2013年3月31日日曜日

奨学生からの手紙

奨学生から月に1度日本に住むパドリーノス(SANEの会員で文通相手)に寄せられる手紙に触れる機会があり、心から感動させられることがあります。
この手紙もそんな1通でした。東城事務局長の出張の折に普段は届けられないパドリーノからの思い思いのプレゼントを持って行っていただきました。そのお礼に書かれた奨学生の手紙です。
目の悪いパドリーノへの感謝といたわりに満ちた手紙です。
 
 
2013年3月10日 キトより


親愛なるパドリーノへ

あなたがお元気かどうか心配しています。でも一方で私はとても幸せな気持ちです。 2週間前にあなたからの手紙とプレゼントを受け取ったからです。 最も大切なこと、それは私がこれまで一度ももらったことのない最高のものを受け取ったということです。それは1冊の本でした。 受け取るやいなや私はその内容を理解しようとしました。どんなに幸せだったことか。絵は不思議でこの本のすべてが特別でした。スペイン語の本でないからといって心配しないでください。学校には良い英語の先生がいて私に教えてくれます。もちろんすべての語彙を理解できるわけではありません。でも大部分は私の理解できる範囲ですから簡単に本の意図することがわかるでしょう。
早く その風景を理解できるようになりますように。これは私のもう一つの夢です。いつか専門家となって私の夢を実現することができますように。
いったいあなたはどうやってこの本を選んだのでしょうか。きっとあなたは私のことをよくご存知なのでしょうね。これまでの3年の間に私はたくさんの手紙をあなたに書きました。ですから私がどんな人間かおわかりになったのでしょう。そして私があなたの手紙を受け取る時、私は人間として大事な新しいことを学びます。
私の父も本が好きです。そして仕事から帰ってくると椅子に座って読み始めます。
私はあなたの手紙を受け取りとてもうれしいです。私に手紙を書く努力をしてくださりありがとうございます。私はあなたがパソコンに向かう時間がそう長くはとれないことを知っています。

 すべてのことに感謝しています。

Sincerely,

2013年3月29日金曜日

Andrea、ようこそ日本へ!

アンドレアは、3月27日午後10時半、予定より5時間以上遅れて成田空港に到着しました。
迎えに出た東城事務局長、鈴木満さんと再会。疲れてはいたようですが、到着の喜びと安心の表情だったようです。
この日到着したアジアの他の国の研修生たちと一緒にアジア学院に向かいました。

2013年3月27日水曜日

アンドレア、今日日本へ!

いよいよ今日アンドレアが成田に到着します。(1日予定が違っていてあわてました・・・)
エクアドルでは彼女の壮行会が行われたようです。
また、SOJAEからは感謝の手紙が寄せられました。
アンドレアが研修を充実させ、彼女の成長、そしてエクアドル社会のために大きく貢献してくれることを願ってやみません。元気でがんばって、アンドレア!!

<カヤンベ支部からの手紙>

日本SANEのみなさまへ

SOJAE(ソハエ)カヤンベ支部はこの良き機会に、SANEのみなさまに心よりごあいさつし、その活動のご成功をお祈りいたします。
このたびは私たちの元奨学生の一人であるアンドレア・コヤギ―ジョがアジア学院の留学生となるための選考に参加させて下さり、選ばれるにいたった、そして日本に今この時に向かっていること(26日の午前0時5分に旅立って行きました。)、そのすべてのプロセスへのご支援に心より感謝いたします。
このプロセスが、私たちすべてにとって共有できる大きな収穫となりますように。

重ねてお礼申し上げます。

誠実に
カヤンベ支部長
ウィルソン・フランコ

Cayambe, 26 Marzo  de 2013

 Señores:

FUNDACIÓN SANE JAPÓN

Presente.-

Quienes conformamos SOJAE núcleo Cayambe aprovechamos la oportunidad para saludarles cordialmente y expresarles nuestros más sinceros deseos de éxitos en el desempeño de sus actividades.  

 El motivo de la presente es expresar nuestros agradecimientos por toda la gestión y el apoyo realizados por ustedes para que la Srta. Andrea Coyaguillo -una de nuestras exbecarias- haya podido: primero, participar del proceso de selección de becarios del Instituto Rural de Asia, luego haber sido elegida becaria y –ahora- viajar a Japón (El 26 de marzo a las 00H05 min Andrea partió con rumbo a Japón). En todo este proceso hay méritos compartidos, mas el suyo destaca entre los otros.

Una vez más, gracias.

Atentamente,

Sr. Wilson Franco

SOJAE – Cayambe

2013年3月22日金曜日

文通ってどんなことを書いているの?

