2019年12月26日木曜日

出張を通してーJICA事業の今(プロジェクトマネージャー)

今回の12月の出張の前にインターンで調査に入ってくれた大川さんの詳細な報告、現地から毎日のように寄せられたリーダー育成担当の東城さんと農業専門家の大塚さんの出張報告、現地事業補助員のジョセリン・コヤゴの報告を受けて見えてきた、JICA事業の現状、成果、課題についてプロジェクトマネージャーの杉田が簡単にまとめてみます。

6校の事業校によって地域の実情も菜園や給食実施の現状も大きな差があります。けれどもそれは最初からわかっていたことで、それぞれの学校が実情に合わせて、それぞれの良さや強みを生かしてどこまで課題を自分たちで克服し、前進していけるのかが最も重要な点です。この事業は、何かものを提供する事業ではなく、人々の意識を変えることで、自分たちで子ども達の健康をよくしていくために、学校菜園を充実させ、学校給食実施の方法を模索していくというものです。これは厳しい目標ともいえます。
けれども、今回の出張で昨年度給食実施ができなかった学校でも、講座でリーダー達の働きかけで、保護者や教師が真剣に話し合い子ども達の健康を心配し、学校菜園や給食実施に向けて努力しようという姿勢を見せてくれたことは大きな成果でした。今回の講座は大きな意味を持っていたと思います。各学校の校長先生、担当教師の皆さん、参加した保護者の皆さん、そして出張者の東城さん、大塚さん、大川さん、現地補助員のヘルマン・リコ、ジョセリン・コヤゴ、彼らの言葉であるキチュア語で語りかけてくださった現地アドバイザーのセグンドさん、ありがとうございました。(上の写真、左の写真は訪問した事業校で)
<この9ヶ月の成果>
*学校菜園と学校給食を実施のために努力し、3年後には安定的に実施をして成功事例を作るという意識が共有されたこと
*保健省、教育省と一緒に参加できたこと
*6校中4校の定期的な給食の実施、1校の不定期な実施ができたこと
*栄養の知識が少しずつ知られるようになってきたこと
<課題>
*水の問題の解決 
 貯水池の設置を各事業校ごとに考えていく必要がある。自らのちからで(共同作業)できるかどうか、業者に頼む必要があるとしたら、資金をどのように調達するのか
 これについては、ピサンビージャでは大和証券の助成金が決定し、この助成金で1月〜2月に建設予定がある。他の学校でも条件などを調査中。  
(写真は教育省を訪ねた一行)。
*農業的な課題
 学校菜園の農業技術的な問題が出てきている。現在大塚専門家が滞在中なので、この期間にできるだけ課題の明確化と今後の方針を出していきたい。
出張中に種子を播くよりも苗を植えた方が良いという話になった。その他にもいくつか具体的な課題が出てきている。一つあげられるのは耕運機の使用である。上記の大和証券の助成金で耕運機を購入予定であるが、ピサンビージャでどのように耕運機が生かされるのかをみて、他の学校でも使えるところでは使っていけるように、必要に応じて購入の可能性を探ってみたい。
もっと身近な、農機具の整備も行えたらと考える。
*給食実施の問題
 ウンべルトフィエロ校では 給食実施と運営のために教師と保護者の話し合いが持たれて大きく前進しているようであるが、ここに現地事業補助員の参加が可能になるような働きかけが必要であろう。
また、他校でもそのような普段の努力ができるように支援していきたい。





今あるものを上手に生かしたいーラファエルコレア校ー出張報告6


この出張報告は、12月6日よりエクアドルに出張をした東城リーダー育成担当と大塚専門家、インターンの大川さん、現地事業補助員のジョセリンコヤゴの報告をもとにしたものです。

講座の最後の開催校、ラファエルコレア校はカヤンベ中心地バスで45分。生徒数は1年生から小学校6年生まで58人いる。この学校は政府の政策によって大規模なミレ二オ校が開講された時に廃校になるところでしたが、村を上げてこれに反対し、粘り強い交渉の末に継続を勝ち取りました。現在は生徒を減らしはしましたが、保護者の強い団結意識と村との強い絆で学校を支えています。3月の出張時にも突然教師が1名他校に配属になり、教師が減ってしまうという出来事があったばかりでした。困難は続いていますが、頑張っている学校です。

