2019年12月25日水曜日

厳しい学校菜園運営ーグスタボアドルフォベッケル校ー出張報告3


この出張報告は、12月6日よりエクアドルに出張をした東城リーダー育成担当と大塚専門家、インターンの大川さん、現地事業補助員のジョセリンコヤゴの報告をもとにしたものです。

ロッテドスは標高3600mを超える標高の高い、厳しい自然環境の村です。この村にあるアドルフォベッケル校は2003年に学校菜園事業を開始した最初の学校です。また90年代には学校建設、職業訓練など多くの支援事業を重ねてきました。校長は外部の人でしたが地域のために熱心に働いてきた人でした。現在校長は別の人になりましたが、やはり熱心な方です。3月の出張時には以前菜園であった場所は教育省が遊び場に変えることが決まり、整地され、道路を隔てた場所が菜園となっていました。学校独自の努力で見事な菜園を作っていましたが、広さは以前の半分になってしまいました。(写真右:講習会の様子。左前に座っているのが東城、前で話すのはコヤゴ)
今回、しっかり菜園事業は続いていると予想していましたが、菜園は収穫できる作物はなく、10センチほどに伸びたそら豆と、まばらに発芽した野菜があるだけでした。また、講習会は校長の連絡ミスで明日となっていました。また、菜園担当教師は欠席していました。急遽、親を集め、講習会が実施されました。
講習会ではまず、東城よりこの事業の目標を確認しました。この学校では、特に食べるものを買うために子どもたちがbar(食べ物の購買)に並び、長い列を作ります。このように食べ物を買うために学校にお金を持ってこなくても良いように、給食が早く始められるよう一層の努力をお願いしました。
参加した一人の女性は都会の農薬を使用した食材ではなく、この地域の食材を提供する重要性を訴えていました。また講座の最後に、保護者の代表が自分たちの力で進めてきた学校菜園を再び充実させ、昨年のような豊かに育った作物を収穫し、手作り給食が実施できるようにしましょうと参加者に訴えました。
現地事業補助員のジョセリン・コヤゴによる耕作作業に関する説明は、参加した親たちに対して強い説得力を持っていました。彼女はSANEの奨学生でしたが、高校卒業後ホンジュラスのパンアメリカ農業大学サモラノホンジュラスに奨学金で進み、専門的な勉強をして帰国しました。今回の講座ではその専門性が十分に発揮されています。
講習会での最終的な合意は、校長、教師、親が翌日に集まり、具体的な手作り給食実施計画を作るというものでした。この話し合いによって、来週より週一回の給食が始まることが期待されています。(写真左:見事な豆の収穫を喜ぶ子ども達)
菜園の収穫物がない現在、食材は各家庭からの持ち寄りと購入になります。この回数を少しづつ増やしていければ給食の回数も増えるはずです。現在は学校と契約しているbarで買ったもので食事をしている子ども達が多いのですが、barから給食への移行も近い将来には実現するのではないかと思われます。急な開催の連絡にもかかわらず25名の親が集まり、翌日からの具体的な行動が決められる強い保護者の繋がりがあることを実感しました。
【課題】
1. 種子ではなく、苗の購入
4校での講習会の中で、種子を撒いても発芽しないという共通の問題があることがわかりました。発芽率を高め、収穫を早めるために種に代わる苗の購入が必要であるということが明確になりました、
2. 農機具と耕運機の要望
また、効率的な農作業ができるように、農機具と耕運機が欲しいという声が聞かれました。出張中に、かねて申請していた大和証券助成金事業が採用されたという知らせが日本からありましたが、この事業は、ピサンビージャ村のヘネラルアントニオエリサルデ校に貯水池を設置することと耕運機の購入というものですが、他の広い耕作地を有している学校への耕運機の導入ができたら良いと感じています。


右写真:大塚農業専門家
下写真:SANEインターンで同行した大川さん(東京外国語大学)



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