エクアドルでは新教育法を施行し、多方面にわたる教育改革を行なっていますが、大学改革と大学入試改革もそのひとつです。
どのような大学入試になっているのか、奨学生担当スタッフで高校教師のダーウィンと元奨学生のカロリーナに聞いてみました。
大学進学の希望を持つ生徒は、まずネット上に自分のアドレスを持たなくてはなりません。その後、入学試験を受けるための申請をして、統一試験(ENES)を受けます。この試験は、100問で構成され、5つの答えから一つを選ぶようになっています。1問10点で、合計1000点満点の試験です。
試験はペーパーですが、成績は各自のアドレスに送られてきます。650点以上をとらなければ大学に入学する資格は得られません。
さらにこの時に、成績によってどの大学のどの学部に入る資格があるのかというリストが送られます。受験生は、このリストを見て第1希望から第5希望までを申請します。各大学の学部にはそれぞれ定員がありますから、希望者のうち成績順で定員内に入ればここで入学資格が与えられます。もしどの希望も満たされない場合は、さらに次の試験を受けなくてはなりません。
資格を得た生徒は、6か月の補習コースに入ることができます。ここで入学のために必要な講座を受け最終的に試験に合格すれば、晴れて希望の学部に入学許可となります。
カロリーナは昨年の卒業生ですが、ENESの結果でイバラの北部技術大学の看護学科に入学する資格を得、6か月の補習コースも無事終了しました。4月から授業が始まります。この大学の補習コースに入ったのは1024人。全員が合格したそうです。看護学科は36人。4年間の履修期間を経て看護師試験を受けて免許が得られます。彼女の希望は助産師になること。その後2年かかります。(写真はカロリーナ。SOJAE事務所にて)
このような大学改革は、すべての大学のレベルを上げ、国際的にも認められるような質の教育を提供するために必要なことだと言われています。また、この試験は来年から全高校3年生に課せられることとなる予定で、これは高校評価にもつながってくるそうです。また、大学で成績の良い学生には外国留学の道も開かれているそうです。
けれども、一方で問題もあります。
統一試験のための予備校ができ、経済的に余裕があって予備校に通える子にとって有利になる現状があります。また、こういう生徒がたくさんいる学校は評価が高くなるわけです。高校ではこの試験に備えた授業を考えなくてはならないでしょう。もちろん、5問から正解を選択する問題だけですべてを決めて良いのかという問題もあります。(しかし、一方で以前の大学がそれぞれ行っていた入試と比較するとずっと良くなったという話もあるのですが。)
また、評価の悪い大学や高校は、これまでも廃校や学部の廃止などが行われました。今後も継続するそうです。廃校になった学校の生徒は改めて試験を受けて他校に入る必要があります。
改革が急激なだけに、生徒への影響は大きく、しっかりと支えていく家族や学校の支援がなければ落ちこぼれていく子どもも出てくるでしょう。慎重に見ていく必要がありそうです。
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