講座当日も仕事を休んで参加している親もいて、講座への関心は高く、参加者数は延べ30人を超えました。学校給食の実施のために、一か月1ドルを各家庭から集金し、家庭からの食材の持ち寄りと菜園収穫物を利用して毎週2回の食事の提供を行っています。
講座参加者の方々から、現状の報告、問題提起、解決方法の提案をお願いしたところ、次の問題が挙げられました。
*耕作面積が少ない
*ビニールハウスが古い
*発芽率が悪くなった

また、参加者からの要望として、給食室の建設、現在は子ども達が持ってきている食器の大きさが違うので同じ量の器の提供ができないか、農機具が欲しい、食事に加えて栄養剤の提供ができないかとの話がありました。
こういったニーズをどのように満たしていくのか、外からの提供ではなく、ここにあるものを生かしていくことが重要です。例えば、こちらでは食堂で食事をするという意識があるようですが、日本では教室で給食をとっていることを紹介しました。今後も教師や保護者と共に考えていきたいです。
発芽率の低下の解決として、苗の購入を考えていることも伝えました。
十分な耕作地を確保するために、土地を借りる契約を結び、収穫物の一部を地主に渡し、それをもって借り賃にするという提案が出されました。

<大塚農業専門家より>
訪問したタイミングもあろうかと思うが、6校の中で最も上手く野菜が育っていた。
小さなハウスを2つ所有している(1つは何も植えられていなかった)。
レタス、ビーツ、キャベツ、白菜、パクチーなどが育っている。
ハウスの外にはアップルミント、食用ほうずきが植えられていた。
気になる点は、土が乾いているのでマルチングは必須だと感じた。畝が低いのは水不足対策かもしれないが低くする分、深くまでしっかりと耕さなければならないので、もう少し高めにした方が理想だと感じた。

耕運機の導入をしたいーウンベルトフィエロ校〜出張報告5


この出張報告は、12月6日よりエクアドルに出張をした東城リーダー育成担当と大塚専門家、インターンの大川さん、現地事業補助員のジョセリンコヤゴの報告をもとにしたものです。

サンパブロウルコ村は先住民の多い地域であり先住民文化の伝統が色濃く残り、人々の結びつきや学校との関係も強いです。写真は伝統的行事の様子です。ここはカヤンベで一番初めに設置された学校です。カヤンベ中心地からは車で約40分のところにあります。オルメド教区の中心地までは道路も整備されバスが通っており、そこから歩いて20分ほど上がっていくとサンパブロウルコ村に着きます。カンガウア教区にある他の学校と比較して中心地から便利に行ける地域であり、それだけにカヤンベまで出て仕事をしている人が多く、若者の移住も多いため、過疎に伴う生徒数の減少に悩む地域です。
 生徒数は57(全実施校の中で最も少ない)であり、小学校1年生から中学3年生までの教育課程を備えています。就学前クラス対象者にあたる5歳以下の子どもは、木曜日だけ学校にくることになっていて、この子ども達は給食を食べていません。 教員数は8人です
745分に子ども達は登校し、授業は8時から14時までです。11時から1145分の間に給食と、政府支給の牛乳とシリアルが支給されています。
  地域では、酪農が盛んで牛乳が生産されていますが、多くの保護者はその牛乳を家庭で消費するよりも売ってお金にすることを優先しています。

今回の講座への期待は大きく、開始時には既に25名を超える保護者の参加者がありました。校長は他用で開始時は不在でしたが、担当教師から長年にわたり行政からの支援がない中、保護者の協力を得て歩んできた様子が報告されました。特にJICA事業開始後3会議を重ね、耕作スケジュール、給食メニュー等を教師と保護者が共に考えてきたそうです。教師から保護者の協力に対する感謝の言葉がありました。
また、菜園事業を生徒の教育の一環として取り組み、作物の成長記録をつけ、作物品評会を開いていました。教育的な姿勢がこの学校の大きな特徴であり、長い教育的努力の積み上げの結果学校菜園と給食実施の成果もあると感じました。
この事業では、事業最終年に学校の菜園と給食提供に関しての「手引書」を作成します。これはSANEのプロマネ、農業専門家、栄養専門家、現地事業補助員と教師が協力しあって作成するものですが、ぜひウンベルトフィエロ校の貴重な経験を生かして作りたいと、協力をお願いしました。
大塚専門家による農業経営の経験発表の中では、コメ汁を利用した肥料に興味を持ったようです。現地事業補助員のジョセリンコヤゴから、この話に加えて肥料に関して話があり、参加者の興味を引き付けていました。
この学校からも耕運機購入の要請がありました。特に今年のように雨が多い季節は除草が間に合わず、準備が大変だったようでした。休耕地の除草対策に有効な耕運機は必要だと感じました。また、収穫物の貯蔵技術を持っているこの学校では、耕作面積を増やし、貯蔵穀物の量増やす計画があります。耕作地を広げるためにも、人々の作業を楽にする耕運機の導入が望まれます。



