2020年12月1日火曜日

SANE /SOJAEの奨学生事業(2) 30年以上続く奨学生支援の形

 10人の奨学生を支援することで始まったSANEの活動は、奨学金の授与と奨学生への講座の開催、奨学生同士の交流や現地メンバーの細やかな支え、そして日本人会員との毎月の手書きの手紙の交換が主とした内容でした。

奨学金とこの事業にかかっている現地の経費

奨学金の授与は、月に日本円で2400円。会員の会費は月に3000円が基本でその8割が奨学金に、後の2割が経費にと最初は考えられていました。会員の会費3000円というのは奨学生事業の維持をするために最低必要な額として定められたのです。ただ、月に3000円は大変と感じる方でも参加しやすいように、1000円でも2000円でも何人かが集まって一人の子を支援すれば良いということで、会費は1000円、2000円、3000円と定められ、これは31年経った今でも変わっていません(ただ、開始当初は3000円会員がほとんどだったのですが、現在は1000円会員が半分以上になっています)。奨学金の額は、現在は30ドル(レートにもよりますが日本円にすると3200円ほど)と少しですが上昇しました。これが奨学生達にとってどのくらいの価値があるかというと、学校の授業料は現在無償になっていますが、通学のためのバス代、文具や学校にかかる経費の支払い、現在はコロナ禍でオンライン授業になっているためインターネットの支払いなどで足りない状態です。このため、SANEは支援をしてくださる皆さんに呼びかけて今年度1年間の奨学金の10ドル追加を決めて送金しています。下の写真はSOJAEの昨年度の予算書です。見づらいかと思いますが、SANEからの毎月の予算が2208.3ドルとなっています。今のレートで約23万円です。これ以外に現地の元奨学生からの寄付もあって、事業総額は月に2258.33ドルです。奨学金の他に直接奨学生にかかる費用と人件費や事務所賃貸経費(キトは日本人補修校に間借りをして無料、カヤンベは支部長のビルに安い価格で間借りするなど、多くの方々の厚意で成り立っています)などがかかっています。人件費も含めて破格の安さだと思います(ただし、政府の規定に従っており、ボーナスや退職手当の積み立ても含まれています)。SOJAEは政府に認められた組織なので会計士の雇用も必要です。破格の安さとはいえ、小規模NGOのSANEにとってこの事業がお金のかかる事業だということがお分かりかと思います。


奨学金の資金に対する考え方

会費を奨学金に、そのほかの経費はできるだけボランティアで、という考え方は長く変わらないままでしたが、現在はJICAの事業も行っており、より責任のある活動が増えています。活動を大きくしたいわけではないのですが、安定した会の活動は求められており、活動を支えていくためにはきちんと国内経費や現地スタッフの給与や経費を考えていく必要に迫られています。社会が変わった今、100%無償ボランティアだけで活動を継続していくことに無理が出てきています。会費を奨学金に、という考えで始まった活動ですが、現在は会費は会の土台を支える活動に、奨学金はSANEの青少年育成に期待する人々や団体の寄付で支えていけないだろうかと模索が始まっています。



0 件のコメント:

コメントを投稿