2012年4月28日土曜日

エクアドルの皆さんへ「私の市民活動」

Kさんからのメッセージ>
私は今、2つの市民活動をやっています。
一つは、25年前のチェルノブイリ原発事故後、原発と放射能について調べ、それがきっかけとなりスタートした活動です。

今、日本では食品の放射能汚染が深刻になっています。
食品の放射能汚染値は「ベクレル」という単位で表します。1ベクレルは、1秒間に1本の放射線を出します。1ベクレルの食品を食べたら、体の細胞に1秒間に1回、放射線が当たることになります。
原発事故後の日本の食品基準値は500ベクレルです。
放射性物質は体に入って排出されますが何割かは残こり、長い間、細胞を傷つけ続けることになります。

原発事故が起きたということは、こういう厳しい世界で生きていかなければならないのだという現実を、事故当事国になって初めて知りました。

内部被ばくと原発。事実として存在する危険を伝えることと、その中での対策、選択すべきことなど、みんなで考えていけるよう活動しています。

もう一つ、20年以上、続けている活動があります。廃油から粉石鹸を作り、販売しています。

販売していますが、私たちメンバーは完全ボランティアです。作った石鹸を自分で使うときも販売価格で購入しています。(利益は機械のメンテナンスのためにストックしています)
今、日本では合成洗剤を使用している人が90パーセント以上です。

洗濯用洗剤や、ボディーソープ・シャンプーなど多くの洗浄剤に配合されているものは合成界面活性剤である「非イオン系界面活性剤」です。

私たちの皮膚は、外部からの危害に対して防御装置を備えています。皮膚が抗生物質を作り出していることをドイツ・キール大学のメンバーが発見し、この物質を「ヒトβデフェンシンー2」と命名しています。この物質は細菌や菌類などの感染の防御に有効なことが確認されています。

日本人は、毎日シャンプーするなど極度の潔癖が日常になっていて、この皮膚に備わった体を守る機能を、合成界面活性剤が消失させているのではないかと危惧されています。

このことは私たち人間の問題だけではなく、水生生物にも関わってきます。河川に流れた石鹸は100パーセント分解しますが、合成洗剤は少しずつ残っていきます。

私が、この2つの「無償の活動」をなぜ長い間、続けているか考えてみました。
それは命に関わることだからでしょう。

女性は命の危機に敏感な生き物なのかもしれません。(男性がそうではないというわけではありませんが)
母親が子供を育てるのに安全を選ぶことと、私たちの活動は基本的に同じかも知れません。
ですから無償であっても続けることができたのでしょう。
自分がこの世を去った後であっても、安心で平和な暮らしができることを心から望んでいます。そういう想いが私の活動の原動力なのだと感じています。

<奨学生からの返事>

親愛なるKさんへ
こんにちは! 私達はあなたの手紙を読みました。そしてあなたの仕事は私達にとっても大変参考になると感じました。それは、世の中にある汚染のことについて熟考させてくれたからです。そして、あなたのように環境に優しい方法を使って他の人々のためになることを行うことに関心を持つ人を知ることは大変うれしいことです。あなたがやっていることは次のような事でした。使用した油を利用したせっけんを作ること、それはみんなに害を与えないだけではなく、水を汚さないこと、そしてすべてに影響します。日本で起きたことに対する私たちの意見は、そこに住んでいる人々は私達に、色々な問題を乗り越えること、生き方のリズムを変えることによって、あきらめず、できるだけのことをしていくということを教えてくれているということです。そうして同時に汚染を少なくしていることです。

あなたの手紙に込められたメッセージは、私達が生きている人生において、しっかり考えて行かなくてはならないこと、そして環境に優しいものを使うこと、そういったことはすべての命を救うことになるということを示し、そしてあなたのような人の、社会や周囲の人々と協力しあうことによってできる素晴らしい仕事は、みんなに知られなくてはならないと思います。
『私の市民活動』という手紙を通してメッセージを下さり、ありがとうございました。

