2015年8月17日月曜日

サンパブロウルコの今            激流を乗り越えようとする人々の姿

代表理事の杉田優子は、8月13日からエクアドルに出張で滞在しています。14日にはサンパブロウルコを訪ねました。
このブログでもお知らせしている通り、政府は教育政策の一つとして、地方にミレニオ学校(Unidad Educativa de Milenio)を建設しています。これまでの村ごとにあった小規模な学校を廃止し、500人以上の定員を持つ大きな学校を作り、教育の質を上げようというものです。
サンパブロウルコ村のあるオルメド教区ではカヤンベで初めてのミレニオ学校を建設するという事で、教区の学校が何校か立候補しました。サンパブロウルコ村のウンベルトフィエロ校は、1990年代から長い期間をかけて村人の力で学校を充実させ、中学校段階(10年生)までの学年を持っていました。教育内容も村の実情にあわせて先住民言語のキチュア語を使った授業をしたり、教材の工夫をするなど、先生方も努力を重ねて来ていました。村人たちは学校を中心にまとまり、教育の重要性を語っていました。

ウンベルトフィエロ校も新しい教育政策であるミレニオ学校に期待して候補になったのでした。けれども中心地により近いペシージョ村の学校に決まり、ウンベルトフィエロ校は廃校の対象になってしまったのです。児童生徒の数によって教員が減らされる事になり、年々教員が減って行き、昨年度からは複式学級でなければやっていけない状況に陥りました。さらに、いつ移動させられるのか分からない、学校の批判をすると辞めさせられるなど教員を巡る状況も不安定で意見を言いにくい状況も生まれました。

一方で土地の相続の問題などから若い家族が村に住めなくなり、オルメド中心地に移住するなどの現象が現れ、子どもの数も減って行きました。こうして、村の学校は大きな危機に立たされ、それは村の結束にも大きな陰を落としていたのです。

今回、学校を訪ね先生方に話を聞くことができましたが、困難な状況の中、遠方から通う子どもたちのために、そして自分たちの文化を守るために、学校を廃校にさせないという動きが活発になって来ている様子が伝わってきました。中心部に移住して行った若い夫婦も子どもは村の学校まで通わせるなどの努力もしているようです。

これはここだけの話ではありません。他の村でも保護者が中心となって、教員を減らさないように政府と交渉する相談などが行われています。13日にエクアドルに着いた日は各地で先住民や労働者のデモが行われていましたが、先住民運動の中でもようやく教育の問題もあげられるようになって来たとヘルマンは言います。

写真は村の総会の後、先生や保護者と話し合うヘルマンと各地域ごとに集まって詳しい相談をしている人々の姿です。(8月14日杉田撮影)



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