努力を重ねるパンバマルカ村カルロスビセンテアンドラデ校ー出張報告4

この出張報告は、12月6日よりエクアドルに出張をした東城リーダー育成担当と大塚専門家、インターンの大川さん、現地事業補助員のジョセリンコヤゴの報告をもとにしたものです。

順序が逆になりましたが、講座2日目はパンバマルカ村のカルロスビセンテアンドラーデ校でした。カヤンベからは車で約45分。地域内にはバスは通っていませんが、乗り合いのトラック(50セント)を使うことはできます。カンガウア中心地やカヤンベ中心地に出かける時は、トラックの荷台に乗って移動します。
今年の生徒数は就学前クラスから高校1年生までで234人で、教師は15人。事前に調査に入ったインターンの大川さんの報告でも、他の実施校と比べるとプロジェクトが最もうまくいっていない学校で、給食は未だ実施されておらず、菜園も面積としては広いが収穫は一切ありません。現地事業補助員のジョセリン・コヤゴからは、教師も保護者もあまり積極的ではないという感想を聞いていました。
菜園も10月までは畑の準備も行っていませんでした。この遅れの原因は前任の菜園担当教師だったようです。
けれども、10月に新任の菜園担当教師が赴任してから、現在まで3回のミンガを組織し各91名の親を集めていました。写真は11月初めのものですが、畑の準備、種まき、動物除け囲いの補修と耕作、収穫に向けて活動が始まっている様子が伝えられています。
今回の講習会では昨年の
学校菜園の紹介をしていました。彼女(新任担当は女性です)は菜園の経験はなく、耕作方法にはいろいろ問題があるようですが、非常に積極的でした。また、校長も親と指導教師の間に入り、事業の組織化に非常に協力的です。セグンド氏より各家庭から食材を持ち寄ってできるだけ早く給食の実施を促し、参加者も実行を約束していました。来週早々、給食実施に関する集まりを持ち、調理担当などを決めるとのことです。
一方この学校では、子どもの保護者でもある女性が学校にある調理室、食堂を利用してbar(食べ物の販売)を行っています。そことの調整をどうするかが課題です。
 講習会の雰囲気はとても積極的で、開催前の心配は軽減されましたが、今後は現地補助員と共に、常に進捗状況を確認する必要があります。

<大塚農業専門家より学校菜園の詳細状況>
保護者からの質問と意見、感想
 ・菜園にhabasアバス(ソラマメ)を植えているが害虫被害がある。有機除虫の作り方、使い方は?
  答え:作り方、希釈倍率、噴霧頻度に気をつける。 
 ・生ゴミ堆肥に興味がある。
大塚専門家の感想
 農業の基本的なことに問題があるせいか、全体的に発表に関する反応は薄かった。

校長の意見
 ・いつも子ども達はスナック菓子を食べているから野菜不足が心配だ。
 校長は、収穫物を売ることもできると保護者に話していた。実際に玉ねぎを栽培して街に売っている家庭もあった。

現地アドバイザーセグンド氏が保護者の一人を指し、昨日なにを食べたの?とたずねた。その保護者は、食べたものは米、ティラピア(魚)、豆と答え、野菜が不足していると指摘があった。
一方で、畑にはセロリ、パセリ、パクチー、レタス、ふだんそう、ビーツ、ブロッコリー、ソラマメ、チョチョス(豆類、カルシウムとタンパク質が豊富)が植えられている。
前夜雨が降ったが、ビニールの屋根があるため、その下の3つの畝は乾いていてペットボトルに水を汲んで潅水していた。今後はすべてビニールで囲いたいとのことなので水の問題がある。対策としては畝の水分蒸発防止のためマルチングは欠かせないと思う。
2週間くらい前に種をまいたが芽が出ていない(白菜、ラディッシュ、ニンジン)
ピタナアルトの学校と同じ問題(種が死滅している)がここにもあり、校長は苗を買うつもりでいる。野菜によるが、ひとつ2セントで買えるとのことなので良い案だと思う。

