2012年1月12日木曜日

パウロ・フレイレ地域学校を訪ねて

みなさま、新しい年をどのようにお迎えでしょうか。
大変なことがあった2011年でした。放射能の脅威や経済的な困難は今なお継続しています。
でも、日本の各地でそれにも負けず生きている方々がたくさんおられて、勇気づけられる思いもしています。2012年がよりよい年となるよう、お互いにつながっていきましょう。

さて、1月9日に私(杉田)は愛知県豊田市にある、パウロ・フレイレ地域学校を訪問しました。休日でしたので生徒さん達には会えませんでしたが、校長先生のジョセリアさんご一家に温かく迎えていただき、大変有意義なひと時を過ごしました。

豊田市はトヨタ関連の会社で働くたくさんの外国人が住んでいます。NPO法人保見ヶ丘ラテンアメリカセンター(代表は首都大学の野元先生です。)は、ブラジルやペルー出身の子どもたちが日本国内で質の高い教育を受けられるように、地域の教育活動を支援してきました。パウロ・フレイレ地域学校はそのために開校された学校で、ジョセリアさんはこの学校の校長先生としてブラジルから招かれたそうです。最初(2005年)はたくさんの子どもたちを対象に4つの教室がフル稼働するほどだったそうですが、その後の世界的な経済危機の影響で多くの外国人労働者が仕事を失い、帰国を余儀なくされたり、無職のままで日本に残ったりし、その上今回の震災の影響もあって、学校の生徒数も激減したそうです。

そのような厳しい経済状況の中、ここで暮らしている外国人の子どもたちのために、ジョセリアさんご夫妻は献身的に勤めていらっしゃいます。生徒たちの文集には、困難な中この学校の人々に出会って信頼を取り戻し、少しずつ心を開き前向きに生きている子どもたちの様子が生き生きと伝わってきます。

パウロ・フレイレはブラジル人ですが、ラテンアメリカだけではなく、困難を抱えている世界中の国々で学ばれている教育思想家です。貧しい人々が自分を取り巻く世界を読み解き、その中に自分という存在があることを自覚し、自信を取り戻して力を発揮していく、その教育の道筋を説いた彼の本は説得力があります。そこでは教師は生徒に決まったことを教え込む存在ではなく、生徒と共に学ぶ存在なのです。

こうした教育をこの学校では行っているのです。私自身震災経験を経て、地域に住む外国人のために何かできることがあるのではないかと考えるようになりました。社会的弱者と言われる人々に配慮した社会とは、実はすべての人々に配慮できる社会なのだと感じています。SANEに新しい視点が生まれてきていると感じる新年です。

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