2020年6月25日木曜日

JICAWebセミナーで発表 コロナ状況下での事業継続の工夫について

 JICA東京の主催で草の根技術協力事業を行っているNGO対象のwebセミナーが6月23日に行われました。これは、各国でのコロナ対策とJICAからの渡航延期要請が続く中、草の根技術協力としてできることを企画する、ということで開催されたものです。担当の方にお声掛けいただき、コロナ禍において事業をどう進めているのかというテーマで発表をさせていただきました。
 お引き受けした時は、特に大きな工夫もしていないのに何かお話できることはあるのだろうかと思いましたが、発表させていただいた私自身大きな気づきがありました。

 エクアドルは日本でもニュースになりましたがコロナ感染者が海岸地域で爆発的に出て3月以来大変なことになりました。私たちの活動する山岳地域への感染は少なかったのですが、全国的に学校は閉鎖、公共交通も止まってしまい、外から村に入ることも許されなくなってしまいました。もちろん3月に予定されていた私(プロジェクトマネージャーを務める杉田)の出張も中止されました。
 私たちが活動しているのはカヤンベ中心地から離れた村です。メンバーは事務所に来るのも大変な状況でした。私たちが最も心配したことは、学校菜園が放置されてダメになってしまうこと、せっかくここまで積み上げてきた給食提供への努力が水の泡となってしまうことでした。また、閉鎖された村で仕事を失った家庭の子どもたちの栄養状態も心配でした。
このような状況下、現地メンバーは困難を乗り越えて事務所に集まり、あるいはオンラインで事業校の教師たちに連絡をとってきました。学校菜園は作物が植えられ、水やりや世話を必要としていました。現地常駐者を持たないサネは普段からスカイプでの会議をし、現地協力組織のソハエとは密に連絡を取り合っています。Whats Appでグループを作って現地の教師たちとも直接つながっています。ふだんから、先生方からこのグループチャットに、畑で子どもたちや保護者たちが仕事をしている様子が写真で送られていました。これはブログでお伝えしてきた通りです。
 
なぜこうした活動が可能になったのか、と改めて考えてみました。
1. 普段から築いてきた現地との信頼関係
    お金のない私達の会ですが、奨学生事業を通じて時間をかけて子ども達を応援し(現在は36人)、会員の方々が月に一度の文通を通じて成長を見守っています。その奨学生達が卒業し、何人かは大人になって様々な形で活動を支えてくれています。JICAプロジェクトを支えているスタッフ3人のうち2人は元奨学生です。また、その後ろにいるカヤンベ支部の支部長はサネの初期の時代から30年近くボランティアメンバーとして関わっているご夫婦です。サネは個人を支援する奨学生事業と、地域全体を対象としその地域の学校を支援する教育環境改善事業の両輪で活動しています。奨学生支援はもちろん将来的に会の活動を担ってもらいたいというような具体的な目的を持つものではありません。けれども毎月の講座で子どもたちは豊かに学び(講座の講師はスタッフと他のNGO
のボランティア)、良い友人関係を作り、家族的な雰囲気の中で育つので自然に卒業後も会に残るのです。そこには卒業生への現役奨学生の憧れのようなものもあります。こうした元奨学生たちの中から事業の担い手も育ってきました。JICA事業の担当をしてくれているDarwinは地元の高校の優秀な教師でもあります。またJoselinは農業大学を出た農業技師です。

2. 現場の先生達との直接的なつながり
  たとえ村は封鎖されても私たちはSNSで繋がっています。先生たちが伝えてくれる現地の様子に、私たちも応援と感謝を伝えることができます。学校が休みの今も菜園では保護者や子ども達がきて世話をして収穫もあります。それが仕事を失って困窮している家庭に配られたりしています。写真は6月23日、24日に送られてきた写真です。一番上の写真は、マシュアという根菜が収穫された様子です。次の写真の学校も素晴らしい収穫があった様子がわかります。後の2枚の写真は種まきの様子です。最後の写真の学校は畑が斜面にあるのですが、風が強いにもかかわらず屋根も壊れず、人々が働いている様子がわかります。   

3. JICA事業をサポートする事業の計画と実施
 私たちは今JICA事業をやってくる中でわかってきた深刻な問題、水不足や給食室の換気の悪さ、耕作の大変さ、農具の不足などに対してどのようにサポートできるか考えています。そして他の助成機関に申請書を提出しました。これが現場で頑張っている教師やスタッフの励ましになっています。

4. JICAエクアドルとの協働
 また、昨年10月に現地メンバーと一緒に日本にやってきたJICAエクアドルのアンドレスさんをはじめとした現地JICAの皆さんのお声掛けで現在事業地域の食糧支援や学校が始まってからの衛生教育の計画を立てています。
現場のスタッフは仕事ができることをとても喜んでいます。

 セミナーにはJICA職員の皆さん、他のNGOの方々など40人以上が参加されていました。杉田の発表の他にモンゴルで活動されているNGOが、やはりコロナで出張ができなくなったため、オンライン研修をされたという事例発表もあり(テーマは養蜂でエクアドルでもできるのではないかと思いました)、オンラインならではの力を発揮されたという、参考になるお話でした。
 他のNGOの経験を聞くことができ、また自分の組織のことを振り返るきっかけともなり、参加者の皆様からご意見や感想をいただく事もできて大変有意義なものとなりました。JICA東京の担当者の皆様、大変ありがとうございました。 



 


2020年6月3日水曜日

飯能市とカヤンベ市の友情の花が咲く!

