2026年5月4日月曜日

味の素ファンデーション助成 持続可能な給食実施のためのモデル作成事業の事業変更案について(1)

第1事業校(ウンベルトフィエロ校)での助成事業が大きな成果をあげ、12月から第2事業校(ラファエルコレア校)で支援を開始していましたが、1月に保護者がこの事業への参加の中止を決め、事業変更を余儀なくされていました。この経過についてお知らせします。

事業修正に至った理由モデルの有効性と抱えるリスク)

1- 1 1事業校での事業の経過(助成金の食材費への投入期間202412202511月)

第1事業校であるウンベルトフィエロ校では、保護者が教師の支援を受けながら、交代制で毎日の食事準備を担当した。毎日2人の保護者が参加し、生徒の食事の調理と使用場所の清掃を行いました。最初の数週間は、ソハエのスタッフが保護者と共に調理室で作業し、食材の計量方法、決められた献立に沿った調理方法、基本的な衛生基準の適用など、適切な調理に必要な様々なことができるよう支援しました。この支援プロセスは、栄養講習会によって補強されました。

給食改善によって子どもたちの学校生活は一変し、「授業中に居眠りをしなくなった」、「風邪を引かなくなった」、「食への関心が大きくなり家庭の食事にも改善が見られるようになった」などの報告がされています。保護者たちの反応も非常に良好で、現在では、自律的にこのプロセスを運営しています。改善の余地はまだありますが、事業開始時と比較すると、成果は明らかで、目標はほぼ達成されました。

 

1- 2. 1事業校での事業の成果と課題

第1事業校での経験から、子どもの栄養改善への有効な手段としての給食実施プロセスを示すモデル作成について、主として下記の5つのことが成果として挙げられます。

 スタッフと保護者の協力で、山間部の学校給食提供の基礎的なプロセスが構築された。

 山間部の学校への食材調達が可能になった。

 給食の栄養評価が行えるようになり、栄養改善についてみんなで考えられるようになった。

 栄養士の役割や重要性が認識されるようになった。

 地域社会が子どもの栄養改善のプロセスに関心を持ち、事業を支援するようになった。

一方で、課題として、ここで経験したモデルの持続可能性は主に保護者の積極的な参加と、食料供給の資金調達に貢献する外部企業や組織からの支援という2つの重要な要素に支えられていることが挙げられます。それはこれは条件によってはリスクともなるものでした。

 

1- 3. 第2事業校での事業の経過(助成金の投入期間20251220261月)

第2事業校のラファエルコレア校は毎日給食を提供している学校であり、それまでの教師との協力関係もあったため、第1事業校同様の取り組みが期待されていました。ところが、6月に調査を始めた頃からいくつかの困難が見え始めていました。連絡が届いていなかったとのことで保護者が誰も調査に来ないことありました。改めて連絡をしてもらって調査は継続できましたが、学校に行く時間がないという理由で最後まで来ない保護者もいました。事業の説明を行い、意見を聞く場では、保護者の反応は肯定的ではありましたが発言は少ない状況でした。サネとソハエ間の話し合いで当初よりこうしたことは懸念材料として認識していました。しかしそのような状況のなかでも、ラファエルコレア校では給食を出している実績があり、より栄養状態が悪い地域においてこの事業をやる経験は大事だと内部の会議では話し合いました。この時点では、実際に助成金を投入した栄養士のレシピの給食が始まれば、それが行動変容につながるのではないかという期待もあったのです。

しかし、期待とは逆に、助成金投入が始まった直後から顕著な問題が出始めました。まず、保護者たちは調理のシフトをこなすのに必要な時間を確保できませんでした。それまでこの学校で提供していた食事は、調理が簡単なものであったため、一人で調理できる内容だったにも関わらず、それさえ仕事で行けない保護者が多く、個人的にお金を払って他の母親に代役を頼むことが多く、現実には、実際に調理に関わっているのは34人の保護者しかいなかったのです。メニューに示されているような栄養バランスの取れた食事を用意するには、少なくとも常時2人が調理に参加する必要があり、かかる時間も長くなります。調理のために時間を割くことも難しく、人に頼むのにも経済的な負担になることから、保護者間での意見の相違が表面化し、継続が難しくなってしまったのです。

さらに、講習会、会議、打ち合わせなどの活動に参加する時間がない保護者がいることが状況を悪化さ、短期間で保護者から活動を中止するという決定が下されてしまいました。

 

1- 4. 2事業校での事業停止の要因(学び1)

事業停止の要因は、主として二つのことが挙げられます。

 地域自治会が学校の活動に決定権があり、地域―校長、校長―保護者、保護者―ソハエ間のコミュニケーションにも問題があったため、保護者が本音を言えない(言わない)状況があった。

 保護者の多くが労働収入を得るために仕事に従事しており学校の活動に時間を割くことが難しく、学校への関心も低かった。

このような、社会環境や組織的な状況から、給食提供の責任の大部分を保護者が担うことは困難でした。

 

1- 5. モデル作成上の課題(学び2)

この2校での経験から、子どもの栄養改善には給食が重要な鍵となることは確かですが、給食実施地域や学校の特性によっては、「保護者の高い関与」を前提とするモデルそのものが持続可能性を阻害し、実施上のリスクを招く可能性も浮き彫りとなりました。持続可能なモデルを構築するためには、以下の2点が重要であると結論づけました。

 周辺地域社会の変化に対応する、保護者に依存しすぎない給食実施のプロセスの検討

  特にコロナ禍の後の変化は顕著であり、多くの家庭が現金収入を得るために多くの時間

  を費やすようになった。その結果、地域によっては自治会や学校の活動への参加が難し

  くなってきている。実際にカヤンベ市を見ても、このような学校は多い。

給食実施のほとんどの過程が保護者の参加(無償で、義務の活動)を前提とした活動であったため、保護者が参加できないと給食実施が不可能になる、また、保護者同士の関係性やプロジェクトへの参加意欲がプロジェクト実施の継続性や成功に大きく作用するという問題点がある。保護者の参加が難しくても給食の実施と改善ができるようなモデルを必要としている。

 ② 行政、外部の参加を促す

  行政や寄付には期待できないという、これまでの事業経験からの前提があったが、給食実施の持続性は、やはり行政と外部の参加が大きな助けになる。行政参加や地域社会の参加(寄付)を生かす方法について検討していく。

   

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