2013年3月15日金曜日

出張報告(2) サンパブロ・ウルコ訪問

 2月11日 930分、現地到着。
 
学校菜園の説明と畑を見る。現在、栽培中の作物は、ソラマメ、レタス、キャベツ、ジャガイモに似たイモ(このイモは3ヶ月で収穫でき、ゆで時間も数分で済むインスタントジャガイモ)、ブロッコリー、赤い葉っぱの作物、人参、その他2種類の作物である。生育状態はこのところ雨が続き、順調に育っていた。
 
現在、学校給食はこの2年間実施されていない。そのため、この菜園での収穫物は、給食食材として貴重なものとなっている。利用の仕方は、基本的には塩味のスープにジャガイモであるが、栄養価の不足を補うために収穫時期に達した作物からスープに入れられる。日本のように、一度に収穫することはなく、キャベツなども外側の葉っぱから利用される。朝食をとらない子どもたちにとって10時半に提供される給食は貴重なものである。そして、年間を通して収穫が続き、食材として利用できるように時期をずらした栽培がされている。しかし、根菜類や豆類の種の採取は比較的簡単であるが、キャベツ、レタスなどの葉物野菜の種の採取が不可能のため種を購入しているが、不足する。この野菜は、子どもたちが特に必要としている栄養を補うものであり、今後、種の確保が課題である。給食が長期間にわたり実施されていない現状の中で、学校菜園に重要性は高い。以前は、教育的な視点からの評価が主なものであったが、現在は子どもの栄養改善の視点が高い。

 技術訓練事業は、溶接課程が実施されている。ここでは経験者を対象とし、3年の経験を持つ15歳の生徒が主である。数ヶ月で卒業してこの地を離れ、町の学校に通うそうである。学校敷地内の建物や運動場のあちこちで、実習で製作されたものが目に付いた。過去には詳子さんとともに写真に収められていた滑り台、ブランコが有名である。今回はバレーボールネット支柱、バスケットゴールである。また、家で使う道具として、家畜をつなぐ杭、台所の窯の台を子どもたちは制作し、家庭で使用していた。特にかまどの台は以前は石を積みあげたものであったが、鉄骨にり安定し、やけどなどの事故を防げるようになった。
小規模産業の話を進めるつもりであったが、具体的に実現する人材と資金がなく、これからの課題となった。資材の在庫は底をつき、新たな製作は止まっていた。また、高温溶接が可能なガス溶接機材の購入を要請された。この機材の利用により強度が必要な製作が可能となる。担当者のヘルマンは現在自治体機関と交渉を続けている。特に選挙中には担当者も積極的に対応する。大事なことは、実際に現地を訪問させ、その成果を見せ、この事業を予算とともに他の学校に広げていくことであると彼は言っていた。また、新たな溶接機材の購入により講師のマヌエル・キロを外の仕事に派遣し、彼が受け取るお金の25パーセントを事業に収め、資材購入等の資金に充てる考えをヘルマンは持っていた。そして将来はこの場所で実習の一環としてマヌエルの仕事を生徒たちが行うことも考えていた。

 17時より、SOJAEカヤンベ事務所で支部会議に参加する。
カヤンベ支部では奨学生たちが取り組んできた人形劇などを通したワークショップの話があった。もう始まってから数年が経過しているが、現在は多くの卒業生や、奨学生により、劇を媒体として子どもたちに人権や環境保護などのテーマを伝えるために実施されている。ダンスが得意な元奨学生のシンシアが毎週末キトの大学から帰り、中心となって奨学生をまとめていた。水曜日、初めての練習的なお披露目が行われる。
 
日本に留学を予定している元奨学生のアンドレアは、身分証明書、パスポートの取得は完了し、今週中に米国大使館、日本大使館にVisa申請を行う予定である。その後、航空券の購入となる。彼女は農村のコミュニティー出身であり、現在も若者を組織した活動をしている。将来農業地域の優秀な指導者になると私は思った。
 
会議終了後、参加者を招待し、食事会を持った。

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