SANEがJICAに提案している事業が採択になりました。この事業のきっかけは2003年に始まった学校菜園と2014年の出張の時の経験に遡ります。
SANEは2003年より、それまでの教室建設や修理と違って教育内容に関わる事業を始めました。それが学校菜園事業です。元々は『伝統種子の回復と保存』という課題で始まったのですが、実際にやってみると子ども達の栄養状態が悪く、種子の保存の前に収穫物を子ども達の食事として提供する方が緊急の課題だと捉えるようになりました。事業名も食の安全保障という名前に変化していったのです。
そして2014年、出張でウンベルトフィエロ校に行き、3歳から6歳児のクラスの先生にインタビューをした時に「子ども達がお腹をすかせて私のバッグの中を食べ物を探すのです」という涙ながらの言葉を聞いたのでした。政府は予算不足のため不十分だったそれまでの手作り給食を廃止し、全員に行きわたるようにと工場製品のシリアルバーとポタージュ用の粉の配給にしていました。いくつかの学校には購買があったり食べ物を売りにきたりする人がいて、お金を持ってきている子は食べ物を買うことができます。けれども幼い子どもやお金のない子は帰宅するまで食べるものはシリアルバーだけになります。特に遠くから学校に通ってくる子は長時間空腹に耐えなくてはなりません。
手作りの学校給食を取り戻したい、スタッフは直ちに動き始めました。お金を集めて学校独自で食事の提供をするようにという保護者や教師への働きかけ、また一方で政府への訴えも行ってきました。学校独自の給食を出せるようにしたい、それも一次的なものではなく、継続的にできるように、さらに多くの学校で、というSANEの願いは大きく膨らみ、今回の事業提案に至ったのです。
<事業の概要> ここに記載されたものは決定ではなく、これから検討を重ねて行きます。
*プロジェクト目標(3月現在)
カヤンベ郡の6校で栄養豊かな給食(補完食)を週に2回以上継続的に提供する
*活動
1. 給食の実施と継続のための仕組みとして教育委員会、6校の教師、保護者、SOJAE、SANEの参加で栄養改善委員会を作る。また、各校に給食委員会を設置し、食材の調達の方法、調理の担当、必要経費の捻出などについて話し合う
2. 対象校で学校菜園を実施し、教師と子ども達が伝統作物のより良い栽培技術と知識を得、マニュアル作成、教師ネットワークの立ち上げにより学びの共有を図る
3.対象校の教師、保護者を対象に子供達の健康(栄養)の現状を知り、栄養の知識、調理技術に関する講座を開催し、保護者会でも話題にして、栄養と食に対する意識を育て、給食開始へと導く
*期待される成果
1. 対象校の給食が開始され、継続するための仕組みが整う
2. 校の学校菜園で教師と子ども達が伝統野菜などの栽培の技術と知識を得る
3. 対象校の担当教師、保護者と子どもの栄養と食に対する意識が高まる
写真は今年2月の出張時のものです。
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