9月からカヤンベ市山間部小学校に安全で栄養豊かな自校給食を届ける調理室と学校菜園の改善事業の準備が始まりました。本事業はLUSH JAPANチャリティバンク様の助成で行われます。事業総額は1,253,610円でこの内994,410円を助成いただきます。
事業内容は次の通りです。
【目的】
小学校の調理室の衛生状況を改善し学校菜園の作物と地域の伝統作物を使った調理によって、安全で栄養豊かな給食を実現する
【内容】本事業は3年間を予定しています。
各年の目標と活動内容概要は次のとおりです。1年は現地の年度である9月開始6月終了。今回の申請は初年度の1年間であり、まず現在給食を毎日出している学校への調理室の改修を行います。
1年目: ① 2校の調理室の改修を行い衛生的な学校給食提供のための環境を整える。
② 各校のコンポストの利用を定着させ、学校菜園の収穫を安定化させる。
③ 穀類、豆類、菜園の野菜を使った栄養バランスの良い給食メニューを学ぶ
(一年目は食材として購入する)。
④ 連絡会の開催
2年目:① 計画的な学校菜園運営について担当者が指導し計画を立て、学校菜園の継続的な収穫
ができるようにする。
② 調理室の改修。
③ キヌアや豆類を使った調理講習。キヌアなどの伝統作物の栽培方法について学ぶ。
④ 連絡会の開催
3年目: ① 計画的な学校菜園運営を通した学校菜園の安定化の継続。
② 調理室の改修。
③ 伝統作物についての学習の継続と給食利用のための講習会。
④ 連絡会の開催
本年度(1年目)の詳細
① 調理室の改修
下に書かれている2校で給食を提供する際に使用されている調理室は、安全な給食を提供できる環境にない。教師・保護者の参加を得て、作業を実施します。
2校の選定理由:この2校は現在自らの努力で毎日の給食が提供しています。サネはスタッフを2023年2月に現地に送り、本事業のための調査を行ないました。選定理由となる現在の状況と改善点はこの時に得られたものです。
【ラファエル・コレア・デルガド校】
・電源コンセントの状態が悪く、調理器具を使用することができない。
・壁の一部に穴があいており、湿気と煤で腐敗している。
・調理室の窓が破損しており、煙突の排気が十分でない。
・手洗い場と調理台のセラミック部分がはげてしまっている。
・入口の扉が固定されていない。
・照明の光が弱く、調理室全体に行き届いていない。
【ウンベルト・フィエロ校】
・2つの調理室のうち現在使っているのは古い調理室。新しい方の調理室を整備して使えるようにしたい。数年前、政府による建設されたが屋上の排水処理が未整備のため水漏れが起きるため、現在使用されていない。
・壁と天井は、煤で汚れ、湿気で腐っているところがある。
・水道の蛇口がない。
・換気のための窓がない。
・入口のドアが固定されていない。
以上の点の改修を現地業者に発注し、教師・保護者の参加で行います。また最低限必要な、もしくは買い替えが必要な調理器具は新たに購入します。
② コンポストによる学校菜園の持続化
現在各校は菜園を所有し、教師・生徒・保護者が協力して管理しています。授業の一環として、生徒は農作物の育て方を学んでいて、収穫物は給食の材料として学校内で消費、または生徒が自宅に持ち帰り消費されています。また、昨年度は自分たちで肥料を作るために自家製肥料(コンポスト)を始めました。堆肥は、学校によって多少の違いはありますが、有機炭素、植物残渣の緑の材料(木の葉、小枝、野菜くず)に含まれる窒素、および有機残渣(かす)を層状に加えることを基本として、畑で準備される有機肥料です。これに糖蜜(サトウキビのみつ)を配合し、微生物を活性化して有機物を分解し、植物が同化できるようにします。このプロセスは約2ヶ月続き、これらの層によって小さな山が形成され、分解が達成されて植物に適用できる有機肥料が形成されるまで、かき混ぜます。このようにしてバイオ式コンポストを作りました。本事業では引き続きコンポストの普及と活用を定着させたいと考えています。種苗(野菜の種類)を各校に配布する。収穫後は学校給食の材料として使用します。
③ 衛生・栄養講習会と調理実習
6校保護者を対象に講習会を実施します。特に調理室の改修を行った2校は新しい調理場にて正しい調理器具の使い方等衛生管理を中心に知識を習得します。調理実習では、栄養価が高く不足栄養素を補う学校給食に適した食材を使い、栄養バランスの良いメニューを学日ます。冷蔵庫がないため、保存性にも優れた食材を使う必要があります。このようなメニューが増えれば学校給食の質を上げることができるでしょう。
まずは講習会でこれらの食材を用いて調理実習を行い、食材の良さを知ってもらうことで今後これらの栽培と学校給食への利用に向けた動機付けを行います。
④ 連絡会
教育省にて各校全ての保護者および教師を招集し事業の目的と成果を確認。参加者と事業をつなぐ役割として、先住民教育指導者が同席することで、参加者のより良い理解を目指します。
1年目の事業スケジュール:
9月 教育省、教育局、各学校との調整
10月 調理室改修工事の発注、工事
11月 連絡会、衛生・栄養講習会(実習)
12月 各校訪問
1月 調理実習(全生徒への給食提供)
2月 各校訪問
3月 各校訪問
4月 衛生・栄養講習会(実習)
5月 連絡会
6月 報告書作成と次年度の事業計画作成
このプロジェクトを実行した時の受益者(支援対象者)*生徒数と教員数は昨年度(2022年9月~2023年6月)のものです
ラ・コンセプシオン村 ラファエルコレア校(生徒:69人 教師:4人)
サン・パブロ・ウルコ村 ウンベルトフィエロ校(生徒:60人 教師:7人)
ロテ・ドス村 グスタボ・アドルフォベッケル校(生徒:232人 教師:18人)
ピサンビジャ村 へネラルアントニオエリサルデ校(生徒:291人 教師:18人)
パンバマルカ村 カルロスビセンテアンドラデ校(生徒:258人 教師:18人)
ピタナアルト村 ルイスウンベルトサルガド校(生徒:201人 教師:16人)
期待される効果
安全で良質な、栄養バランスのよい給食メニューが提供できるようになる。
① 調理室の改修により衛生的な環境で子ども達への給食を準備することができる。
② コンポストが活用できるようになる。菜園で収穫できる野菜の種類が増えることで、多様な給食メニューが可能になる。
③ 衛生講習会を行うことで、食品を扱う保護者や教師が食品衛生について教育訓練され適切な行動が取れるようになる。また、栄養講習会、調理実習を保護者に対して行い、キヌアや豆の利点と調理の方法を学ぶことで、栄養に関する理解を深めるとともに栄養豊かな給食を提供できるようになる。
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