3月5日に、カヤンベ郡のオルメド教区、ペシージョに建設中の、ミレニオ学校に行ってきました。ミレニオ学校はこのブログでもご紹介したことがありますが、政府の教育改革の重要な柱である、質の良い教育を提供するという目的で、建設されている大規模校(ペシージョに予定されているのは500人規模)のことです。これまでの村の小規模校は廃校にして統合することによって質を向上させたいというのが政府の方針です。
ペシージョに向かう道で、ピエモンテという小さな村の学校の先生に会いました。彼が勤めている村の学校は、今年度で廃校になることが決まっています。子どもたちは、それぞれ住むところによって別の学校に通わなくてはなりません。遠くの学校に通わなくてはならなくなる子どもたちのことを大変心配していました。
ミレニオ学校はまだできていないにもかかわらず、廃校は進んでいます。チタチャカ村の学校はすでに廃校になってしまいました。これによって別の学校に行くことになった25人の子どもたちのうち10人は遠すぎて通えなくなってしまったと言います。アンチョラ村の学校も同じような状況になっています。
政府の通達によると、学校の統合は5年以内に進めることとなっています。この通達は2013年に効力が出たものですから、2018年までに進めればよいわけです。けれどもカヤンベでは、地域での話し合いを通して、子どもたちが抱えるであろう問題に対して、まずは充分な対処をするというプロセスを経ないで学校統合を進められているのが現状です。2月26日に政府教育省の担当者がカヤンベに来て、地域の代表者や保護者などが集まって会合を開きました。その席で、すべて順調に進んでいるとカヤンベ教育長が報告したことに抗議をして、一人の母親が廃校になったばかりに直面している大変な状況を訴え、会場は騒然としたということでした。
質の良い教育を受けるということを目的としたはずのミレニオ学校の建設ですが、かえって教育を受ける権利を奪う結果となっているという現状が見られます。カヤンベの人々も華やかな宣伝の陰に隠れていた現実に気づき、子どもたちのためにどうすればよいのか考え始めています。
カヤンベではオルメド教区とカンガウア教区にミレニオ学校の建設が計画されています。カンガウアの方はまだ建設は始まっていません。
ペシージョの建設中の学校を訪ねました。この学校は現在の学校のすぐ隣に建設中です。村の人々が雇用されて働いていました。建築士の方に案内をしていただきましたが、すべての学校が同じ規格で作られているそうです。写真は2歳から4歳の子どもの部屋です。2室あって間にシャワー室とトイレがあります。子どもの部屋とは思えないような天井の高い、大きな空間です。寒いのではないかとヘルマンが心配すると、暖房が完備されるから大丈夫だとのことでした。
小学校の教室です。両側に3教室ずつ、1階と2階に計12教室あります。
特別教室は理科室とパソコン室だけです。
トイレはそれぞれ1階と2階に1か所あり、女子用トイレの個室は4室です。一番奥は階段です。その後ろにかなり大きな規模の車いす用のスロープがついています。上はおおわれる予定です。下はやはりカラーブロックで舗装されます。
職員室はかなり離れたところに独立した建物があります。
また食堂も別にあります。
この他に自転車置き場や広い駐車場もあります。
筆者は日本で公立校の教員の経験がありますが、かなり教育の考え方が違うような気がしました。建物をみるとどのような意図で作られたのかが伺えます。子どもの居場所として、今日本では壁をできるだけ作らず、安全を第一に、地域の特徴も活かし、生活の場としても居心地の良い空間をめざしているように思います。図書室や音楽室、体育館、校庭なども考慮して配置されます。教師と子どもが近くにいることも大事な気がします。また、約200人の子どもが2階から下りてくる階段としては狭すぎるし、大丈夫なのか、あるいは500人の子どもたちが食堂でどうやって食事をするのかと心配になりました。
なにか、これまでの村の学校の方が温かさが感じられる気がしたのですが、今後先生方の努力で改善されて行くのでしょうか。
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