2018年3月31日土曜日

日本エクアドル外交関係樹立100周年記念イベントin飯能

今年は日本とエクアドルの外交関係樹立から100周年ということで、エクアドルとゆかりのある地域で交流行事が行われたり準備されたりしています。
SANEが事務局を置いている飯能でも楽しい企画が準備されています。
詳細は後日お知らせしますが、
6月16日から30日まで飯能市商店街にてエクアドルウィーク
6月30日は飯能市市民会館にて式典とコンサート、中央公園でカヤンベ市と飯能市の友情の植樹を行います。
どうぞ、みなさまこの期間に飯能にお出かけください。
なお、FACEBOOKにイベントページもございますのでこちらもご訪問ください。

2018年3月28日水曜日

エクアドルチョコレートの話

『世界のみんなと手をつなぐ店ふやふや』は、SANEに寄付をするためにフェアトレード品を中心にエクアドルや色々な国の良品を販売している小さなお店です。これまでエクアドルのコーヒー、チョコレート、民芸品などを飯能市の皆さんやイベントにおいでになった方々にご紹介して来ました。
今日はその中でチョコレートのことを紹介します。
ふやふやの商品は基本的に現地に行く、あるいは輸入業者さんを尋ねるなどをして、生産者や仲介者と顔の見える関係を築いています。消費者の皆さんとも身近につながっているのが特徴です。チョコレートも同じです。
ふやふやはこれまで10年ほどにわたりサリーナスのチョコレートをスローウォーターカフェを通して販売して来ました。最初の頃は商品の包装にほころびがあったりしたこともありましたが、長く人々に愛され今年も売れ行きは好調です。このチョコレートが大好きなリピーターさんが多いのが特徴です。私はチョコレート生産が始まる前のサリーナスを訪問しましたが、経済的な困難を抱える人々の地域が一丸となった努力を知ることができました。また、スローウォーターカフェの藤岡さんとも長くおつきあいをさせてもらっています。
そして今回はパートナーズジャパンYAMATEさんのご紹介で、なんと私たちが活動しているカヤンベ市の工場で生産されているHOJA VERDEのチョコレートを扱ってみました。実は現地メンバーさえもすぐそばにこのチョコレート工場があることに気づいていませんでした。ところが知ってみるととってもつながりがあったことがわかったのです。(上、左、下の写真はカヤンベの工場)

キトの本社を訪ねて、社長さんのべレスさんにお会いしてお話を伺い、後日カヤンベの工場をSOJAEカヤンベ支部のスタッフと一緒に訪ねました。
工場は作業しているところや材料保管庫を見学できるように大きなガラス張りになっていて明るい環境で大変清潔感が感じられました。チョコレート製造のための機械がたくさん動いていました。

べレスさんのこだわりで、同じ思いを持つ農家さんと契約をし、そこからオーガニックの材料(カカオに限りません)が運ばれて来ています。
工場ではカヤンベの人々が働いています。地元に雇用を生んでいることもわかりました。そして驚いたことに、カヤンベスタッフのアンドレアのいとこがここで働いていることもわかりました。(写真)
外国からもお客様や研修生がきているようでした。
社長のべレスさんはエクアドル人で、社会貢献の気持ちもお持ちの方です。今後カヤンベの子ども達のために何かできたらとおっしゃっていただきました。(写真左下)

このチョコレートは大変品質の良い、エクアドルのカカオの良さを感じられる美味しいチョコレートです。現在、飯能銀座通り商店街にあるブックマークで販売中です。どうぞお立ち寄りください。もちろん収益金は全てSANEに寄付され、SANEを通してエクアドルの教育支援に使われます。プレゼント用の素敵な封筒とメッセージカードがついています。













2018年3月26日月曜日

子ども達の元気な学校生活のために

<事業提案までの経過>
SANEがJICAに提案している事業が採択になりました。この事業のきっかけは2003年に始まった学校菜園と2014年の出張の時の経験に遡ります。
SANEは2003年より、それまでの教室建設や修理と違って教育内容に関わる事業を始めました。それが学校菜園事業です。元々は『伝統種子の回復と保存』という課題で始まったのですが、実際にやってみると子ども達の栄養状態が悪く、種子の保存の前に収穫物を子ども達の食事として提供する方が緊急の課題だと捉えるようになりました。事業名も食の安全保障という名前に変化していったのです。


そして2014年、出張でウンベルトフィエロ校に行き、3歳から6歳児のクラスの先生にインタビューをした時に「子ども達がお腹をすかせて私のバッグの中を食べ物を探すのです」という涙ながらの言葉を聞いたのでした。政府は予算不足のため不十分だったそれまでの手作り給食を廃止し、全員に行きわたるようにと工場製品のシリアルバーとポタージュ用の粉の配給にしていました。いくつかの学校には購買があったり食べ物を売りにきたりする人がいて、お金を持ってきている子は食べ物を買うことができます。けれども幼い子どもやお金のない子は帰宅するまで食べるものはシリアルバーだけになります。特に遠くから学校に通ってくる子は長時間空腹に耐えなくてはなりません。
手作りの学校給食を取り戻したい、スタッフは直ちに動き始めました。お金を集めて学校独自で食事の提供をするようにという保護者や教師への働きかけ、また一方で政府への訴えも行ってきました。学校独自の給食を出せるようにしたい、それも一次的なものではなく、継続的にできるように、さらに多くの学校で、というSANEの願いは大きく膨らみ、今回の事業提案に至ったのです。
<事業の概要> ここに記載されたものは決定ではなく、これから検討を重ねて行きます。
*プロジェクト目標(3月現在)
 カヤンベ郡の6校で栄養豊かな給食(補完食)を週に2回以上継続的に提供する