SANEの会員の希望者がエクアドルの奨学生たちと行っている文通、どんなやり取りがあるのでしょうか。
最初は自己紹介やそれぞれの国の文化、行事、自然などの紹介が話題として取り上げられます。
たとえば、日本人にとって重要な四季の移り変わりは、エクアドルにはありません。乾季と雨季の違いを示す夏と冬という言葉はありますが、春も秋もないのです。
日本人は四季があることが普通だし、それが良いことだと思っている人は多いと思いますが、エクアドル人は四季がないことは良いことだと思っていたりします。
異なる環境に住んでいると常識も違います。そんなことに気づくのも面白いことですね。

少し文通が進んでくると奨学生たちは悩みを打ち明けたり、好きな人ができたことを報告したり、家族の病気やうまく行かないことなども書いてきます。文通相手に進路の相談をしたりもします。

少し紹介しましょう。

親愛なるマドリーナ(女性の文通相手を指すことば)へ     2月15日

昨日は最も好きな人に親友としてプレゼントをするという習慣となっている聖バレンタインが祝われました。

私は高校で友達がいますが、それほど仲良くはありません。一緒に食べたりはしますが、それだけです。でも一人親友がいます。タニアといって、小学校からの友達です。でもキトの学校に行っていてなかなか会えません。彼女のことをいつも懐かしく思います。

彼女は小さくて、緑の瞳を持っていて、だから私たちは彼女のことを『ネコ』と言っていました。やせていて、かわいい人です。私は彼女に、あなたが私に送ってくれた手紙をすべて見せています。彼女はあなたが送ってくださった日本の写真を見るのがとっても好きです。

1週間前に高校の絵のコンクールがあり、私も参加しました。賞をもらいましたが、ソハエの奨学生のカロリナも賞をもらいました。私たち二人は、今週の金曜日にカヤンベの全高校の絵画コンクールに出ます。
うまくいきますように。私は、あなたが私に送ってくれたはがきの桜の絵を描きます。これは私にとってとてもインスピレーションを与え、役に立つものでした。

ではこれでお別れします。私は今休暇中です。月曜日と火曜日はカーニバルの祝日だからです。多分これは重要な日なのですが、正直言って私はあまり好きではありません。どこに行っても気をつけていないと水をかけられるので、いやなのです。
 
お元気で。お手紙を待っています!



キトでの奨学生プログラム

キトはエクアドルの首都ですが、都市の周辺部に住む経済的な困難を抱えた子どもたちは、農村部にすむ同年代の子どもたちとは異なった問題を抱えています。
同じ貧困と言っても都会の周辺部の貧困は非行や孤立を生みやすいのが特徴です。
家庭の問題を抱えて、自己肯定できない子どもたちもたくさんいます。
SANEの奨学生支援は中学校・高等学校に通う、いわば思春期に入ろうとする子どもたちを対象にしています。
彼らの多くは思春期の問題も抱えています。
SOJAEは、そうした奨学生たちを対象に、自己を知り、ありのままを認め、自信を持って表現できるような取り組みや性と生の教育(ジェンダー教育)、その他多様なテーマを毎月の講座で取り上げています。
日本のSANE会員の文通相手は、そんな彼らから毎月手紙を受け取り、返事を書くことで交流を深め、応援しています。

2枚の写真は、ワークショップを楽しむ奨学生たち。後ろの風景で都会の様子が少しわかりますね。

もう1枚は、3月8日の国際女性デーの時の写真。男子奨学生が女子奨学生に花を贈っています。



2013年3月21日木曜日

村の力を感じるピタナアルト・出張報告(3)


2月12日 ピタナ・アルト訪問

10時、学校に到着。予定していた校長の参加はなく、村の代表と20名近くのお母さんの出迎えを受ける。ここは2年前より学校菜園を始めた学校である。この地域は代表がしっかりしていて、組織化が進んでいる。学校所有の土地は一千坪を超え、ほぼ全てを栽培に使用していた。昨年度の学校菜園耕作地は、今年度も父兄により耕作されていた。栽培作物はオカ、メジョコ、マチュア、レンズ豆といったアンデス伝統作物に加え、ブロッコリー、キャベツ、ソラマメ、レタス、ジャガイモが栽培されていた。
ここも朝は政府から供給されるビスケットとプロテインのようなものが120名の幼児、生徒に供給されているだけである。このような中で、この菜園の収穫物は一年を通し切れることなく給食として提供されている。代表から種と肥料の提供をお願いされたが、ヘルマンによると、この地域は人々が自立しているので、自分たちで問題を解決する力があり、心配はないという。こういう地域は、支援のしがいがあってとても好きだと言っていた。ケチュア語しか話さない住民も多かった。彼はこの地域にも影響力をもつ教育委員のセグンド・デ・ラ・トーレスさんと共に活動している。
鈴木満さんの植樹状態は、まだ20㎝程度の成長にとどまっていたが、サン・パブロ・ウルコ同様に専任を決め、大事に育てられていた。防風林として効果を持つまでには少なくても3年必要である。現地の人々は「Planta Arboles de Sr. Suzuki(鈴木さんの植樹園)」と呼び、スズキの発音が難しいと言っていた。
余談であるが、昨日の休日に自治体工事関係者が来て、水洗トイレ建設に必要な汚物を貯め、自然濾過するための大きな穴を掘っていったが、それを見てヘルマンが、この穴は砂の地層部部が無く、浄化機能を持たないし、また位置的にも土壌汚染の原因になると住民に説明していた。

