2012年1月23日月曜日

2012年1月21日土曜日

NPOとしてのSANEの役割を考える

エクアドルの子どものための友人の会(SANE)のミッション(使命・目的)は、エクアドルの人々が自らの力で豊かな社会を築くことができるよう、教育、福祉等を通して協力することです(定款第3条)。
1989年に発足して以来、日本においては専従職員を持たず、現地派遣員もいない状態でやってきました。会員数は現在約140人(賛助会員は含まず)で、すべての方が自分の生活の傍ら、活動に参加したり、毎月の会費を納めてくれたりしています。
そんな会が、NPO(非営利の市民組織)として日本でできることは何でしょうか。
昨年の東日本大震災で、NPOに対する二つの別れた評価がありました。一つは、NPOが役割を果たせなかったという評価で、もう一つは、国際協力NGO(国際的な支援活動をするNPO)が復興の大事な力となっている、というものです。
前者の評価は、NPOが行政委託の事業を受けるようになり、寄付や会員拡大の活動や独自の活動を失ってきた結果、市民とのつながりが弱くなっていたというもの。
後者は、国際協力の現場において、多様な経験を積み、当事者主権で事業を進めることの重要性を学んできたNGOが、復興事業に協力する中で、こういった姿勢やスキルを活かすことができた、というものでした。
SANEはもちろん小さな組織で、SANEとして震災支援に携われたわけでもありませんし、これからもそういった活動が会の活動としてできるということもないでしょう。
けれども、SANEにもできることはあると思います。
たとえば、活動報告会や講演会の中で、現地活動を通して私たちが学んできたことを多くの方に知っていただくことで、その中に出てくる『ほとんどのことが日本の問題とつながっているのでは?』と一緒に考えていただく。
奨学生事業の文通などを通して、自分とは違う世界の人を思いやる経験をする。
ふやふやの商品(フェアトレードのコーヒーやチョコレートなど)を買って、その背景に関心を持つ。
コンサートを楽しんだり、イベントに出て色々な人や文化と出会う・・・
昨年SANEはたくさんのイベントに出店しました。飯能だけではなく、京都でも、ある喫茶店の店主さんのご協力で展示販売会をやりました。このことは、たった一人の会員さんの力でも、普段のつながりを大切にする中でできることがあると教えてくれました。そして、こういったことをきっかけに地域のつながりが広がっていきます。
NPOとしてのSANEの役割・・・というと大げさに聞こえますが、自分のできることで、エクアドルの子どもたち支援の何かをやってみる、その中で結果として自分の周りの人々とつながっていく・・・そういう日常的な活動がSANEの特徴のような気がしています。

2012年1月18日水曜日

奨学生の成長を見守る

エクアドルでは北部アンデス地域のほとんどの学校が6月に年度を修了し、新学年は9月に始まります。年度の終わりに現地の奨学生部会では一人ひとりの年間報告を作成し、日本のパドリーノ・マドリーナ(奨学生と文通をしているSANEの会員)に送ってきます。



この年間報告を読むとそれぞれの奨学生の1年間の成長が伝わってきて感慨深いものがあります。




恥ずかしがりやでおとなしい奨学生だったディグナは昨年高校を卒業しました。プログラムの中で人前で話をすることができるようになりました。奨学生担当のダーウィンは、『ディグナと一緒にいたこの間、彼女は物静かであったが、その一方で協力的で、責任感があり、彼女の家族が、彼女が高校を継続するために努力していることがよくわかった。(彼女の二人の兄姉は小学校だけしか出ていない。) 大変優秀な生徒であり、学業が継続できるよう願っている。』と書いています。


そして、彼女は手紙で励ましてくれたマドリーナにこんなメッセージを。『マドリーナは良い人で友人でもありました。なぜなら、私に下さったすべての手紙に私に前進するようにと励まして下さったからです。とても愛を感じており、尊敬しています。』


マドリーナはこのメッセージを受け取って本当にうれしかったそうです。そしてこれからも励ましていきたいと話してくれました。



温かく彼女を励まし、共に歩んできたSANE/SOJAE(ソハエ)の奨学生プログラム。彼女は新しい人生へと旅立ちました。これからが大変です。でも、マドリーナを始め、スタッフのみんなが彼女の人生を見守っていることを忘れず、自分を信じて歩いていってほしいですね。



SANEは現在パドリーノ・マドリーナを1名募集しています。ぜひ関心のある方はご連絡ください。


(写真はカヤンベの奨学生の集まりの様子)






2012年1月13日金曜日

専門家育成プログラム

エクアドルの子どものための友人の会(SANE)は、専門家育成プログラムを行っています。
SANEは、高校生までの奨学生プログラムを行ってきました。このプログラムで子どもたちに渡される奨学金はもちろん返済しなくてよいものです。ここで育った子どもたちは、将来の進路に夢を描くようになり、その多くが大学などへの進学を希望するようになります。けれども大学進学にはお金がかかります。現在は国立大学は授業料が無償になりましたが、それでも地方に大学が少ないため、キトなどに出てくるための交通費や教材費などに重い負担がかかります。
こうした卒業生たちを応援するために、専門家育成プログラムが始まったのです。この奨学金は貸与です。卒業して社会に出たら、後輩を支援するためにも彼らは奨学金を返済します。
また、優秀な卒業生の中には、ドイツの奨学金を受けている人もいます。
こうして大学に行っている卒業生の一人が、シンティアです。(写真左から2人目)彼女は環境生物学を学んでいます。
シンティアから便りが届きましたので簡単に紹介します。(原文はスペイン語で下にあります。)