*活動

1. 給食の実施と継続のための仕組みとして教育委員会、6校の教師、保護者、SOJAE、SANEの参加で栄養改善委員会を作る。また、各校に給食委員会を設置し、食材の調達の方法、調理の担当、必要経費の捻出などについて話し合う
2. 対象校で学校菜園を実施し、教師と子ども達が伝統作物のより良い栽培技術と知識を得、マニュアル作成、教師ネットワークの立ち上げにより学びの共有を図る
3.対象校の教師、保護者を対象に子供達の健康(栄養)の現状を知り、栄養の知識、調理技術に関する講座を開催し、保護者会でも話題にして、栄養と食に対する意識を育て、給食開始へと導く

*期待される成果
1.     対象校の給食が開始され、継続するための仕組みが整う 
2. 校の学校菜園で教師と子ども達が伝統野菜などの栽培の技術と知識を得る
3. 対象校の担当教師、保護者と子どもの栄養と食に対する意識が高まる

写真は今年2月の出張時のものです。

2018年3月15日木曜日

JICAへの事業提案が採択されました

昨年より採択をめざして現地と共に準備をしてきた『カヤンベ郡の学校菜園と学校給食の実施を通した子ども達の学校生活改善プロジェクト』の案件が採択されました。
SANEとSOJAEのプロジェクトチームの努力が実りよかったと思うと同時に、今後カヤンベの皆さんと共にこの事業の成功を通して子どもたちの学校生活が少しでも良くなっていくように頑張っていきたいと思います。
事業の内容については改めてご報告します。

2018年3月2日金曜日

エクアドルからの出張報告(3)


6校の調査を終えて、最後にカヤンベ地区教育委員会の協力で6校の先生たちに集まっていただきました。
この会は初めて全員の先生方に集まってもらいましたが、これは各校が別々に取り組むだけではなく、先生方と一緒にチームを組んで問題を考えたり活動をしていけるようにするという目的があります。
会ではSANE の紹介、これまでの事業の説明をし、先生方と一緒にどのような問題があるのかを出し合いました。
まず最初に、各自が感じている問題を紙に書いて出し合いました。写真はその様子です。最初は戸惑いがちだった先生方もやがて積極的に書いてくれるようになりました。これをホワイトボードに貼って、同じ問題をグループにまとめました。栄養不足への懸念、学習に関する問題、子ども達の生活背景に関する問題などいくつかの問題群が出ましたが、その中から中心的な問題を『子どもたちの栄養不足』と定めました。
その後、この問題の原因となっているのは何か、そしてその問題があるためにどのような結果を招いているのかを出し合って、問題分析を行いました。写真はまとめていく過程の様子です。

 ここで原因としてあげられたのは、両親が仕事で家にいないこと、栄養の知識がないこと、食事の内容が貧しいこと、販売目的の単一栽培になってしまっていることなどでした。
結果としてあげられたのは、学習への影響(集中できない、考えることが苦手、疲れやすいなど)、病気になりやすい、乳児死亡の多さなどです。このあたりから先生方の積極的な発言が見られるようになり、普段感じていることを発言していただきました。
次に、目的分析に移り、事業の目指すべきことを『子ども達の栄養改善』とし、そのための方法と、その結果どのような成果を目指すのかについて出し合いました。
方法として出されたのは、栄養研修、学校菜園、農業従事者の専門性を上げること、家畜を育てることなどでした。また、目指す成果は、食事の質をあげること、良い食材を生産すること、農業の質をあげることなどでした。そして、大きな目的として学校給食の実現が挙げられました。
各校の先生方(校長先生、学校菜園担当)は授業のあと集まってくださり、午後5時ごろまで2時間を超える会となりましたが、大変積極的に発言してくださり、充実した会になりました。

その後、SANEがこれから行おうとしている事業について説明をしました。今回先生方が話し合ったこととしっかりとこの事業が繋がっていることが共通認識となったと思います。
これまでSANEは1校1校と緊密に連絡を取って長く活動をしてきましたが、学校を超えて先生方が集まるような機会を作ることはできませんでした。今回はJICAが協力をしてくださったおかげで、国レベルでSANEの事業が認められたため、教育委員会の理解を得ることができ、こうした動きに繋がったのです。このことは先生方が子ども達の抱えている共通の問題を認識したり、その解決に向かって一緒に考えたり活動したりしていく力になっていく可能性ができたのだということを強く感じました。
また今回の出張の中で、元奨学生達が主体的に会を良い方向に導いていたのが印象的でした。写真は、問題分析と目的分析をまとめたダーウィン、そして事業の概要説明をしたアンドレアです。彼らが大学を出て専門家となって地域で活躍している姿は大変印象的でした。最後に杉田より先生方に、今後もチームとしてこの課題に取り組み成功に導いてきましょうと話をさせてもらい、参加者たちの一致をみることができました。現地の大きな期待を感じました。
この会議には、前日深夜に日本から到着した事務局長の東城も参加し、事業への期待を語るとともに日本のお菓子の差し入れがありました。
事業の今後が楽しみです。