2023年7月11日火曜日
LUSH助成 『カヤンベ市山間部の小学校に安全で栄養豊かな自校給食を届ける調理室と学校菜園の改善事業』採択
初挑戦となったLUSHへの助成申請が通りました。概要をお知らせします。
目的:小学校の調理室の衛生状況を改善し、学校菜園の作物と地域の伝統作物を使った調理によって、安全で栄養豊かな給食を実現する
内容: 子ども達の栄養不足は国全体の問題として認識されるようになっていますが、カヤンベの農村部も、2021年末にカヤンベ市保健局が行った2校の子どもの栄養状態の評価の結果によると、慢性栄養不良率は1校で143人中35%、もう1校では81人中32%でした。カヤンベでは、健康的な食品にアクセスできる収入の不足(貧困)、飲料水へのアクセスの制限、その他栄養不良を引き起こす環境要因が背景にあります。さらに、食事パターンは簡単に入手できるジャガイモ、米(炭水化物)などの摂取が中心で、タンパク質に富んだ食品や果物・野菜は高価な食品群のため不足しがちとなります。この状況にパンデミックが追い打ちをかけたのでした。
サネは『学校菜園と学校給食の実施を通した子ども達の学校生活改善事業』を継続的に行なってきましたが、菜園の計画をしっかり立てる、栽培する野菜の種類を増やすこと、ある野菜の収穫ができない時期にも、別の野菜の収穫で補えるようにする必要があります。現在栽培されているレタス、キャベツなどに加えて、かぶの葉、だいこん葉などの青菜、にんじんなどの緑黄色野菜をはじめ、ラディッシュ、ズッキーニ、玉ねぎ、カリフラワーなどの野菜が候補となっています。また、発育期にある生徒には、地域の人々にとって経済的に困難な状況であっても手に入りやすい良質なタンパク質の摂取を考える必要があります。アンデス地域原産の伝統作物として手頃な価格で入手できる穀類、豆類として、キヌア、アマランサスなどの穀類、チョチョ、そら豆などの豆類が候補として考えられます。これらの食品を含めて、他の食品の可能性も追求しながら食事内容を多様なものにすることが給食メニューの改善につながると考えられます。
もう一つの大きな問題は、せっかく食事を提供できても衛生面の管理が悪く、お腹を壊している子どもが多いことです。サネはコロナ期間中に手洗い場の設置を行ってきましたが、現在、調理に従事する保護者。・教師の衛生意識を含めて、清潔で衛生的な施設、設備などの作業環境が確保されていません。衛生的な作業環境を確保するためには、調理室の施設、器具類の改善が求められています。
事業の概要
事業期間:本事業は3年間を予定(今回の申請は初年度の1年間)
1年目:2023年9月〜2024年6月
① 2校の調理室の改修を行い衛生的な学校給食提供のための環境を整える
② 各校のコンポストの利用を定着させ、学校菜園の収穫を安定化させる
③ 穀類、豆類、菜園の野菜を使った栄養バランスの良い給食メニューを学
ぶ(一年目は食材として購入する)
④ 連絡会の開催
2年目:
①計画的な学校菜園運営について担当者が指導し計画を立て、学校菜園の継続
的な収穫ができるようにする
② 調理室の改修。
③ キヌアや豆類を使った調理講習。キヌアなどの伝統作物の栽培方法について学ぶ
④ 連絡会の開催
3年目: ① 計画的な学校菜園運営を通した学校菜園の安定化の継続
② 調理室の改修
③ 伝統作物についての学習の継続と給食利用のための講習会
④ 連絡会の開催
事業の特色:本事業の特色は『①子どもたちに不足している栄養源を、現地の自然環境と伝統的な食文化のなかで補う、②コロナ禍も影響している中で衛生的で安全な調理室に改修する』です
1年目の事業内容と予算:
① 調理室の改修
2校で給食を提供する際に使用されている調理室は、安全な給食を提供できる環境にない。教師・保護者の参加を得て、作業を実施します
ラファエル・コレア・デルガド校、ウンベルト・フィエロ
改修を現地業者に発注し、教師・保護者の参加で行う。また最低限必要な、もしくは買い替えが必要な調理器具は新たに購入する。
② コンポストによる学校菜園の持続化
現在各校はコンポストを作っていますが、本事業では引き続きコンポストの普及と活用を定着させます。種苗(野菜の種類)を各校に配布する。収穫後は学校給食の材料として使用します。
③ 衛生・栄養講習会と調理実習
6校保護者を対象に講習会の実施
④ 連絡会
教育省にて、各校全ての保護者および教師を招集し、事業の目的と成果を確認し参加者と事業をつなぎます
予算総額:1,253,610円(LUSH助成は994,410円) 事業内容は円換算率によって多少の変化があります
緑の募金助成『アンデスの学校菜園を守る植林と緑の交流事業』採択される
公益社団法人 国土緑化推進機構による緑の募金助成『アンデスの学校菜園を守る植林と緑の交流事業』が採択されました。昨年に続き2年目になります。本事業は次のような内容です。
事業目的:エクアドル、アンデス高地2校の小学校の学校菜園を、強風と寒さから守り、安定した学校給食の提供のための植林と、日本とエクアドルの子どもたちの絵画を通した交流
事業内容:2校の小学校敷地内で生徒の親、生徒が参加し、3,000本の苗木の植林、その後の育成作業。植林、育成作業に使用する工具の購入。日本(飯能市)とエクアドル(カヤンベ市・植林実施校)の子ども達が参加する絵画教室の開催と、飯能市でのその時の絵の絵画展の開催
昨年度の成果(2022年9月~2023年3月):
*2校の生徒、保護者、教師合計約600名が植林とその後の育成作業に参加し、合計3,000本の植林を行いました。
*飯能市では30名、現地でも50名の子どもが参加して、緑の自然環境をテーマに絵画教室が開催されました。そして3月に飯能市で交流絵画展を1週間開催し、期間中約300名が来場しました。会場では「緑の募金」活動を実施しました。
今年度の内容:今回の事業では三つの活動を行います。
1. アンデス山間地の2つの小学校の建物・学校菜園周囲の植林。農業技術者が責任者となり、苗木3,000本、肥料、穴掘り機材購入後、子ども、教師、保護者が苗木を植林し、生育に重要な一定期間にわたり世話にあたります。特に現地は標高が3,000mを越えるため、寒暖差に注意を要します。植林する苗木は、菩提樹、エニシダ、ふやふやなどの地域原産で、防風林として利用されているものを使用します。一環の活動は授業として位置付けられます。
2. 植林が安定的に行えるよう学校の水不足を補うため、各校に1つずつ1000リットルのタンクを設置します。
3. 現地と日本の子ども達が絵の交換をし、互いの地域の紹介をし合う活動を行います。子ども達は植林を通して地域の自然環境に主体的に関わり、理解を深めていけるよう配慮されます。
以上の事業に対する必要経費は、資材費(苗木、肥料、貯水タンク、機材購入費)、外部指導者経費(謝金)、事務費(事務・管理者人件費)、燃料交通費です。これらに加えて絵画の送付費用、絵画展の開催費、絵画指導教師への謝金などが計上されます。
期間:2023年10月から2024年3月
予算:総額722,000円 (助成額608,000円)
苗木、植林作業にかかる経費、貯水タンク、現地スタッフ人件費など
予算書参照。ただし、円の換算率によって変化があります。