修正事業について
2- 1. 今後の事業の方向性
エクアドルにおける子どもの栄養改善を前進させるためには、社会全体で栄養教育プログラムを強化する必要があることは明らかです。健康的な食事の重要性は認識されているものの、(特定の疾患がある場合を除き)優先事項とは見なされていないのが実情です。特に経済的に困窮している地域ではその傾向が強く、炭水化物、塩分、糖分の過剰摂取といった健康リスクを伴う食習慣が常態化しています。
こうした状況の背景には、国内の医療制度が「病気の予防や健康的習慣の促進」よりも「病後の治療」に重点を置いているという構造的な課題があるのです。本事業が掲げる「幼少期からの予防とセルフケアの文化」の定着こそが、現在のエクアドルに求められています。
この考えから、サネとソハエは、二つの事業校で得られた経験に基づき、開発中のモデルを強化するため、地域社会の変化を踏まえ、保護者の直接的な参加のみでプロセスを維持することは困難な場合があることを認識し、事業見直しと調整が必要であると判断しました。
前述の1- 5.の課題を鑑みて、現状にあった条件のもとで給食実施を実現するために、今後の事業の方向性を次のように考え、事業案を修正しました。
① 給食実施の核としての給食委員会の役割を維持しつつ、実施に係る保護者の負担を減らす。
② 行政、地域社会の参加のケースを作る。
2- 2. 第2事業校に代わる事業対象校選考の経過
第2事業校での事業実施が不可能となったため、当初はこれまでの経験から得られた教訓をモデル開発に反映させることが重要であると考え、学校給食モデルの実施と分析を継続できる新たな事業対象校の選考を開始しました。調理室、調理設備の有無、毎日の給食提供の実績、給食準備のための食材確保の条件、生徒数、ソハエスタッフがサポート可能な位置にあることなど日常的な支援ができるかどうか、地域関係者の参加、組織的な実現可能性といった基準を考慮し、様々な選択肢を検討しました。
この選考過程において、給食提供を継続的に行なっている、事業対象にふさわしい学校が他にないこと、だからと言って給食経験を持たない新たな学校を選定することは、限られた事業期間において、事業の継続性に相当なリスクを伴うことがわかってきました。そこで、この事業に関心を示した、福祉施設を学校の代替候補として考えることにしました。
2- 3. 選考結果について
サネとソハエは、上記の事業修正の方針を踏まえて、新たに、学校に代わる施設として4つの候補の学校、施設を訪ね、検討してきました。その結果、「カサ・オガール・サンティアゴ児童養護施設」を対象としたいと考えるようになりました。この施設は、様々な理由で家族と生活できない、非常に脆弱な立場にある青少年にケアと保護を提供する施設です。厳密には教育機関ではありませんが、そこに暮らす青少年は地域の学校に通っています。この施設ではここに暮らす子ども達のために3回の食事と2回のおやつを出しています。
カサ・オガール・サンティアゴ児童養護施設選定の理由は以下の4点です。
① 事業方針として、当初より、すでに当事者の努力で給食実施をしている学校と選定条件を定めていた。この施設はこの条件をクリアしている。
② ここは学校ではないが、子どもの福祉が目的であり、子どもの栄養状況の改善という点では一致している。
③ この施設が事業に参加することで、保護者の参加が難しい、様々な形態の機関の参加を組み合わせた学校給食モデルを模索することが可能になる。この施設に対しては、通常半年から1年毎に更新される人間開発省との協定に基づき、社会包摂省(MInisterio de Inclusión Social)が食材費の約50%をこの施設に対して負担し、施設は調理担当者の雇用費を負担すると(一応の)規定がある。実際には経費の助成は、はるかに不足しているが、一定の期待は可能である。また、大型店舗や個人の寄付も受けているが、あくまでも寄付者の都合で行われるもので不安定であり、寄付される食材の質に問題があることが多い。事業への寄付者の参加も促すことで、これを改善していくことも考えたい。
④ 栄養改善の必要性、この施設には栄養士がおらず、適切な栄養摂取を確保するためにいくつかの基本的な側面を強化する必要がある(ベースライン調査2)。
*ベースライン調査2について
ソハエのスタッフは施設を訪問し、施設の運営状況をより深く理解するための調査を行った。また、給食の運営状況を直接観察した。
これらの調査では、調理設備の状況、調理方法、昼食に使用される食材の計量など、関連情報を収集した。これらのデータは、支援開始前の給食の栄養価を推定し、今後実施する改善策を策定するために活用される。
2- 4. 今後の活動
今後は次のような活動を行なっていきます。
① 第1事業校における、事業後のエンドライン調査(2026年9月、10月予定)を行い、栄養士の関わりによる栄養的に優れた給食提供プロセスと、その有効性を可視化する。
② 保護者の参加が困難な条件下で、給食委員会と多様な支援の組み合わせで持続可能な給食実施を
試みるために、代替施設で事業を行う(エンドライン調査は2026年2月に行う)
③ ②の経験をもとに、多様な条件で実施可能なモデルを完成させる。
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