 あなたの活動が発展されますようにと願いつつ、お別れします。

誠実に

2012年4月27日金曜日

さいたま国際協力基金による事業紹介

SANEは、財団法人埼玉県国際交流協会の、彩の国さいたま国際協力基金の助成金を受けて学校菜園による農業技術指導の事業を行っています。

SANEが大きな支援を受けてきた、この基金のご紹介をしたいと思います。
http://www.sia1.jp/fund/fund_top.htm
この基金の助成金を受けるようになったのは2004年からです。

<あゆみ>
2004年:8校の教育施設改善(総額752,700円、助成金381,200円)
2005年:3校の教育施設改善(総額380,226円、助成金190,000円)
2006年:3校の教育施設改善(総額393,668円、助成金196,000円)
以上はSANEが法人化する以前の助成金です。

2007年:1校の学校施設を利用した木工技術者教育支援(総額514,662円、助成金257,000円)
2008年:1校の学校施設を利用した木工技術者教育支援(総額823,129円、助成金410,000円)
2009年:2校の学校施設を利用した木工技術者教育支援(総額880,000円、助成金400,000円)

2010年:3校の学校菜園による農業技術指導支援(総額580,000円、助成金290,000円)
2011年:3校の学校菜園による農業技術指導支援(総額780,000円、助成金390,000円)
2012年:4校の学校菜園による農業技術指導支援(総額780,000円、助成金390,000円)
2013年(予定):4校の穀物類による栄養改善事業(総額720,000円、助成金360,000円)


<この間の成果と助成金の特徴>

私たちはこの助成金を特別なものだと考えています。その素晴らしさは次の点です。

*担当者の方々の、現場に寄りそう視点・・現場で本当に必要としているものは何か、どんな困難を抱えているのか、といったことに目を向けてくださるその姿勢にいつも励まされています。

*修理や改善といった、通常助成金をもらうのが困難であり、実は最も大切な支援にお金を出す貴重な助成制度です。特に私たちのような、お金はないけれど地域に信頼のある会は、少ない資金を有効に使うことを得意としています。そんな私たちの会にかけがえのない機会を与えてくれました。

成果について、以下に簡単にまとめてみました。

*最初の3年は、それまで他の大きな組織によって作られ、壊れたまま活かされてこなかった多くの施設の修理や、SANEがやろうとしていた学校菜園に欠かせない、貯水池の建設などに使われ、学校の衛生、子どもたちの健康改善、さらにコミュニティの学校教育参加に大きな役割を果たしました。この3年の成果によってその後の活動が飛躍したと言って差し支えないでしょう。特に、この時期SANEはまだ法人化していませんでした。このような状況の中、助成金をいただけたことはどんなに大きな励ましとなったかしれません。

*次の3年の技術指導は、地域に大きな可能性をもたらし、人々を明るくしました。現在この事業は国際協力財団の配分を受け継続していますが、学校や家庭の環境改善に役立っています。また、この教育を受けて巣立っていった人々が現在講師となったり、職業を得たり、高校の木工科などに進むなど少しずつ実を結びつつあります。

*現在行っている学校菜園事業は子どもたちの健康、地域の将来に影響する大きな事業です。また、この事業は年間を通じて行われるため、スタッフが学校や地域により深くかかわれるようになり、連携を強め、地域の教育環境改善の基盤を作っています。


最後に、この事業担当者のヘルマン・リコは、教育改善事業の助成金から出ている謝礼金だけで生活しています。低賃金と不安定な生活でありながら、この仕事を愛し、社会の不正や貧困と闘
っている彼に、私たちは深い尊敬と友情を感じています。

写真は、子どもたちに囲まれて踊るヘルマンです。





2012年4月24日火曜日

急ですが、明日エクアドルの話をします

エクアドル報告会  (市民ネットワークを進める会定例会)
4月25日(水)午後6時半より
場所:あおーらのセラヴィ(飯能駅から北に5分。宮脇書店裏)

2月の末から3月に訪問してきたエクアドルの話、SANEの話をします。
特に、今回は市民活動家の皆さんにエクアドルの若者たちへのメッセージをいただき、震災の話をしてきましたので、そのことを中心にお話しします。
一緒に滞在した高校生も来ますよ。

