サネは2024年度から味の素ファンデーションの助成を受けて、持続可能な学校給食モデルを作る事業を行っています。
私たちは、1987年の地震以来、89年のサネの発足以前からエクアドルの北部アンデス山間部の学校で長年支援の活動をしてきました。90年代は主として学校施設のインフラを整える活動を継続し、多くの学校のトイレ、給食室、教室などの改善をし学校と継続的に繋がってきました。
その後、2003年からは子どもの栄養状態が深刻なことを重視して、学校菜園を通した栄養向上を目的とした活動に転換しました。
その後、2009年頃から、それまであった手作り給食が廃止され、政府からの乳製品とビタミン入りの軽食が配布されるようになった影響で、お腹を空かせた子ども達が増えてしまったことを受けて、学校菜園事業を強化し、保護者の協力で収穫があった時には食事の提供をしてきました。この活動を評価してくださった現地の日本大使館やJICA事務所の皆様から背中を押され、2019年度から3年間「学校菜園と給食提供を通じた子どもの学校生活の質向上プロジェクト」に取り組みました。(JICAからの委託金は3年間で約1000万円)
この事業はサネとソハエによってカヤンベ郡の6つの学校で実施されました。初年度にスタッフが日本に来て、飯能市の自校給食を見学したこともありました。
この事業はコロナ禍の影響を受け半年間の延長をしましたが、2023年に事業を終えた後も、6校のうち3校が継続的に給食を提供し、残る3校も必要に応じて提供を行えるようになっていました。
ただ、当時の食事は主として子どもたちの空腹を満たすことを目的としており、プロジェクト終了後も提供を継続した学校はあったものの、栄養学的に計画された食事とは必ずしも言えるものではありませんでした。
この経験を基盤として味の素ファンデーションの支援を受けた「持続可能な食事モデルプロジェクト」が2024年4月から開始されたのです(年間300万円の助成で3年間。2027年3月まで)。
本プロジェクトの目的は以下のとおりです。
● 栄養士の参加で食事の栄養価を高めること
● 事業を支える 継続可能な給食実施の仕組みを構築すること
● 地域社会が(寄付を通して)この事業を支える役割を果たすこと
最初の事業校は、サンパブロウルコ村のウンベルトフィエロ校でした。ここは生徒数が60人に満たない小規模校ですが、伝統的に村が学校を中心にまとまっており、教育が大切だという意識が人々にあります。
この学校で、給食を提供できる適切な環境づくり(調理室、燃料や水、電気などの確保、調理器具、冷蔵庫、保管設備、食器の準備)、事前調査(社会経済調査、食事調査、食文化など)、栄養士による地域に適したレシピの作成、給食委員会のたちあげと実施、調理に必要な技術や知識の習得(講座の実施)、食材の確保の方法、会計処理の方法の検討などを行ってきました。
当然ですが、最初はこの一つ一つがスタッフにとっても保護者にとっても大変な作業でした。しかし、みんなの粘り強い努力のおかげで、10ヶ月の助成金投入の終了時には自分たちで運営が可能になり、味の素ファンデーション助成の後を継いで、地元企業の寄付の申し出が出てくるなど大成功を収めることができ、現在も続いています。
何より、授業中に居眠りをしなくなった、欠席が減ったなど子ども達が健康になっていく姿がみんなで確認でき、子ども達が家でもこんな食事をしたいと親を動かすようになったのは本当に嬉しい事でした。
しかし、ウンベルトフィエロ校のように保護者が自覚的に参加できる学校はむしろ少ないのが実情です。現在は、保護者が参加しない形を模索するために、サンティアゴ児童養護施設での給食事業に取り組んでいます。エクアドルでも、児童養護学校のように、福祉施設であれば学校に対するよりも関連省からの予算がでたり、食品を扱う企業からの寄付があったりして、保護者に依存しなくても給食が出せるのです。栄養士の関わりもありますが、残念ながら食事の改善には至っていません。お腹がいっぱいになれば良いという傾向は、エクアドル社会の一般的なものともいえ、炭水化物の摂りすぎ、野菜やタンパク質の不足は大きな課題であることを、私たちは改めて実感しています。
生きていく上でより良い食事をとることは、その人の人生を変えるくらい大事なことです。栄養改善のためには(栄養士の教育も含めて)栄養士が必要な仕事をすること、社会全体の認識と習慣が変わっていくことが求められています。
この経験をもとに、保護者が参加できない学校の場合、どんな外部からの支援があれば給食が可能になるのかを検証し、発信していきます。







