2025年6月16日月曜日

出張報告8 奨学生事業(キト)

キトの奨学生交流は、14日土曜日にサンフランシスコ大学で18人全員が集まって奨学生担当のカテリネのサポートで行われました。ソハエ代表のパオラは娘を連れて参加。今日の担当はDILO (Debate, Investigación, Lógica y Oratoria: 討論、調査、論理、スピーチの頭文字をとった名前)という教育省承認のNGOからきた若者達でした。講師を務めてくれたのはマルティンさん。彼はディベイトのコンクールで一位を取ったという強者でした。

2時間ほどの時間の中で、準備の声出し、ストレッチから始まり『あなたはどんな人間?』、『平和とは何?』といった問いが続き、与えられた時間の中で答えを書いていきます。さらに社会で問題になっていることについて、それを変えるには何が必要かを自分なりに一つのテーマでまとめて全員が発表。それぞれ奨学生達は、子


どもの栄養、望まない妊娠、外国製品によって国内製品が売れないこと、動物愛護、学校のカリキュラム、女性がサッカーをすることの困難など、違った視点で発表していました。その後休憩の後、体を動かすワークショップがあり、3人組になって与えられたテーマで対立の場面を想定し、それぞれが役割を分担し、その役割になりきってどのように問題解決に導くかを発表しあいました。

見ていてどんどん場面が展開し、ついていけないほどでしたが、奨学生達は立派に対応し、自分の意見も発表できていて素晴らしいと感じました。



その後、近くのレストランで昼食をとりましたが、都合で早く帰った一人を除いて全員とパドリーノとの文通のことや進路のことなど、話ができました。彼らは優秀で、大変前向きな子達でしたが、中には唇にピアスをしたり、オシャレも追求している子もいて、明るくて親しみやすい子達でした。
日本の同じ年齢の子達よりも大人っぽい子が多く、自己表現の力も育っている気がします。文通をしているサネの会員の方達には、そういったことも知っていただけたら話題が広がるかもと思いました。

2025年6月15日日曜日

出張報告7 奨学生事業(カヤンベ)

カヤンベの奨学生との交流は、6月8日に事務所で行われました。一人一人と握手をしながら声をかけ、日本から持ってきたお祝いのカードや文通相手の方からの手紙を渡しました。終始笑いの絶えない和やかな雰囲気でした。日本への質問をしようということで、一人一人が質問してくれたのですが、ぺぺがほとんど答えてしまいました(苦笑)。

 


エクアドル出張報告6 栄養教材を使った学び

 AIN助成事業の4つの軸を若rやすく説明すると、次のようになります。

1.ソハエスタッフのサポートで、 給食委員会が中心となって保護者主体で給食提供のシステムを作り上げること。2. 栄養教育を通して栄養の知識を定着させること、3. こうした学校の努力を孤立させず、地域社会が食材費の寄付で支えること、4. 以上の給食実施の形をモデルとして完成させること、です。

このうちの2つ目の軸の教材作成についてはすでにこのブログでも取り上げていますが、今回の出張ではこれが有効に使われており、子ども達に栄養知識が定着してきていると感じました。

1枚目の写真は低学年の子どもの様子です。栄養素別になった板に、該当する食材をはめ込んでいく形になっています。先生が子どもの持った食材の名前を言って意識化しています。

2枚目の写真は、栄養すごろくです。サイコロを振って止まったところで、問題が出て解いたら進めるという仕掛けがあります。これは中学年の子達がやっていました。

食材を栄養素別に分けている様子です。子ども自身が説明しています。栄養士のユリがそばで見守っています。



そして、下の写真のカードゲームは特に子ども達が関心を持って取り組んでいました。食材が描かれているカードは、炭水化物、脂質、タンパク質、ビタミン、ミネラルの5つの栄養素ごとに5色に、そして体に良くない食べ物が灰色に、全部で6色に分かれています。子ども達はそれぞれの色を1枚ずつ集め、灰色のカードが来たらそれを捨てます。

完成した栄養教材の写真を見た時に質が高いと感じてはいましたが、実際にこうして授業や子ども達の活動の中で使われている様子を今回の出張で見ることができ、給食実施と同時進行で栄養教育を行うことが効果が高いと改めて認識しました。今回、AINスタッフの皆さんと私の他にも、アメリカのNGOの方や地元農園の方も来られましたが、皆さん高い関心を持って見学され、翔さんの声が上がりました。この教材は買いたいという声もあって、商品化できたら良いねと話題になりました。

エクアドル出張報告5  月曜日の学校

 週の始まり、月曜日は給食準備で忙しい一日となります。今回は味の素ファンデーションから事業の視察に3人が訪問されました。

朝、オタバロから食材を積んだトラックがやってきます。前の週に1週間分のレシピを決め、必要な食材の種類と量を書き出し、あらかじめ連絡をしておいたものを受け取ります。
この担当をしているのは保護者の会計担当のイネスさん。メモを見ながら一種類ずつ品物の確認をし、業者の方は値段を確認しながら領収書を記入していきます。
この事業が始まった当初(12月)はスタッフやイネスさんが食材の買い出しに行っていたため、時間もバス代もかかって食材の仕入れが大きな問題になっていました。その後、彼女自身がこの業者と交渉をして学校に毎週届けてもらうことになったのですが、これは大きな前進でした。給食委員会でも最も仕事が多いのがイネスさんのやっている会計担当です。買い出しに行っていた頃は彼女の夫が助けたりしたこともあったそうですが、役員は毎年交代するので、このままでは次のやり手がいないと嘆いたのが、今は大幅に仕事が減って楽になりましたと話していました。