参加費:200円 おいしい夕食付
連絡先:042-971-5116

つながれ、被災地とエクアドル

このブログでもご紹介したとおり、今回の震災の後、被災地支援や放射能の問題に取り組んでいる市民の方々に協力をお願いして、エクアドルの若い人たちに向けたメッセージを書いていただき、3月の出張時に持って行きました。
そのメッセージに奨学生たちが応えてくれましたのでご紹介します。

<Oさんからエクアドルの若者へのメッセージ>

若い人たちへ
学ぼう

教師から、親から、老人から、友人から、先輩から、後輩から。
考えよう

学んだことを基に自分の頭で考えよう。考える力を育てよう。
走ろう

自分で考えたら行動を起こそう。

立ち止まろう

たまには立ち止まって、自分の考えに合っているか見直してみよう。もし違っていたらどうするか考えよう。そして再び走ろう。

君ならできる。

2011311日の大震災で、下の写真の人たちが住む大槌町も大津波に襲われ、
たくさんの命、たくさんの財産を失いました。

この写真の4人も工場を大津波で失いましたが「もう一度立ち上がる」と決意し、日本中の人たちに支援を求めました。(注:写真は掲載していません)
4人合計で失った財産は10億円以上。

この4人のために、「工場を再建しろ」と日本中から集まった支援金は、もうすぐ
1億円です。

まだまだとても足りないですが、4人は仮工場を建てて魚の加工場などの仕事を始めました。

大きな被害にあっても、多くの人の力を借り、4人で励まし合い、笑顔で頑張っています。

「もうダメかもしれない」と思っても、頑張って立ち上がればたくさんの人が助けてくれます。

もしあなたに「もうダメかもしれない」と思うときがあっても、必ず助けてくれる人がいます。

顔を上げて歩き出せば好転することを信じよう。

<奨学生からの返事>

Oさんへ
SOJAEファミリーより心をこめてご挨拶いたします。
この手紙はあなたの感動的なメッセージに感謝するために書きました。
あなたの手紙を読み、地震に際して多くの困難や障害に勇気を持って直面した日本人の素晴らしさ、努力を知ることができ、私達が大変感動したことをお伝えします。
あなたの手紙を読んで、私達にとって最も印象的だったのは、次のメッセージの深さでした。『もうダメかもしれないと思っても、がんばって立ち上がればたくさんの人が助けてくれます』という文です。この文は私達に、たくさんの困難があっても、前に向かって進んでいけること、目的を達成できること、何よりも人生には私たちを支えてくれる人たち、そして私たちの目的がかなうよう助けてくれる人がいるだろうということを教えてくれました。
私達は、日本人が感じた、失ったものに対する、さらに失った家族に対して感じたつらさ、苦しみや、不安を想像します。けれども、そうであってもみなさんは人生に立ち向かい、できる限り前進しようと決心し、お互いに助け合っています。私達はそれこそが本当のヒーローだと思います。
世界が彼らの示してくれた勇気と闘いをお手本にすることを願い、私達奨学生自身がこれからの人生で起こりうることの中で、自分の望みを実現するために闘っていきたいです。
心をこめてさようなら
SOJAE奨学生より

Oさんはこの手紙を被災地に届けたいと言ってくださっています。





2012年4月20日金曜日

ボランティアの心

SANEのように無償ボランティアの活動に支えられている会では、想像力というか、お互いの苦労や事情を思いやる気持ちがとりわけありがたい時があります。
たとえば・・・
今日サネビジョンを印刷にあげました。もちろん印刷会社にお願いしているわけではありません。所沢市役所労働組合のみなさんと事務局長の東城さんが仕事の合間にやってくださっているはずです。
今日にいたるまで、ずいぶん沢山の方が協力してくださいました。それでも編集の宮地さんや黒岩さんのご苦労は大きかったと思います。そしてこの後もセラヴィのみなさんが発送作業をしてくださいます。
サネビジョンが届いた時に、そんなことを想像できるように、宮地さんは素敵な記事を準備してくれました。中に、セラヴィの皆さんの笑顔の写真があります。
奨学生に手紙を書いて下さるパドリーノやマドリーナの方々、きっと忙しい中を、時間と心をこちらに向けて下さっているのでしょうね。中には書けなくて悩んだり、こんなので良いのかなと気になっている人もいらっしゃるような気がします。手紙を書くことはそう簡単ではありませんよね。簡単で良いのですよと言いながらも、私もなかなか書けません。
3月の出張中は、奨学生に気持ちを届けてと何人ものパドリーノスの方々が私に写メールを下さって、私は苦笑いでした。メールってやっぱり便利なんだ!と。
 
