2019年8月17日土曜日

事業の一年を振り返って

カヤンベ市で行われている『エクアドル共和国ピチンチャ県カヤンベ市の学校菜園と学校給食の実施を通した子ども達の学校生活改善プロジェクト』は、JICA草の根支援事業としては20193月から20196月にかけて6つの村の小中学校で行われましたが、実際にはSANEの資金で2018年9月の年度当初から始まっており、ちょうど1年が経過しました。
この1年を振り返って、事業の成果と課題を何回かにわたってとりあげます。このレポートは、現地事業で農業専門家として活躍しているジョセリン・コヤゴ(元奨学生)の報告を基にしたものです。


事業が行われている学校がある村は、どこも人々の食の環境上大きな問題を抱えています。この事業は人々に受け入れられており、教師、保護者、生徒達の積極的な参加の結果、大きな成果があげられています。(写真はグスタボアドルフォベッケル校。標高3600mでも素晴らしい菜園ができました)

<一番の問題は水の獲得>
 最も大きな問題は『水』です。どの村でも水へのアクセスが継続的ではなく不十分であり、人々の健康的な生活に大きな問題を与えています。村の人々は日常的にミンガ(共同作業)を行い、わずかな水を確保したりメンテナンスをする必要があります。生活に使われている水は、こうして設置されたパイプを通してきていますが、それは物理的にも、化学的にも安全を得るための処理をされていないことを意味しています。自然の水源から直接引いたこのような水は灌漑用には適していますが、その灌漑用水も入手が難しいのが現状です。飲用水は村では手に入れることはできません。
 いくつかの学校では雨水をタンクに貯めて使い、これが重要な水不足への解決になっています。SANEは2000年代の初期に埼玉国際基金などの支援で多くの学校に貯水タンクを設置したり供給管を設置したりしてきました。この事業が今も多くの学校の水の獲得に効果を上げていますが、まだまだ不足していること、そして飲用水は全く確保できていないことが大きな問題になっています。

<子ども達の学校での食事>
  エクアドルでは、学校給食プログラム(PAE)10年生までの公立小中学校で実施されており、午前中に朝食としてテトラパックに入った味付けの牛乳と軽食(クッキーやシリアルバーのようなもの)が毎日配られています。しかしながらそれは家から遠く離れた学校に通う子ども達にとってニーズを満たすものではありません。この問題はブログでも何度も取り上げてきました。2018年3月26日や2019年4月29日のブログをご覧ください。特に4月29日のブログに書かれてあるような、給食の提供できていない子ども達の学校での様子は、心が痛むものです。
  これまで続けてきた学校菜園事業は期待された成果をあげ、全ての学校に完全な一皿の食事(一回の食事として栄養的に満たされているもの)提供するために活動しています。6月の年度終了時、事業校6校のうち2校では週に5日の、他の1校は週に2回食事を提供していました。残りの3校はまだ提供できていませんが、保護者たちが菜園の収穫があったときにパンバメッサ(全員で収穫した食材を展示したり、食事を共にすること。写真はカルロスビセンテアンドラーデ校のパンバメッサの様子)そして、遠足やミンガでクカビ(お弁当)にして持っていきました。
各学校の2018年−19年の状況の詳細は次回おしらせします。


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