農業担当者は、足りないものとして農機具、ハウスのビニール、ハウスを補強する木材、ハウス用のボルトが必要とのことであった。

写真は講座で出された、保護者の調理した食事。



2019年12月25日水曜日

厳しい学校菜園運営ーグスタボアドルフォベッケル校ー出張報告3


この出張報告は、12月6日よりエクアドルに出張をした東城リーダー育成担当と大塚専門家、インターンの大川さん、現地事業補助員のジョセリンコヤゴの報告をもとにしたものです。

ロッテドスは標高3600mを超える標高の高い、厳しい自然環境の村です。この村にあるアドルフォベッケル校は2003年に学校菜園事業を開始した最初の学校です。また90年代には学校建設、職業訓練など多くの支援事業を重ねてきました。校長は外部の人でしたが地域のために熱心に働いてきた人でした。現在校長は別の人になりましたが、やはり熱心な方です。3月の出張時には以前菜園であった場所は教育省が遊び場に変えることが決まり、整地され、道路を隔てた場所が菜園となっていました。学校独自の努力で見事な菜園を作っていましたが、広さは以前の半分になってしまいました。(写真右:講習会の様子。左前に座っているのが東城、前で話すのはコヤゴ)
今回、しっかり菜園事業は続いていると予想していましたが、菜園は収穫できる作物はなく、10センチほどに伸びたそら豆と、まばらに発芽した野菜があるだけでした。また、講習会は校長の連絡ミスで明日となっていました。また、菜園担当教師は欠席していました。急遽、親を集め、講習会が実施されました。
講習会ではまず、東城よりこの事業の目標を確認しました。この学校では、特に食べるものを買うために子どもたちがbar(食べ物の購買)に並び、長い列を作ります。このように食べ物を買うために学校にお金を持ってこなくても良いように、給食が早く始められるよう一層の努力をお願いしました。
参加した一人の女性は都会の農薬を使用した食材ではなく、この地域の食材を提供する重要性を訴えていました。また講座の最後に、保護者の代表が自分たちの力で進めてきた学校菜園を再び充実させ、昨年のような豊かに育った作物を収穫し、手作り給食が実施できるようにしましょうと参加者に訴えました。
現地事業補助員のジョセリン・コヤゴによる耕作作業に関する説明は、参加した親たちに対して強い説得力を持っていました。彼女はSANEの奨学生でしたが、高校卒業後ホンジュラスのパンアメリカ農業大学サモラノホンジュラスに奨学金で進み、専門的な勉強をして帰国しました。今回の講座ではその専門性が十分に発揮されています。
講習会での最終的な合意は、校長、教師、親が翌日に集まり、具体的な手作り給食実施計画を作るというものでした。この話し合いによって、来週より週一回の給食が始まることが期待されています。(写真左:見事な豆の収穫を喜ぶ子ども達)
菜園の収穫物がない現在、食材は各家庭からの持ち寄りと購入になります。この回数を少しづつ増やしていければ給食の回数も増えるはずです。現在は学校と契約しているbarで買ったもので食事をしている子ども達が多いのですが、barから給食への移行も近い将来には実現するのではないかと思われます。急な開催の連絡にもかかわらず25名の親が集まり、翌日からの具体的な行動が決められる強い保護者の繋がりがあることを実感しました。
【課題】
1. 種子ではなく、苗の購入
4校での講習会の中で、種子を撒いても発芽しないという共通の問題があることがわかりました。発芽率を高め、収穫を早めるために種に代わる苗の購入が必要であるということが明確になりました、
2. 農機具と耕運機の要望
また、効率的な農作業ができるように、農機具と耕運機が欲しいという声が聞かれました。出張中に、かねて申請していた大和証券助成金事業が採用されたという知らせが日本からありましたが、この事業は、ピサンビージャ村のヘネラルアントニオエリサルデ校に貯水池を設置することと耕運機の購入というものですが、他の広い耕作地を有している学校への耕運機の導入ができたら良いと感じています。