この食材を計量してそれぞれの曜日に分けてカゴや冷蔵庫に配置しているのはセルヒオさん。彼は保護者副代表の方で、大変積極的に給食実施のために働いています。後ろの青いカゴは曜日ごとに段が分かれています。栄養士のゆりが見守っています。左奥は視察に来ている味の素ファンデーションのアドバイザーの依田先生(公衆衛生学)です。




一方、食材のトラックが来る前から二人の担当のお母さんの手によって、今日の給食準備は始まっています。手洗い、着帽、エプロンをつけて手際よく準備をしています。ジャガイモをむく速さには目を見張りました。



冷蔵庫に食材が準備されています。これも、曜日ごとに棚が分かれています。右側が冷蔵庫で左側が冷凍庫です。今回は冷凍庫にチーズを発見。まだ冷凍庫の使い方がわかっていない保護者もいるので、さっそくチーズは冷蔵庫のここに入れるのよとジョセリンとユリが教えていました。
今日のメニューは、ウチュハクスープにアボカドとゆで卵を入れたものです。じゃがいもも入ります。朝8時頃から準備していた給食は11時前には準備が整います。
11時。
授業が終わった子ども達は急いで給食室に集まってきます。みんな待ちに待った給食です!

食堂に入る前にみんな手を洗います。

この手洗い場はコロナ禍の時にサネが設置したものですが、現在も衛生的な学校生活に大変役に立っています。
給食は低学年の子ども達から順番に配られます。入学前クラスの子ども達には先生が配ってくれます。1年生から並んでもらってきます。この低学年用の食器は埼玉県川越市の学校から元会員さんのご協力で寄付されたものですが、ちょうど良い大きさで大変役に立っています。





2025年6月14日土曜日

エクアドル出張報告4 カヤンベ卒業生の今

ダーウィンを含めて7人のカヤンベ支部の元奨学生が集まり、一人一人が人生を語ってくれました。
その中の一人、アナ・チマージョを紹介します。彼女は小学校を出て中学校に入るときに母親から勉強しなくて良い、中学校に入学する必要がないと言われ、進学への助けは一切ありませんでした。それでもどうしても勉強したくて、自分で提出する書類などを準備し、進学したそうです。もちろんお金も出してはもらえませんでした。彼女を助けたいと学校のカウンセラー(ここではカウンセラーが担任のような役割を果たします)がソハエ(サネのカウンターパート)に奨学生候補者として推薦し、選ばれて奨学生になったということです。

彼女は奨学生になったことで、奨学金を得られただけではなく、支えてくれる大人と仲間に出会ったのでした。こうして高校を卒業した彼女は、羊毛を毛糸にして編み、作品にまで仕上げる一連の作業を学び、現在村の人々に教えています。
私たちは彼女の工房を訪問して、そこで働いていた皆さんにお会いしました。皆さんは口々に彼女を助けてくれてありがとう、おかげで今私たちは彼女から学ぶことができていますと話されました。


エクアドル出張報告3ー祭り

ここカヤンベの先住民の教区では6月から毎週末はお祭りです。7日は各村々から乗馬の腕を競うために集まってきます。背景はカヤンベ山(5700m)です。

そして、各村の代表が順番に中央に出て、乗馬の技術を披露し代表に選ばれた女性が挨拶をします。



エクアドル出張報告2

 6日にはカヤンベに移動し、現在事業を行っているウンベルトフィエロ校を訪ねました。学校では保護者の皆さんが集まってくださり、一人ひとりにお話を聞くことができました。サネはこの学校において2024年4月から味の素ファンデーション助成事業を行っており、12月中旬から食材費を(予算の半額を目安に)毎月300ドル投入し、保護者からの寄付の作物、学校で収穫した作物や給食費を使って、栄養士の作ったメニューを保護者が確実に子ども達に提供できるよう支援してきました。半年近く経った今、これがどのように進展しているのか、そして保護者の皆さんの感想を語っていただきました。

大変印象的だったのは、当初は食材を買いに行く、測る、レシピ通りに調理することや、これまであまり食べたことがない食材(野菜など)に慣れていなかったことなど、全てのことが大変で残菜もあったが、最近はすっかり慣れてきて、子ども達から家でも作ってと言われるようになったという嬉しい話が多くのお母さん達からあったことでした。また、近隣の村の子ども達の中には、その村の学校ではなく、おいしい給食が食べられるここの学校にくる子も出てきているとの話でした。

また、給食委員会の委員をやっているお父さんは、これまでは言われたことをやるという姿勢だったのが、意見を求められるようになり、自分たちで考えるようになったと語りました。

こうした、事業の成果を感じられるような発言を聞くことができ、月曜日の学校訪問に期待が高まりました。