JICA東京の主催で草の根技術協力事業を行っているNGO対象のwebセミナーが6月23日に行われました。これは、各国でのコロナ対策とJICAからの渡航延期要請が続く中、草の根技術協力としてできることを企画する、ということで開催されたものです。担当の方にお声掛けいただき、コロナ禍において事業をどう進めているのかというテーマで発表をさせていただきました。
お引き受けした時は、特に大きな工夫もしていないのに何かお話できることはあるのだろうかと思いましたが、発表させていただいた私自身大きな気づきがありました。
エクアドルは日本でもニュースになりましたがコロナ感染者が海岸地域で爆発的に出て3月以来大変なことになりました。私たちの活動する山岳地域への感染は少なかったのですが、全国的に学校は閉鎖、公共交通も止まってしまい、外から村に入ることも許されなくなってしまいました。もちろん3月に予定されていた私(プロジェクトマネージャーを務める杉田)の出張も中止されました。
私たちが活動しているのはカヤンベ中心地から離れた村です。メンバーは事務所に来るのも大変な状況でした。私たちが最も心配したことは、学校菜園が放置されてダメになってしまうこと、せっかくここまで積み上げてきた給食提供への努力が水の泡となってしまうことでした。また、閉鎖された村で仕事を失った家庭の子どもたちの栄養状態も心配でした。
私たちが活動しているのはカヤンベ中心地から離れた村です。メンバーは事務所に来るのも大変な状況でした。私たちが最も心配したことは、学校菜園が放置されてダメになってしまうこと、せっかくここまで積み上げてきた給食提供への努力が水の泡となってしまうことでした。また、閉鎖された村で仕事を失った家庭の子どもたちの栄養状態も心配でした。
このような状況下、現地メンバーは困難を乗り越えて事務所に集まり、あるいはオンラインで事業校の教師たちに連絡をとってきました。学校菜園は作物が植えられ、水やりや世話を必要としていました。現地常駐者を持たないサネは普段からスカイプでの会議をし、現地協力組織のソハエとは密に連絡を取り合っています。Whats Appでグループを作って現地の教師たちとも直接つながっています。ふだんから、先生方からこのグループチャットに、畑で子どもたちや保護者たちが仕事をしている様子が写真で送られていました。これはブログでお伝えしてきた通りです。
なぜこうした活動が可能になったのか、と改めて考えてみました。
1. 普段から築いてきた現地との信頼関係
お金のない私達の会ですが、奨学生事業を通じて時間をかけて子ども達を応援し(現在は36人)、会員の方々が月に一度の文通を通じて成長を見守っています。その奨学生達が卒業し、何人かは大人になって様々な形で活動を支えてくれています。JICAプロジェクトを支えているスタッフ3人のうち2人は元奨学生です。また、その後ろにいるカヤンベ支部の支部長はサネの初期の時代から30年近くボランティアメンバーとして関わっているご夫婦です。サネは個人を支援する奨学生事業と、地域全体を対象としその地域の学校を支援する教育環境改善事業の両輪で活動しています。奨学生支援はもちろん将来的に会の活動を担ってもらいたいというような具体的な目的を持つものではありません。けれども毎月の講座で子どもたちは豊かに学び(講座の講師はスタッフと他のNGO
のボランティア)、良い友人関係を作り、家族的な雰囲気の中で育つので自然に卒業後も会に残るのです。そこには卒業生への現役奨学生の憧れのようなものもあります。こうした元奨学生たちの中から事業の担い手も育ってきました。JICA事業の担当をしてくれているDarwinは地元の高校の優秀な教師でもあります。またJoselinは農業大学を出た農業技師です。
2. 現場の先生達との直接的なつながり
たとえ村は封鎖されても私たちはSNSで繋がっています。先生たちが伝えてくれる現地の様子に、私たちも応援と感謝を伝えることができます。学校が休みの今も菜園では保護者や子ども達がきて世話をして収穫もあります。それが仕事を失って困窮している家庭に配られたりしています。写真は6月23日、24日に送られてきた写真です。一番上の写真は、マシュアという根菜が収穫された様子です。次の写真の学校も素晴らしい収穫があった様子がわかります。後の2枚の写真は種まきの様子です。最後の写真の学校は畑が斜面にあるのですが、風が強いにもかかわらず屋根も壊れず、人々が働いている様子がわかります。
3. JICA事業をサポートする事業の計画と実施
私たちは今JICA事業をやってくる中でわかってきた深刻な問題、水不足や給食室の換気の悪さ、耕作の大変さ、農具の不足などに対してどのようにサポートできるか考えています。そして他の助成機関に申請書を提出しました。これが現場で頑張っている教師やスタッフの励ましになっています。
4. JICAエクアドルとの協働
また、昨年10月に現地メンバーと一緒に日本にやってきたJICAエクアドルのアンドレスさんをはじめとした現地JICAの皆さんのお声掛けで現在事業地域の食糧支援や学校が始まってからの衛生教育の計画を立てています。
現場のスタッフは仕事ができることをとても喜んでいます。
セミナーにはJICA職員の皆さん、他のNGOの方々など40人以上が参加されていました。杉田の発表の他にモンゴルで活動されているNGOが、やはりコロナで出張ができなくなったため、オンライン研修をされたという事例発表もあり(テーマは養蜂でエクアドルでもできるのではないかと思いました)、オンラインならではの力を発揮されたという、参考になるお話でした。
他のNGOの経験を聞くことができ、また自分の組織のことを振り返るきっかけともなり、参加者の皆様からご意見や感想をいただく事もできて大変有意義なものとなりました。JICA東京の担当者の皆様、大変ありがとうございました。
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