右写真:大塚農業専門家
下写真:SANEインターンで同行した大川さん(東京外国語大学)



2019年12月24日火曜日

12月の出張の概要

順序が逆になりましたが、今回の出張の概要です。
【出張目的】
 JICA草の根協力事業「ピチンチャ県カヤンベ市の学校菜園と学校給食の実施を通した子ども達の学校生活改善プロジェクトにおいて事業実施校で農業とリーダー育成というテーマで講習会を開催し、学校菜園と学校給食の安定的な実施を促し、子ども達が栄養面でより健康的な学校生活を送れるようにする。
【出張者】
 リーダー育成担当:東城康夫
 農業専門家:大塚公洋
 インターン:大川拓輝
【出張日程】
月日
活動内容

02
キト着 
1000  JICAエクアドル事務所 訪問
03
1000 教育省 訪問
1430 保健省 訪問
04
講習会の準備 
05
講習会 ピサンビージャ村
        ヘネラル アントニオ エルサルデ校
06
講習会 ピタナアルト村
        ルイス ウンベルト サルガド校
09
講習会 パンバマルカ村
    カルロス ビセンテ アンドラーデ校
10
講習会 コンパニーアロッテドス村
    グスターボ アドルフォ ベッケル校
11
講習会 サンパブロウルコ村
    ウンベルト フィエロ校
12
講習会 アソシアシオンピタナ村
    ラファエル コレア校
13
1000 JICAエクアドル事務所 訪問
1600 日本大使館 訪問























【講習会の概要】
 目的:事業の目的の再確認と、これまでの成果、現在抱えている課題の明確化
    農業専門家による学校菜園事業への指導
 対象者:給食委員会のメンバーを中心に各学校で25名
 概要:教師による報告
    大塚専門家による学校菜園への支援(質疑応答)
    東城専門家、セグンド氏(現地アドバイザー)による事業運営に関する支援
    コヤゴ現地事業補助員による給食評価


クリスマスの贈り物

サンパブロウルコ村の学校、ウンベルトフィエロ校ではクリスマスの恒例行事を行っています。現地から届いた写真をご紹介しましょう。
最初の写真は、先週のもので、カパクライミの儀礼の様子です。先住民の伝統的な儀礼です。作物を螺旋状に置いて人々が歩きます。























こちらは今日の様子です。お母さん達がご馳走を作ってみんなで食事をしています。



























最後の写真はサッカーで優勝したチームに贈られる賞の授与の様子です。




2019年12月23日月曜日

素晴らしい自然という財産を活かそうールイスウンベルトサルガド校ー出張報告2


この出張報告は、12月6日よりエクアドルに出張をした東城リーダー育成担当と大塚専門家、インターンの大川さん、現地事業補助員のジョセリンコヤゴの報告をもとにしたものです。