 

2013年3月15日金曜日

出張報告(2) サンパブロ・ウルコ訪問

 2月11日 930分、現地到着。
 
学校菜園の説明と畑を見る。現在、栽培中の作物は、ソラマメ、レタス、キャベツ、ジャガイモに似たイモ(このイモは3ヶ月で収穫でき、ゆで時間も数分で済むインスタントジャガイモ)、ブロッコリー、赤い葉っぱの作物、人参、その他2種類の作物である。生育状態はこのところ雨が続き、順調に育っていた。
 
現在、学校給食はこの2年間実施されていない。そのため、この菜園での収穫物は、給食食材として貴重なものとなっている。利用の仕方は、基本的には塩味のスープにジャガイモであるが、栄養価の不足を補うために収穫時期に達した作物からスープに入れられる。日本のように、一度に収穫することはなく、キャベツなども外側の葉っぱから利用される。朝食をとらない子どもたちにとって10時半に提供される給食は貴重なものである。そして、年間を通して収穫が続き、食材として利用できるように時期をずらした栽培がされている。しかし、根菜類や豆類の種の採取は比較的簡単であるが、キャベツ、レタスなどの葉物野菜の種の採取が不可能のため種を購入しているが、不足する。この野菜は、子どもたちが特に必要としている栄養を補うものであり、今後、種の確保が課題である。給食が長期間にわたり実施されていない現状の中で、学校菜園に重要性は高い。以前は、教育的な視点からの評価が主なものであったが、現在は子どもの栄養改善の視点が高い。

 技術訓練事業は、溶接課程が実施されている。ここでは経験者を対象とし、3年の経験を持つ15歳の生徒が主である。数ヶ月で卒業してこの地を離れ、町の学校に通うそうである。学校敷地内の建物や運動場のあちこちで、実習で製作されたものが目に付いた。過去には詳子さんとともに写真に収められていた滑り台、ブランコが有名である。今回はバレーボールネット支柱、バスケットゴールである。また、家で使う道具として、家畜をつなぐ杭、台所の窯の台を子どもたちは制作し、家庭で使用していた。特にかまどの台は以前は石を積みあげたものであったが、鉄骨にり安定し、やけどなどの事故を防げるようになった。
小規模産業の話を進めるつもりであったが、具体的に実現する人材と資金がなく、これからの課題となった。資材の在庫は底をつき、新たな製作は止まっていた。また、高温溶接が可能なガス溶接機材の購入を要請された。この機材の利用により強度が必要な製作が可能となる。担当者のヘルマンは現在自治体機関と交渉を続けている。特に選挙中には担当者も積極的に対応する。大事なことは、実際に現地を訪問させ、その成果を見せ、この事業を予算とともに他の学校に広げていくことであると彼は言っていた。また、新たな溶接機材の購入により講師のマヌエル・キロを外の仕事に派遣し、彼が受け取るお金の25パーセントを事業に収め、資材購入等の資金に充てる考えをヘルマンは持っていた。そして将来はこの場所で実習の一環としてマヌエルの仕事を生徒たちが行うことも考えていた。

 17時より、SOJAEカヤンベ事務所で支部会議に参加する。
カヤンベ支部では奨学生たちが取り組んできた人形劇などを通したワークショップの話があった。もう始まってから数年が経過しているが、現在は多くの卒業生や、奨学生により、劇を媒体として子どもたちに人権や環境保護などのテーマを伝えるために実施されている。ダンスが得意な元奨学生のシンシアが毎週末キトの大学から帰り、中心となって奨学生をまとめていた。水曜日、初めての練習的なお披露目が行われる。
 
日本に留学を予定している元奨学生のアンドレアは、身分証明書、パスポートの取得は完了し、今週中に米国大使館、日本大使館にVisa申請を行う予定である。その後、航空券の購入となる。彼女は農村のコミュニティー出身であり、現在も若者を組織した活動をしている。将来農業地域の優秀な指導者になると私は思った。
 
会議終了後、参加者を招待し、食事会を持った。

2013年3月10日日曜日

アンドレア日本へ!