中でも翻訳者の方々は毎月黒子となって翻訳をしてくださっています。地味な活動ですが、空気のように欠かせません。ありがたいことです。
そんな一つ一つの活動ですが、ふと疲れた時に、あるいは、(自分や相手が)思うように行かない時に、ゆっくりと、届いた会報や手紙から、届く前のことを想像してみたり、逆に何かを発送しようとする時に、これからどこに届くのか想像してみたり ・・そんな一瞬の心の余裕=豊かさ=を持ってみたいものです。
言葉一つで相手を豊かにすることができるかもしれません。『いつもありがとう』と言ってもらってほっこりしたり『このごろお忙しいようですね?』と言われてはっとしたり。
この活動に携わっている方たちは、皆さん気持ちの優しい方たちです。お互いにそんな信頼感をしっかり持って、支えあえるような言葉かけ、していきたいですね。
ということで、今日の写真はバラの花。カヤンベの農園の社長さんのお部屋に飾ってあった花を携帯で撮りました。私も写メ経験。
ちょっとゆっくりしてください。

2012年4月17日火曜日

お散歩マーケットVSカヤンベのお祭り

SANEの事務所は埼玉県飯能市にあります。
飯能は西武ライオンズの本拠地所沢の近くであり、東京(青梅市)の隣であり、長野、山梨、秩父と続く山々が切れ、ようやく関東平野に出るぞーーっと視野が開ける最初の地、いわゆる出口村とも入口村ともいえるところに位置しています。つまり、山の自然と人里とが隣り合っている地です。
武州世直し一揆(慶応2年1866年明治になる2年前)は当時の武蔵国秩父郡を中心とした地域で起こり、十数万の農民たちが参加したそうですが、名栗はその一つの地域で、現在は飯能市となっています。農民たちは名栗から街道を下り、原市場を通って飯能河原に大集合し、飯能駅近くの庄屋に打ち壊しに入ったと言われ、わずか7日間で政府に鎮圧されましたが、今もその時の傷が残っているそうです。
一方、カヤンベはキトから約70km。都市に近いのですが、農業地域です。かつては大麦の産地として大農園があり、先住民が虐げられた生活を送っていました。そして、困難な状況の中農民たちが何度もストライキなど抗議と抵抗の活動を行っては殺されたり鎮圧されています。
こうした話を聞くと、悲壮感ばかりが漂いますが、庶民の力というものは雑草と同じで、絶対に絶やされず、楽しみを自ら作り出してしたたかに生きてきました。カヤンベでは6月から毎週末はお祭りです。飯能もお祭り好きが多い地域です。お散歩マーケット自体は最近地域のみなさんの知恵で始まったイベントですが、このイベントのために、外に出ていった子どもたちは帰ってきて家を手伝い、地域のみなさん自身が楽しく過ごしている様子を見ると、いいなぁ、といつも共感します。私は外の人間ですが、ご縁があって毎回出没するようになっています。
なんだか似たところのあるカヤンベと飯能。そんなことを感じながらご参加くださいね。
写真はカヤンベです。写したのはカヤンベのボランティアメンバーで写真家のダビです。

2012年4月15日日曜日

春のお散歩マーケットご案内

ふやふやも木崎さんの庭先をお借りして、民族衣装でお店を出します。来てね!