講座の二日目はピタナアルトのルイスウンベルトサルガド校でした。
村はカヤンベから車で約45分、バスは通っていません。インターンで事前調査に入っていた大川さんの報告によると、今年の生徒数は就学前クラスから高校1年生まで190人です。貧しく人々が組織化されていない地域ということもあり、前校長の頃から保護者が学校に非協力的で苦労していました。昨年度現校長に変わってからはますます消極的な状況が続いています。菜園にもあまり協力的ではなく、JICAチームもいつも心配している状況でした。校長の話によると、給食の実施も(面倒、働きに出た方が良いと)やりたくない意向を示していたようでした。とはいえ、昨年は学校菜園の収穫もあり、子供達に提供されたこともありましたし、今年も11月には写真のように菜園で活動している様子が写真のように菜園で活動している様子が送られています。ただ、現在給食の提供に至るような組織的な動きはとだえていました。
今回の講座にも最初は13人の参加しかなく、現地事業補助員のヘルマン・リコは、大事な子どもの健康のための講座に参加しないとはどういうことだと怒りを込めて挨拶しました。参加した人々からは、それぞれ親の抱える事情があり出席が難しい、お金がないから事業が進められないなどといった意見が出されました。
重苦しい空気の中で、アドバイザーのセグンド氏がスペイン語ではなく、彼らの言葉であるキチュア語で「皆さんの家庭では年間を通して野菜が栽培されていますね。どうして自分の子どもが学校で食べる野菜の栽培のために少しの時間と労力が避けないのでしょうか」「私たちはインディヘナ(先住民)です。私たちはこのように素晴らしい自然環境という財産の中で安全な野菜を作り食べることができます。なぜ皆さんはこの財産を子ども達のために使わないのですか?」「SANEは15年間にわたってこの学校の菜園事業を通してこの財産をより良く使えるよう力を貸してくれましたね」と話しかけました。
この語りかけに、会場の雰囲気が前向きに変わり、一人の若い夫婦が「私たちは子どもが小さいので、安心できる野菜を食べてもらいたいと思って参加したのです」と発言がありました。これをきっかけにたくさんの発言があり、地域の野菜栽培の活動をしている女性グループがあり、このグループが菜園のために協力できるといった積極的な意見も出ました。
さらに、昨年度学校菜園に積極的に取り組んだラファエルコレア校から転勤して来た先生がここで新たに学校菜園担当となり、仕事を始めています。種子を撒いたものの芽が出なかったため、苗を育てて植えたいとの意見が出て、小さなハウスが欲しいという要望も出ました。
大塚専門家も、苗を買って栽培する方法には賛成であり、コストが多少増えたとしても確実に栽培をスタートさせたいとの意向でした。保護者達は家庭でも菜園を試みている人たちもいるもののなかなかうまくいかないようです。大塚専門家からは、土づくりから収穫までの作業で、発芽させるのは農家にとって一番神経を使う工程の一つであり、経験が必要であること、種の管理にも神経を使わなければならず、野菜の種類にもよるけれども通常は空気が入らないようにチャック付きのビニール袋に入れてから乾燥剤と一緒に瓶などの容器に入れ、光が当たらない、温度の低い野菜室などで管理しなければならないこと、おそらくそのようなことは行っていないだろうということ、したがってまずは確実に収穫できるやり方で始めるのが良いと感じた、との指摘がありました。
こうした中で、担当教員より4月頃からは給食に使えるくらいの収穫が見込まれると明るい話題も提供されました。
講座参加者への食事として保護者の皆さんが、茹でた空豆、メジョコ、茹でたジャガイモとチーズ、玉ねぎ、トマト、レタスなどのサラダを準備してくれました(写真)。
講座を通して担当教師や保護者の積極的な姿勢が少しずつみられるようになり、成果は大きいものがありました。
しかしながら、継続した今後の支援が必要です。


2019年12月22日日曜日

現地の人々の関心を呼んだ農業講座ー出張報告1

JICA事業の一環で、指導者育成担当の東城氏と農業専門家の大塚氏が12月初めに現地に出張し、事業対象校6校で講座会を開催して来ました。
今回は大塚専門家からの報告を掲載します。
*  *  *  *
は、現地出張が初めてということもあって自己紹介を兼ねて、日本での農業経験と以前2013年から2015年にかけてサントドミンゴで野菜栽培隊員として活動していた農業指導経験を発表し、参考にしていただきました。
内容としては、マルチング・生ゴミ堆肥・ミミズ堆肥・発酵液・炭・草木灰・有機除虫材・輪作・混植(コンパニオンプランツ)についてお話をしました。
(写真は1枚目:大塚専門家、2枚目:学校長、3枚目現地事業補助員ジョセリン)

ピサンビージャ村ヘネラル・アントニオ・エリサルデ校
開催日:12月5日
講座参加者:教師、保護者25人、JICA関係者、SANE東城、大塚、大川

講座に参加された方々は高い関心を持って聞いてくださいました。話をした後、いくつかの質問が出されました。内容は以下の通りです。

・農業担当者からサントドミンゴで実施したことに関心があり、適用したいから活動の情報が欲しい。
・興味はあるがここでやるにはどうしたらいいかわからない。
・ここでは役に立たないのでは?
・草木灰など、どのくらい使えばいいのかわからない。
・自分の家には畑があるけど育て方がわからない。

自分たちにできるのか?といった不安に対しては、現地のアドバイザーで先住民言語のキチュア語を使うセグンドさんより、わからないことがあるだろうが、そのために大塚が長期滞在するから色々聞いてほしい答えていただきました。
 全体としては、発表に対して非常に興味を持って聞いていただき、学校菜園をもっと向上させようと非常に前向きな学校であると感じました。
(写真右:昼食の準備をする母親たち、写真下:講座主催者)