3月26日アンドレアが9ヶ月間の農村リーダー研修を受けるために日本にやってきます!
ようやくアメリカのビザが取れ、来日の日程が決まりました。
残念ながら航空券の関係で予定より遅くなってしまったために、3月24日に予定されていたアンドレアとの交流会は延期となりました。
研修先はアジア学院です。
SANEでは5月27日に予定されている総会に合わせて交流会ができないかと準備しているところです。

写真は2011年3月のもの。右からアンドレア、木崎、シンシア、ガブリエラ。

2013年3月4日月曜日

出張報告会開催される

昨日、3月3日は東城事務局長の出張報告会が開催されました。
会場には20人余りの方が集まり、行ってきたばかりの現地の新鮮な話を聞きました。
現地の子どもたち、スタッフや学校の先生、地域リーダーの様子、キトの変化、奨学生との交流など1時間余りの話はなかなか実際には触れられない貴重な話ばかりでした。
会場からはいくつかの質問も出て関心の高まりが感じられました。最後には『エクアドルに行ってみませんか?そろそろツアーをやりたいですね』という問いかけに、行ってみたい!という方々の元気な手が上がりました。

また、コーヒータイムにはコーヒー店でしっかり学んできたふやふやスタッフが入れたおいしいエクアドルコーヒーを飲み、生活クラブ生協などの原料を使い、手作りの安心でおいしいクッキーやケーキを楽しみました。
 
3月24日には、アンドレアの来日をきっかけにまた会合が行われます。ぜひお出かけください!

2013年3月1日金曜日

東城エクアドル報告(1)ロッテドスでの学校訪問


2月10日 午前10時 
ここは、現在、技術訓練支援事業が3年目を迎えている。
当日は、木工工芸、溶接担当の指導者、並びに講習参加生徒が待っていた。溶接実習中の4人の若者は、実習教室に設置する棚枠の溶接作業中で、現在、15歳の一人はこの地域で溶接技術を利用した職に就きたいと言っていた。
学校内には、過去の溶接実習で作成されたコンピューター室の机、ガラス窓の外枠、ドアなど多く目にすることができ、有効に利用されていた。木工工芸講習に参加している子供達10名くらいが作業中であった。指導教師に話を聞いたが、この講習の目的は、子どもたちが余暇を有意義に過ごせるようにというもの。地域において子どもたちが芸術関係の分野の講習を受け、実習することは今まで全くなかった。この事業はとても貴重なものである。子どもたちは創造性を働かせ作品の制作をしている。それは、道具の使い方、色の使い方など。木工工芸に関しての将来性は、小企業として、周辺の観光資源を利用した開発を進めることで企業化の可能性は高まるが(具体的には、周辺には観光地での土産物として木工工芸品を販売する)、地域の指導者は政治的ではあるが、暮らしをよくする具体的な観点は持っていない。

 溶接課程の地域貢献はかなり高いと感じた。学校施設や周辺の学校施設の椅子、机等の修繕に取り組み、成果を出している。

 視察後、給食室でお母さんたちからビスケットとゆで卵の接待を頂いた。その席上、指導講師、助手たちの会話の中で、今後の進み方として2つの観点を持ちながら進めていくことが話された。一つはBuen Vivir(良き生活)の観点、もう一つは地域で自立したmicro empresa(小規模産業)実現の観点である。

 学校菜園事業は、現在、ロテ・ドスでは実施されていないが種子を提供することで過去の経験により実施されている。しかし、昨年は作物の不作で給食への提供は十分ではなかった。主な収穫作物はレタス、キャベツである。種子の提供は学校菜園事業が持つ大きな目標であり、その実現は大事なことである。
この地域をはじめて訪問したのは今から12年以上前であった。今、感じることは事業に参加している若者たちの地域をよくするための積極的な意見と子どもたちの作業に没頭する真剣なまなざしであった。以前は口数の少ない人たちで、援助の期待しか口にしなかった。今も、もちろん事業の継続を訴えるが、その内容は「ボール盤があると多様なものの制作が可能だから購入できないか」といった非常に具体的なものであった。ここまでたどり着いたスタッフのヘルマンやダーウィンの努力を実感した。そして校長であるアンヘル・アスキに感謝したい。このアンヘルであるが、昨年10月電動グラインダーが飛んできて彼を目を直撃した。来週18日に退院するが片目を失明する大変な事故となった。今後、彼がこの地で今まで同様活動することを願う。