2012年 5月 6日 (日) 午前9時~午後4時 雨天実施
山峡の集落黒指(くろざす)細田地区。
今から四百数十年前、八王子城落城の折、城主北条氏照の子どもと家臣が落ち
延び地区を起こしたと云われています。
以来受け継がれた山の生活。豊かな自然と懐かしさの残る山里の暮らしに憧れ、空き家に住み着いた新住人。
「お散歩マーケット」は、昔ながらの山里のくらしが残る地域を紹介したいと云う新旧住民の思いから始まった手作りイベントです。
集落を結ぶ山道を散策し、点在する家々の軒先で開催されるマーケットをのぞきながら、住民とふれあう事で心の洗濯ができると思います。
地域全体でおもてなしいたしますので、春の一日、ぜひ訪れてみてください。
マーケット
 
山菜 野菜 夏みかん 春祭りのごちそうお赤飯うどん カレー 手作りベーコン おしるこ たらしもち 薪オーブンのパン ケーキコーヒー 木工品 など・・・
展示・その他
 
 あかね屋ギャラリー
 彫刻・絵画展示販売
 木と音の会
 創作楽器の合奏11:00- / 13:00-
 ひのこバンド
 神出鬼没! 生演奏
 かみや   写真展
 うわで   おはなしの森(こころ座)琴の生演奏にのせて語る楽しい昔話 
    上演時間 11:30-12:00   大人500円 こども無料
 スタンプめぐり
 
   受付でマップをもらい出発!   各々のマーケットのスタンプを集めよう。   
   各家が創意工夫したスタンプすべて揃えればきれいですよ。スタンプ賞には粗品贈呈!     
 受付場所交通手段
  上直竹かみなおたけ上分かみぶん自治会館前 /西武池袋線「飯能駅」北口 1番乗り場   
  又はJR八高線・川越線・西武池袋線「東飯能駅」 より国際興行バス「間野黒指 行」乗車時間約30分終点「間野黒指」バス停下車して 徒歩3分※会場には駐車場はありません。  自家用車での参加はできません!バスでお越し下さい。※道路は「お散歩マーケット」コースになります。  車は駐車違反となります。※「お散歩マーケット」臨時バスが運行されます。
参加費
大人300円 子供100円(地図・保険代含む)
持ち物
軽食 飲み物 雨具 エコバック マイはし マイカップ など※食事処はありますが、数に限りがあります。※散歩コースは狭く急な山道です。  しっかりした靴と、ハイキングできる服装でお越し下さい。      全コース回ると4キロ以上ありますので   食事や買い物等含め3時間以上みてください。   ゆっくり、のんびり・・・

 国際興行バス ホームページ「お散歩マーケット」 臨時バスお案内 詳細 はここをクリック
「お散歩マーケット」では、自然の中、ゆっくり過ごしていただくため、自家用車での乗り入れをお断りしています。お越しいただく方々には、大変ご不便をおかけしますが、公共交通機関のご利用をお願いします。
チラシは、こちらからダウンロードしてください。   
2012 春の「お散歩マーケット」チラシ 表面 形式 PDF
2012 春の「お散歩マーケット」チラシ 裏面 形式 PDF 
主 催
お散歩マーケット実行委員会
協 力
飯能名栗エコツーリズム推進協議会 / 飯能市
問い合わせ
飯能市エコツーリズム推進室 TEL 042-973-2123

2012年4月10日火曜日

出張報告(8) 先住民のデモ

私がエクアドルにいる時に、先住民によるデモ行進がアマゾン地域から始まったと聞きました。このデモ行進は、何日もかけて自分たちの主張をしながら首都のキトに向けて歩き、最終的に代表者が政府と交渉をします。(まさにデモ・行進ですね。)
このデモ行進が行われたきっかけについて、私たちの友人でエクアドルのコタカチに住んでいる和田彩子さんは次のように書いています。http://www.sloth.gr.jp/movements/aqua/
☆    ☆    ☆
このデモ行進は、先住民を主体とする団体、個人が、水、命、そして先住民たちへの尊厳を求めるために、ペルーとの国境に近い、サモラ・チンチペ県の、シュアール族という先住民が多く住むエル・プンギ郡の森から、3月8日からキトへ北上する徒歩の行進から始まりました。その距離、約700km。そもそも、どうしてここから行進が始まったかというと、ミラドールという鉱山開発プロジェクトが、このエル・プンギ郡で行われようとしているからです。
エクアドル政府がエクアコリエンテという中国の会社と進めようとしているプロジェクトで、約2,132,000トンの銅の埋蔵量があると言われています。政府は、環境破壊は5%に押さえる、周辺コミュニティーは、鉱山開発による利益、約10億ドルを受けることができるとし、それを強引に進めようとしています。
しかし、この開発は、大規模露天掘りにより開発で、コンドル山脈という山を削り、穴を堀り、そして穴は直径1kmの大きさで、300mの深さになります。それによる影響は、①森林伐採による、生物多様性の高い地域の植生や動物の生息地の破壊②水源地や川、小川の水質汚染の可能性があると言われています。
☆   ☆   ☆

