2020年12月19日土曜日

SANEとSOJAEの奨学生事業(3)ー奨学生の選考

 現在の奨学生数は36名、キトとカヤンベにそれぞれ18名ずつです。この奨学生達をどのように選ぶのかについてご紹介します。
基本的に奨学生の選考は現地のそれぞれの支部に任されます。共通している選考条件は、①経済的に困っている家庭の子どもであること、②学業に一生懸命取り組み成績も良いこと、③親でなくても良いので保護者がいることです。
①の経済的に困窮しているという、収入の基準は数字で決まっているわけではありませんが、毎年選ばれてくる奨学生の経済状況を見ると大きな困難を抱えた家庭の子どもであることがわかります。10月13日のブログに今年選考された奨学生の紹介が載っていますが、それによると、ベレン14歳の母はシングルマザーでコロナの影響で仕事を失い、収入は不安定です。メラニー12歳は大家族ですが、収入はコロナで失業した母が始めた商売で得150ドルのみ。アンドレス14歳は両親がいますが、タクシー運転手である父の収入は安定せず、母の収入200ドルが頼り。ベンジャミン14歳の母は現在無職で、祖父母の家に身を寄せており、別居している父の収入は300ドル/月。ブリタニ13歳は花卉農園で働く父の収入はコロナの影響で減っているジェニファー14歳は大家族で、建築の仕事をする父と、牛乳の販売をする母収 入は、大家族の生活には足りない。マガリー13歳の運転手の父はコロナで仕事を失い、母も給料が半分になった。という状況です。現在のエクアドルの最低賃金は394ドル。ここからみても大変さがお分かりいただけるでしょう。
②は学校での成績が基準となっていて、学校からの報告で判断されます。奨学生になった後で成績が下がるとスタッフや先輩(元奨学生)が学習支援を行ったり、家庭的な問題が背景にある場合は相談に乗ったり細やかな支援があります。それでも学習意欲を失ってしまう子どもも時には出てしまい、最終的には奨学生をやめてもらうということになる時もあります。大抵は生活状態の乱れと直結することも多く、現地スタッフも日本側も大きなショックを受ける結果となってしまいます。それでも、限られた予算の中から奨学金も出ており、多くのボランティアが無償で仕事をしているので、どこまでフォローするのかを判断する責任もあります。
③は子どもの成長には保護者が必要であり、SANE /SOJAEの支援では家庭の代わりをすることはできないと自覚しているからです。たとえ貧しくてもその子のために頑張っている保護者が一緒に見守っている中で私たちの奨学生支援はあるのです。
選考のプロセスは、学校のカウンセラーからの推薦書(時には直接親からの申し込みもありますが)を各支部のスタッフやボランティアメンバーで読んで、その中から上記の三つの基準で候補者(定員の2倍くらい)を選びます。その後、手分けをして家庭訪問をし、本人と保護者に会って話を聞き、環境を観察します。この結果を元に再び会議を開き、最終選考をするのです。ここでは熱い議論が展開され、現地メンバーは苦渋の決断をします。
こうして選ばれた奨学生は支部の新しいメンバーとして紹介され、活動に参加していくことになるのです。


0 件のコメント:

コメントを投稿