 2018年の日本エクアドル外交関係樹立100年記念の時に、カヤンベ市から贈られたtiloの花が2年の時を経て初めて咲きました。

実はこの時2種類の苗木が2本ずつ、ちょうどエクアドルから日本に来ることになっていた田辺農園の田辺さんにお世話になって運ばれてきて、そのうちの1本が飯能市中央公園に植樹されたのですが、その種類の木は日本の冬の寒さに耐えられず枯れてしまい、もう1種類の木だけが、代表理事の杉田宅で育っていました。最初は成長も遅くて日本に馴染むのが大変なのかなと感じていたのですが、ここ一年はたくましく成長し、すっかり飯能の気候に慣れたようです。そしてついに星をちりばめたような真っ白で美しい花を咲かせてくれました。
中央公園に移植しようかどうしようかと考えています。中央公園のような多くの人が集まる場所で美しい花を咲かせて皆さんに楽しんでいただきたいのは山々なのですが、せめて柵などで囲ってあげて世話をしてあげないと可哀想だと植木屋さんの言葉。まずは環境づくりを考えてみます。
下の写真は空港で受け取った時の写真とその時の苗木の様子です。


2020年6月2日火曜日

 SANEオンライン総会開催! 


SANE総会が初めてオンラインで行われました。最初は皆さん経験もない方が多いし、ネット状況も違うのでうまくいかないのではないかと懸念する声の方が大きかったのですが、事前に何度かお試しzoom会を行い、インストールの方法や使い方を調整。事務局会議も初めてzoomでやってみました。

スマホは持っていてもzoomは初めてという方もおられ、消極的だった方々も実際にやってみると思ったよりハードルが低く、便利だということがわかり、当日は30人に近い方々が参加。お住まいも京都、会津、栃木、東京、神奈川、埼玉などなど広範囲でした。
今年度新しく事務局長に就任することになっていた宮地は東京の自宅からホストとして参加。全員が無事につなぐことができるように一人一人と個別に連絡を取り細心の注意を図りました。事務局長の東城、司会担当の南林は代表杉田の自宅に集まり、打ち合わせをして上の写真のように会を進行。共同ホストとして2カ所で進行ができたことも会の進行には良かったと思います。

会の始めにエクアドルから参加してくれたダーウィンとパオラが現地の地域の様子や奨学生の状況、スタッフの活動について話してくれました。また、アメリカからペペが参加。久しぶりの『対面』に歓声が上がりました。
昨年度の活動と決算報告、今年度の活動計画、予算など全ての議案がスムーズに承認されました。議案書は別途掲載しますが、全体方針のみここではご紹介しておきます。

全体方針:
SDGs(持続可能な開発のための目標)は、市民が主体となって、世代を超えた明確な目標を持ち、繋がりあって実現をしていく総合的な取り組みです。SANE以下の4つの課題について昨年に引き続き取り組んでいきます。引き続きよろしくお願いします。
 (1) 未来を作る若者たちを育てる奨学金事業と、学校の教育環境を改善する教育環境改
善事業を、現地スタッフ、教師、保護者と共に行います。
 (2) この活動を通して、市民が直接参加できる国際協力の機会を提供します。
    (3) SANEの国内基盤強化のため、事務局と理事会の充実に力を入れます。
(4) 日本ではエクアドルをはじめとしたラテンアメリカの文化や社会を紹介し、エクアドルでは日本の紹介のために活動します。
 (5) フェアトレードを行なっている企業や組織と協力し、エクアドルの生産者の生活を守り、自然保護に協力し、日本の消費者とつなぐため、フェアトレード品の販売普及に協力します。

また、理事として新しく入会された和田さんが推薦され、理事会も少し若返ります。

なお、総会の中で宮地新事務局長がコロナに伴う困難さの中で活動を止めずに頑張っているサネの国内活動、仕事を失って経済的な困難が増している現地の奨学生、事業地域への支援のための寄付の呼びかけをさせていただきました。改めてみなさまにはご案内をさせて下さい。

その後全員からメッセージをいただきましたが、
-  オンラインだとエプロンで気軽に参加できるんですね!
-  子どもがいても参加できてよかった!
-  このところ落ち込んでいましたが、皆さんのお顔を見て声を聞いて元気になりました!
-  コロナで会も現地も大変だけれどもとても頑張っていることがとわかり、早速寄付をしたいと思います!
など、嬉しいコメントをいただきました。

最後に『記念写真』の撮影。大学生からシルバーの方まで世代も立場も異なる方々が交流できたサネらしい総会になったとみんなで喜び合いました。来年からも多くの方々の声が聞けるオンラインの良さを取り入れたいと思います。

みなさま、ご協力ありがとうございました。今年度もどうぞよろしくお願いいたします。