2020年3月31日火曜日

エクアドルの状況5

エクアドルではコロナウイルスの増加が止まらない状況です。

BBCによると、感染数が指数関数的に増加し、亡くなった人が大きく増えているのがエクアドルです。3月30日までに感染者1,924人、死者が58人となっています。感染者数では南米ではブラジル、チリに次ぐ数ですが、死者数では2番目であり、エクアドルの人口はブラジルの12分の1、領土面積は30分の1であることを考えると非常に多いと言えます。この増加を止めるために。政府は外出禁止の措置を延長しました。
アメリカス大学のエクアドル人疫学者であるエステバンオルティス氏は、この原因について、いくつかの要因があるものの、特にこの規模の緊急事態にとるべき処置を厳格にとっていなかったこと、人々が政府の観測に注意を払っていないことを挙げています。さらに、この最中に健康省の大臣が辞任し、交代するという事態になりました。
エクアドルに感染のケースが多い理由の一つはスペインとの関係があるとのことです。スペインに移民して行った人は多く(422,000人がスペインに在住)、その家族が年初には大勢スペインから帰国します。最初の感染が確認されたのはマドリッドの近郊から2月14日に帰国した人で、すでに亡くなっています。彼女は帰国後親戚と過ごし、いろいろな集まりにも参加しました。妹さんも感染して亡くなっています。感染後も適切な対処がなかったのです。その女性が接触した人は180人にのぼるそうです。政府が対策を講じる前に発症していなかった感染者が広げた可能性があるでしょう。多くのケースが外国から来た人たちが持ち込んだものでしたが、エクアドル政府が国際航空便をストップしたのは3月15日でした。一番感染者が多いのが海岸地方のグアヤスであり、全体の77%を占めます。この地域はスペインへの移民が多いのです。

私たちの奨学生からも、文通相手のSANE会員の方に手紙で大変な状況が伝わってきています。日雇いで働いている親が多いために収入を失い、家族が不安に陥っているのです

お伝えしてきたように、元々エクアドルの経済状況は悪いものでした。昨年10月に政府の燃油費への補助削減が行われようとして、大規模なストライキが行われ、学校が休校になるなど、大変な騒ぎが起きました。これはエクアドルの長い間にわたる経済的な困難とそれに対して莫大な借金をしてきたことが大きく起因しています。コレア政権時に大規模なインフラ工事や政策転換に伴う財政支出を行い、中国に借金を重ねてきたからです。これに対して、現モレノ政権は、IMF(国際通貨基金)への借金で対処しています。IMFは借金の見返りとして、国の予算を減らすために予算削減を勧告しており、政権は補助金の廃止を発表したのですが、人々は庶民の生活を直撃するような政策に大きく反発をしました。これは10月13日にこの政策を取り消すことで合意に達し、10月位中には交通網は再開し、学校も授業が始まりました(サネビジョン118号)。しかし債務の問題は解決していません。その後、コロナウイルス感染が出る直前にモレノ大統領は増税や公共投資の縮小などの政策を打ち出したばかりでしたが、コロナウイルスの感染という事態に陥り、現在エクアドルはベネスエラに次いで2番目に(デフォルト〜債務不履行の)リスクの高い国になってしまっています。国会の後財務相は、債務返済に充てるお金をコロナ対策に当てることを提案しています。



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