彩子さんは一緒に歩いたということでした。私も一緒に歩きたかったのですが、残念ながら行進の到着は22日で、私の滞在中には間に合いませんでした。カヤンベのメンバーに聞いたところ、行進はキトに着く前にカヤンベも通り、メンバーたちは見に(参加しに?)行ったそうですが、あっという間に通り過ぎてしまった・・ということでした。
この話を聞いた時に気になったことは、政府もこのデモと似たようなデモを組織し、ほとんど同じ文言を叫びながら、先住民デモを攻撃していたということでした。まさに、コレア政権になってから、政権が先住民運動と同じようなことを言うようになって、実はこのことが問題になっているのです。和田彩子さんのブログにはそのことがわかりやすく書かれています。

そして、和田さんはこのように結んでいます。この言葉、今の日本でも使いたい!

☆   ☆   ☆
でも、最終的に、デモに出ていた人たちが言いたいことはただひとつ。「私たちの住む場所を壊さないで。」コレア大統領に伝わっているのでしょうか。

Cuando el hombre haya talado el último árbol, (人間が最後の木を切ったとき)
Haya contaminado el último río, (最後の川を汚したとき)
Y haya comido el último pez, (最後の魚を食べたとき)
¡Entonces! (そのときになったらようやく)
Se dará cuenta de que el dinero no se puede comer. (お金は食べられないことに気づくのだろう。)

2012年4月1日日曜日

出張報告(7) 政府の教育改革

今回キトでもカヤンベでも強く感じたことは政府の力でした。
まず、道路で働く子どもたちの姿がまったく見られませんでした。道路のゴミも少なく整備されていました。おそらく経済的にも政治的にも安定してきていることの表れでしょう。教育に関して政府の力を感じることが特に大きかったです。
写真はピサンビージャで出会った教育省のお役人さんたちです。
そして一緒に話をしている先生や保護者の方たち。
先住民組織が学校の先生たちにとったアンケートを基に教育省の人たちが学校を訪問し、色々抱えている問題点や政府の政策の足りない点を聞いています。
やり取りを聞いていると、単純に何が足りませんという内容だけではなく、それが本当に必要なのか、政府の役割なのか、家庭なのか、学校なのかと結構立ち入って話をしていて、形ばかりの訪問ではないと感じました。
このように、政府はかなり本気で教育改革を進めようとしているのではないかと感じました。
今回の出張の一つの課題として、カヤンベの学校の教育施設の不足について知るということがあったのですが、SANEの役割もこういった動きに対応して変化する必要があります。当然政府がカバーできる内容とカバーしきれない内容とがあるので、そこを見ていく必要があるのです。
たとえば、今学校には給食がありません。朝食として政府からコラーダ(どろっとした飲み物)用の粉末とシリアルバーが配給されていますが、昼食用には何もありません。政府は朝食を100%支給していることを強調していますが、全国統一のしかも毎日同じ内容の朝食に対して、人々は地域で採れる野菜を使った手料理で食事させたいという意見を言っていました。
SANEが学校菜園を支援しているピタナ・アルトでは、村の人々の協力もあり、学校菜園で採れた野菜を使って素晴らしい給食を出すことができています。こういった支援は大変有効なものとなっています。
さらに、停電のよくある村の学校の教室が温かく明るくなるように、屋根に透明板を設置して太陽光を採り入れる屋根の改善事業も重要です。(このブログ右の呼びかけをご覧ください。まだ寄付金を募集中です。)
今後も学校の先生たちや教育委員の方々と協力し合ってよりよい教育環境を作って行きたいと思いました。