2020年4月11日土曜日

この経験に学ぶーヘルマンからのメール

カヤンベ支部でJICA草の根事業の現地事業責任者として活動しているヘルマンからメールが届きました。
ヘルマンはSANEの事業担当者として20年近く仕事をしています。正義感が強く弱い立場の人々の側に立って子どもの権利条約や憲法を手に政府に人々の権利を訴えたり、村のリーダー達と交渉したりすることもあります。農業技師であり、種子の開発を自宅の畑でやっています。収入を得るのが目的ではなく、心からこの仕事が好きなのです。読書家でもあります。ひとりで暮らしており人との付き合いはどちらかというと苦手ですが、私たちをいつも気持ちよく受け入れてくれます。人々は彼が清貧に生きている事を知っていて、何か困った事、不正などがあったときは彼に知らせるほど人々に信頼されている存在です。
彼は家に電話はありますがWi-Fiがありません。車の運転はしますが、現在厳しい外出制限のあるエクアドルでは週に一度車で外出するのが唯一の外に出る機会となっています。そんなヘルマンが久しぶりに事務所に来てメールをくれました。

今日、4月10日カヤンベに来ることができました。車の番号の最後の数字で通行が制限され、週にただ一度だけ許可された数字の車が使えるのです。同様に身分証明書の最後の数字でスーパーマーケットに行く日も制限されています。
村は入り口で閉鎖されており、外の人間は入れません。学校も休校ですが(政府が提供している)通信教育もパソコンを持っていない家庭にとってはそれを受けることはできません。ほとんどの校長は学校のある地域には住んでおらず、また家族の世話もしなくてはならず、学校の方には手が回っていない状況です。政府は(6月に終わる)学年末をインターネットでやると言っていますが、田舎ではどうするのかはわかりません。カヤンベ市の教育委員会は閉鎖され、(自宅から)通信で仕事をしているので相談できる人もいないのです。
政府の緊急事態宣言は4月20日まで1週間延長されるでしょう。

私といえば、週に一度金曜日だけ外に出ることができます。そして高齢者でもあるのでさらに行動が制限されています。でも自分は農業従事者としての許可を持っており、アヨラ地区に持っている畑の世話をすることが許されています。
私の生活は完全に変わりました。私はひとりで生活していますからそれを受け入れることもできます。日本でもここカヤンベでも多くの人々の心の持ち方が人間にとって良い方向に変わる事を願っています。今、車移動の減少のおかげで地球が多くの生命と共に息を吹き返しています。どうかこの経験から学びますように。

SANEとSOJAEの皆さんへ
ヘルマン



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