大学では学期途中の試験があり、うまく行きました。ヒロンというところでオープンキャンパスをやり、自然科学のクイズをやって遊びました。
12月はクリスマスと年末のお祝いをしました。古着などを困っている子どもたちに送る活動もしました。
詩のコンクールにも参加しています。
ソハエ(SANEと一緒に活動している現地組織)の奨学生たちへのボランティア活動にもファシリテーターとして参加しています。
奨学金を受けているドイツの組織、ハンスセイデル(ドイツ語ではザイデル)の色々な研修にも参加し、それをソハエの活動に生かしたり、ドイツ語も学んでいます。

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En la Universidad.-
En el mes de Noviembre rendí los exámenes de mitad de semestre; me fue bien, además -en el mismo mes- realizamos las casas abiertas de la carrera en el sector del Girón para ello creamos un juego de conocimientos de ciencias naturales.
El mes de Diciembre fue corto en la Universidad debido a que se celebran navidad y fin de año. La Facultad de biotecnología organizó una colecta de víveres y ropa usada para formar packs navideños y llevárselos a los niños/as más necesitados. En este mes –también- realizamos exposiciones de tejidos con especies vivas.
Al momento estoy participando en un concurso de poesía en la universidad, el tema es “Lo eterno” el cual se trata de expresar emociones y sentimientos.
En la Fundación Sojae.-
He apoyado la realización de talleres durante estos meses; en diciembre como facilitadora di un taller de expresión corporal. Además ayude a organizar y participe del evento realizado por navidad y año nuevo; fue una oportunidad para reencontrarnos con algunas ex –becarias y con voluntarios como Homero Rivera y Freddy Sangoquiza (Fue una mañana muy grata, llena de sorpresas y encuentros inesperados).
En la Fundación Hanns Seidel (FHS).-
Desde el próximo año recibiremos un seminario por meses, ya que eso fomentara la unión entre los becarios y nos permitirá conocernos mejor. El día 22 de noviembre participe de un evento con motivo de la inauguración de las nuevas oficinas de la FHS. Fue un evento muy bonito y lleno de sorpresas agradables.
El día 21 de diciembre, se realizó un encuentro por las festividades navideñas con los chicos de la FSH y nuestra coordinadora Azucena, esta actividad fue muy interesante ya que todos los chicos asistentes colaboraron con algo para preparar nuestra cena navideña.
En la Asociación Humboldt.-
En las dos primeras semanas de diciembre se terminó el primer nivel de alemán en la Asociación Humboldt con un examen final que constaba de una parte escrita y otra parte oral, espero haber obtenido buenas notas. Este primer nivel me ha permitido conocer un poco más de Alemania y a la vez darme cuenta de lo interesante que es su cultura, sus tradiciones (y sobre todo lo difícil de su gramática). Lo que más me llama la atención es su seriedad en las cosas y su forma de comportarse.

2012年1月12日木曜日

パウロ・フレイレ地域学校を訪ねて

みなさま、新しい年をどのようにお迎えでしょうか。
大変なことがあった2011年でした。放射能の脅威や経済的な困難は今なお継続しています。
でも、日本の各地でそれにも負けず生きている方々がたくさんおられて、勇気づけられる思いもしています。2012年がよりよい年となるよう、お互いにつながっていきましょう。

さて、1月9日に私(杉田)は愛知県豊田市にある、パウロ・フレイレ地域学校を訪問しました。休日でしたので生徒さん達には会えませんでしたが、校長先生のジョセリアさんご一家に温かく迎えていただき、大変有意義なひと時を過ごしました。

豊田市はトヨタ関連の会社で働くたくさんの外国人が住んでいます。NPO法人保見ヶ丘ラテンアメリカセンター(代表は首都大学の野元先生です。)は、ブラジルやペルー出身の子どもたちが日本国内で質の高い教育を受けられるように、地域の教育活動を支援してきました。パウロ・フレイレ地域学校はそのために開校された学校で、ジョセリアさんはこの学校の校長先生としてブラジルから招かれたそうです。最初(2005年)はたくさんの子どもたちを対象に4つの教室がフル稼働するほどだったそうですが、その後の世界的な経済危機の影響で多くの外国人労働者が仕事を失い、帰国を余儀なくされたり、無職のままで日本に残ったりし、その上今回の震災の影響もあって、学校の生徒数も激減したそうです。

そのような厳しい経済状況の中、ここで暮らしている外国人の子どもたちのために、ジョセリアさんご夫妻は献身的に勤めていらっしゃいます。生徒たちの文集には、困難な中この学校の人々に出会って信頼を取り戻し、少しずつ心を開き前向きに生きている子どもたちの様子が生き生きと伝わってきます。

パウロ・フレイレはブラジル人ですが、ラテンアメリカだけではなく、困難を抱えている世界中の国々で学ばれている教育思想家です。貧しい人々が自分を取り巻く世界を読み解き、その中に自分という存在があることを自覚し、自信を取り戻して力を発揮していく、その教育の道筋を説いた彼の本は説得力があります。そこでは教師は生徒に決まったことを教え込む存在ではなく、生徒と共に学ぶ存在なのです。

こうした教育をこの学校では行っているのです。私自身震災経験を経て、地域に住む外国人のために何かできることがあるのではないかと考えるようになりました。社会的弱者と言われる人々に配慮した社会とは、実はすべての人々に配慮できる社会なのだと感じています。SANEに新しい視点が生まれてきていると感じる新年です。