家から遠く離れた学校に通う子ども達にとってニーズを満たすものではありません。この問題はブログでも何度も取り上げてきました。2018年3月26日や2019年4月29日のブログをご覧ください。特に4月29日のブログに書かれてあるような、給食の提供できていない子ども達の学校での様子は、心が痛むものです。
  これまで続けてきた学校菜園事業は期待された成果をあげ、全ての学校に完全な一皿の食事(一回の食事として栄養的に満たされているもの)提供するために活動しています。6月の年度終了時、事業校6校のうち2校では週に5日の、他の1校は週に2回食事を提供していました。残りの3校はまだ提供できていませんが、保護者たちが菜園の収穫があったときにパンバメッサ(全員で収穫した食材を展示したり、食事を共にすること。写真はカルロスビセンテアンドラーデ校のパンバメッサの様子)そして、遠足やミンガでクカビ(お弁当)にして持っていきました。
各学校の2018年−19年の状況の詳細は次回おしらせします。