昨年UNHCRは難民の教育に関する報告書 「Coming Together for Refugee Education(難民の教育のために共に行動を)」を発表しましたが、その中で世界のすべての国の子どもたちは、新型コロナウイルスの影響を受けている、難民の子どもの多くは、コロナ禍の学校閉鎖に加え、学費や制服、教科書の購入が困難であること、IT環境へのアクセスが十分にないこと、また、家の手伝いをしなければならないことなどから、通常授業になっても学校に戻ることができない可能性があるとみられていると述べています。
これは難民の子ども達だけではありません。2020年3月から学校での対面授業がなくなったエクアドルの子ども達の中にも大きな影響が出ています。政府は今年対面授業を開始するために学校が準備を進めるよう指針を決め、9月から始まった今年度は多くの学校が週に何日かの対面授業を始めています。
けれども完全に元の学校生活に戻るにはいくつかの課題があると私たちは見ています。一つは、施設の問題です。衛生上の安心を得られるような手洗い場の設置や衛生用品の確保、衛生的なトイレや教室の準備がそのほとんどを学校や保護者の責任で設置するようにとの方針であり、まだまだ不足しています。SANEはJICAの委託や彩の国さいたまの助成金を得て緊急の事業としてこうした衛生施設や備品の支援をしています。
もう一つは、もっと深刻かもしれないと私たちは感じているのですが、子ども達を学校に戻すことを希望していない保護者がたくさんいることです。政府は子ども達が学校での対面授業を受けるには保護者の希望があることを条件にしています。ところが、私たちが事業を行なっている6校の中には、学校に行かせたいと希望している保護者が25%という低い結果が出ている学校もあります。
その理由は何なのでしょうか。コロナへの恐怖もまだあるとは思いますが、家族にとって子どもを学校にやることは、親の子どもを出したいという願いに支えられた家族の協力と努力が必要で、コロナ禍で逼迫した経済状況の中この基盤が崩れてしまった今、どうやって子ども達が学校戻れるのかが大きな課題となっています。
元々学校での食事が唯一の栄養補給だった子ども達が多い地域もあり、まずはおいしい給食を実現して学校に戻ろうキャンペーンをやりたいと現地スタッフと話しています。
特に教師と保護者の連携が弱く事業の進展が難しかった3校でも、新しい年度を迎えてコロナ対応事業を始めます。まず新年度に先立ち手洗い場の設置と消毒薬の配布を行っていますが、その後12月より全ての保護者を対象に5回に分けて給食の調理講習会(この時全児童に食事が配られます)を行うことになりました。現在は食事を作って出すことが禁止されていますが、12月までに出せる状況になることを願っています。
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