2014年11月13日木曜日

文通を通して支援する

エクアドルの子どものための友人の会(SANE)では、会員の方とエクアドルで学ぶ奨学生との間で毎月の文通を通して交流し、困難の中を生きる子どもたちを支援しています。
文通にどんな力があるのでしょうか。一つの例をご紹介します。これはSANEの会報(No.98:2014年10月号)に掲載されている記事です。下のお知らせや上のダウンロードからもご覧になれます。

<マドリーナ(文通してくださっている方を指す言葉)より>
 
奨学生との楽しい文通                            会員 浅見博美
 
 
私が今文通しているのは、高校2年生になったばかりのアレクシスです。彼は将来のために、とてもがんばって勉強をしています。家の手伝いもよくするすばらしい少年です。

アレクシスの手紙を通じて、エクアドルの男の子たちも、日本の男の子と同じようにゲームやアニメ、音楽などが大好きということを知り、とても身近に感じました。彼はポケモンが好きみたいです。彼の手紙にはいつも、私が困ってないだろうか、元気にしているかどうかということが書かれていて、相手を気遣う気持ちが伝わってきます。今の日本の子供たちは、こんな風に素直に相手に気持ちを表現して手紙が書けるのだろうかと、ふと考えてしまいます。私自身、日常では手紙を書くことがすっかりなくなりました。この文通を通して、しばらくぶりに手紙を書くことが新鮮でした。普段、メールでの短い言葉のやりとりはあっても、手紙は全く別のものだと感じます。メールは瞬間的なやりとりですが、手紙はじっくり考えて書いて、ゆっくり届きます。そんな手紙のやりとりは、とても楽しいものです。

アレクシスがエクアドルで一生懸命勉強していることが、きちんと評価され、希望の仕事につけることを祈っています。また、いつか日本に来てくれたら、どんなにうれしいことでしょう。遠い日本から応援しています。
 
<奨学生より>
 
奨学生 アレクシス・ウエラ

僕はアレクシス・ウエラ。アザミ・ヒロミさんとの僕の文通についてお話しします。ヒロミさんへの手紙で、僕は日々起こる出来事をなんでも話します。学校ではどんなか、両親は元気か、僕は病気などしていないか、などなど。それから、ふつう毎月、ヒロミさんが健康かどうか尋ね、僕がとても気にかけていることを伝えます。手紙ではたくさんの情報を送ります。ヒロミさんは喜んで熱心な返事をくれ、それで僕は安心して先へと進んでいきます。私たちのヒロミさんとの関係はとても安定したものです。ヒロミさんも、その時の出来事や、過去数週間になにがあったかをいつも話してくれ、僕は心が躍ります。これが僕たちの文通の基本です。


ヒロミさんは、とてもよい人です。とても優しくて、誰とでもつながりを大切にするのがわかります。手紙が送られるとそんな彼女ヒロミさんを想像し、その感情が伝わるのを感じ、こうした経験のやり取りをとても楽しいと思います。実際にヒロミさんに会って、僕の国の文化や伝統を一緒に見たり聞いたりできたらいいだろうなあ。


僕はヒロミさんが大好きで、僕たちの交流は、お互いの友愛に基づくものです。


「僕が向上するチャンス、僕には成功を阻むすべての障害に立ち向かう力があると知るチャンスを与えてくれてありがとう」
 

2014年11月11日火曜日

サネビジョン10月号掲載

SANEVISION No.98(2014年10月号)を掲載しました。
ご覧ください。      

新奨学生紹介ー貧困、困難の中を生きる子どもたちに寄り添う

SOJAEでは、今年度(現地の学校年度は8月に始まります)の新奨学生を選考していましたが、このほど10人全員が決まりました。
 
20148月から20157月までの新年度は35名の奨学生を支援することになっています。内訳はキト支部18名、カヤンベ支部17名です。このたび両支部は新しい奨学生を5名ずつ選びました。大変な困難の中を生きている子どもたちばかりです。この子どもたちに寄り添って基礎教育(高校卒業まで)が修了できるよう支援していきます。
 
キト奨学生は、エミリ、ニコル、エリカ、ジョナタン、そしてもう一人のジョナタンの5人です。
 
エミリは中学3年生の女の子。勉強が好きで人懐こい性格。家はとても貧しくて母親と2歳の妹と生活。困難を抱えながらも前向きに生きている子です。
 
ニコルは高校1年生の女子。やはり最低賃金以下(300ドル余)の暮らしをしていますが、勉強の好きな優秀な生徒です。将来は医師になりたいという希望を持っています。
 
エリカも中学2年生の女子です。責任感が強い子でリーダーとして学校でも活躍しているとのこと。家計は大変ですががんばりやさんです。
 
ジョナタンは男子で両親を事故で失い叔父と暮らしています。高校2年生で奨学生としていられる期間は短いのですが、今彼を支援することは大きな意味があると考えて決めました。困難にもかかわらず明るい子です。
 
もう一人のジョナタンは、恥ずかしがり屋の高校1年生。母親と姉と3人で暮らしているけれど、母親にはおまり仕事がなく、経済的に大変な暮らしをしています。
 
 カヤンベ支部の5人は、ウィリアム、アントニー、フーリア、アレクサンドラ、ヒメナです。
 
ウィリアムはまだ小学6年生の男の子。通常奨学生になれるのは中学校段階からなのですが、彼の家があまりにも貧しく、学用品はおろか食費を賄うのも大変な状況で、少しでも助けたという意図で奨学生として選びました。
 
アントニーは高校1年生の男子です。父親が亡くなり母親も家出してしまい、祖母と一緒に暮らしています。まとまった収入もありません。そのような状況にもかかわらず成績優秀で前向きに生きている子です。
 
フーリアは高校1年生。学校の清掃などをしている母親と3人の兄弟と一緒に暮らしていますが、収入は50ドルで受給していた生活保護もなくなってしまったという悲惨な状況です。彼女ほどの貧困の中に生きている子を支援していくのはカヤンベ支部にとっても一つの挑戦といえるでしょう。
 
アレクサンドラは中学3年生の女子です。母親が亡くなり父親は彼女と兄を捨てていなくなりました。今は二人で暮らしています。その上彼女は病気も抱えています。それにもかかわらず明るく前向きに生きようとしています。
 
ヒメナは7人兄弟の長女です。母親は子どもを顧みることがほとんどなく、兄弟は違った父親の子どもです。このような中ヒメナは母代りになって一家を支えています。